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サッカー撮影07(記憶色 後編) [サッカー撮影]

「記憶色」をテーマに、ホワイトバランス(WB)について私見を書いてきましたが、今回で一区切りとさせていただきます。

サッカー07-01.jpg

前々回は、オートホワイトバランス(AWB)が難しい光源では完全ではないこと、前回は、それでも光源が変化する状況では、AWBに頼ることも悪くないと書いてきた。今回は、まず下の写真を見て欲しい。ちなみに、撮影データを記しておくと、
1D4+EF300mm F2.8 L IS USM 焦点距離 300mm シャッター速度優先AE 評価測光 AI SERVO AF
絞り F3.2 シャッター速度 1/800 ISO 100 露出補正 +-0 AWB RAW

サッカー07-02.jpg

この写真は秋の夕方に撮った写真。取り立てて問題になるような点は無さそう。キヤノンのAWBは、ここではしっかり仕事をしてくれているように思える。しかし、その時その場で撮っていた私の記憶とは、ちょっと差がある。あの時は、強烈な西日を浴びて行われた試合。ピッチは淡いオレンジ色の夕日に包まれていたと記憶しているのに、撮った写真を見ると、どうもそんな感じがしない。ごく普通のサッカーシーンになっている。AWBがキチンと仕事をしすぎるのか、私の「記憶色」とは違うのだ。
そこで、WBを少し調整して、私自身の記憶している色に近づけてみたのが、下の写真。あの時、私が見た光景はコレだった。

サッカー07-03.jpg

写真が「真実を写す」の言葉どおり、本来あるべき色を正しく出すことが良いのか、ねつ造や創作はダメとしても、撮影者自身の印象に基づいた調整で表現することは可なのか、私などが簡単に論じられるような問題ではないだろうし、依って、結論を出せぬまま、暫くは試行錯誤していこうと思っている。ただ撮影者の私としては、自分の眼で見て、チャンスだ・良い・キレイだ、と思ってシャッターを切っている。その自分の印象が、撮った写真に形として再現されないのは、違和感が残る。なので、自分の眼で見た印象を表現することに、これからも主題を置きたいし、そうなると自分の「記憶色」を第一に考えたい、と思っている。

サッカー07-04.jpg

フィルム時代はこうはいかなかった。写真がデジタルになって、こうした色の分野にも簡単に手を入れられるようなったこと、しかもRAWで撮っておけば撮影後でも簡単にホワイトバランス(WB)を変更できることは、撮影者自身の表現の幅を広げたとも言えるし、便利になったとも言える。今回このようなテーマで比較することができたのも、RAWで撮っていたからこそなのだ。ただ、触れられるパラメーターが増えたことで、一層難しくなった、とも言えるかもしれないが。

サッカー07-09.jpg

サッカー07-05.jpg

サッカー07-06.jpg

サッカー07-07.jpg

サッカー07-08.jpg


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357

今回もまた素晴らしい内容ですね。「自分の眼で見た印象を表現する」のあたりが格別!
by 357 (2011-02-12 20:05) 

ジュニアユース

357さん、こんにちは。
お褒めの言葉をいただき、恐縮です。何かのお役にたてれば、幸いです。
結構気軽に書いてきたサッカー撮影に関してですが、ここまで来てしまうと、一つの記事を書くのに結構な
時間がかかるようになりました。なので、頻繁には書けないかもしれませんが、今後もボチボチ続けていきたい
とは思っています。

by ジュニアユース (2011-02-13 22:44) 

サルパパ

いつも参考にさせていただいています。
WBはデジタルになって扱いやすくなった典型かと思っています。
ただ体育館でもピッチでも、自分が肉眼で見たイメージと違うことは多々あります。
特に体育館の撮影ではWBが不安定に感じています。
RAWで撮影、ソフトで調整。
この工程は現在の私には必須です。
撮影時の設定で、後処理が必要ないようにするのがベストだとは思いますが、
私の技量では、設定を気にしているうちにシャッターチャンスを逃す可能性が
高いので、やはり後処理が必要なんです。ちょっと面倒だとも感じるのですが。
by サルパパ (2011-02-14 00:37) 

kotodaddy

こんばんは。
3回にわたるWB記事、興味深く読ませていただきました。

仰る通り、写真という物が「真を写すもの」である以上、忠実に白が白である事が求められるとは
思うのですが、写真を撮り手の意図やストーリー性を持った作品として仕上げるという見方に立った場合、
捏造だとかに達する様な範疇は別として、ある意味色あいを操作してより完成度を高く仕上げる、
あるいは見せる側の意図をそこに明確にするという意味において「いじる」というのは十分にアリだと
個人的には考えます。
完成度を高く仕上げるという意味合いも人それぞれで随分と違うとは思いますが、その画に対して
見る側により強い印象を持たせる「いじり」は大いにアリだと思うのです。
例えば、白い雪景色も夕方に見ればやはりオレンジがかった色になるとは思うのですが、ここで
一般的な「雪=寒さ」みたいなものを見る側に与えるにはオレンジを打ち消してちょっと青みを出した方が
写真としてより印象的になりますよね。逆に夕日に染まる雪景色が写真の主題なのであれば、更に
赤みを強くしてやってそれを効果的に助長してやる事も良し、だと思います。
この2枚の写真も、予備知識の全くない私にとっては1枚目の方が「快晴の下でのサッカー」として
すんなりと目に映る気がします。2枚目は「陽の短い冬場の夕暮れ」みたいな印象を受けました。
記憶色を第一に取るか、それともその時の情景や時刻とは別に1枚の写真を作品として「いじる」か。
「見せる側」としての一つの選択を迫られるところなんではないでしょうか。


by kotodaddy (2011-02-14 00:50) 

ジュニアユース

サルパパさん、こんにちは。
確かに、体育館内の撮影は難しいですよね、WBに関しても。私ももしそういった状況だったら、RAWで撮ると
思います。スポーツ撮影ではどうしても、チャンスとピントを重視してしまいます。何でも状況をコントロールできる
技量があればよいのですがね。

by ジュニアユース (2011-02-14 21:22) 

ジュニアユース

kotodaddyさん、こんにちは。
銀塩の頃はこうはいきませんでした。それこそ、フィルターを何枚も揃えて、狙った色が出た時は喜んで。
今は簡単にWBをいじれるので、簡単にはなったのですが、いじりすぎる事への抵抗感は、やっぱり有ります。
雑誌などでは、それこそいろんなテクニックを紹介してくれていますがね。そこで私が基準としているのが、
記憶色なのです。

by ジュニアユース (2011-02-14 21:29) 

wsug

ジュニアユースさん、こんにちは。
以前FPGというハンドルでコメントさせていただきました。

前のブログは思うところがあってあの後すぐに更新を止めてしまい、
撮影した写真はチームで共有するだけにしましたが、
最近は地元のJFLチームを撮影をして、新しいブログに上げてます。

相変らずヘタな写真ですが、選手とサポーターの気持ちが伝わればいいやと
割り切ってやってます。お暇なときにでも見てやってください。
まあ、これもいつまで続くかわからないですが・・・
http://wsug.blogspot.com/


私はJPEG出しなので、WBは現場でカメラのモニタで合わせてますが、
記憶色をうまく出すのは本当に難しいですね。

ただそれ以前に、炎天下や晩秋の曇天下など、WB以前に適正露出が決められなくて
困ってしまうことが多いです。

また、相談に乗ってくださいませ。


by wsug (2011-02-15 14:32) 

ジュニアユース

wsugさん、こんにちは。
適正露出については、更に難しくて、何が適正?という感じで、私などがまだ書ける資格はないです。
突き詰めて考えて行くと、なかなか奥が深いものですね、写真って。今回の記事を書いて、ホントにそう
思いました。また新ブログの方にもお邪魔させていただきますね。

by ジュニアユース (2011-02-16 18:40) 

tm-engineering

こんばんは。
いつも物凄く考えさせて頂くお題をありがとうございます。一つだけ自分が思うに、撮影時の「色」は、案外覚えている、と思います。気持ち良く撮影出来いれば、なおさらです。色に関しては、ある程度は、こうした方がいい、があっても、最後は撮影した方が、これ、と思えばそれがベストのように思います。
そういえば、最近RAW撮りが増えてきました。
by tm-engineering (2011-02-16 21:59) 

wsug

「私が美しいと思えるかどうか」という傲慢な基準でいえば、ジュニアユースさんの写真は適正露出だと思います。こだわるレベルが違っていると思いますけどね(苦笑)。
私の場合、狙ったポジションから狙ったチャンスにシャッターを合わせることができても、その時の写真がちっとも美しくならない。それで選手が成し遂げた仕事の価値が下がるわけじゃないので公開はするのですが、撮影者としては忸怩たるものがあるわけです。
ジュニアユースさんの写真を拝見する度に、「どうやったらこういう写真になるんだ?」 ->「なんで俺が撮った写真はこういう感じにならんのだ?」となって、毎回いろいろトライしてみるのですが、やっぱりうまくいかないんですね。
シャッター速度と絞りは撮影者の作為なのでアウトプットに違いがあって当然ですけど、サッカー撮影では、いい光がいい感じで選手に当たっている時間なんて、1年分合わせても30分もないわけで、シャッタータイミングは数撃ちゃ当たったりしますが、美しい写真が偶然撮れることは絶対ないんだと、最近は身に染みて感じます。


by wsug (2011-02-17 08:26) 

ジュニアユース

tm-engineeringさん、こんにちは。
確かに、自分が意思をこめてシャッターを切っているのですから、色を憶えていることは不思議ではないと
思います。感じたものを形にすべく撮る、というのが写真なら、色に関しても自分の印象や記憶を再現する
ことを優先させたいと思います。でも、なかなか難しい話ですね。

by ジュニアユース (2011-02-17 15:30) 

ジュニアユース

wsugさん、こんにちは。
公開している写真は、それなりに成功したと思える画ばかりですが、私もそんな写真ばかりが撮れるわけ
でもなく、いつも試行錯誤&必死ですよ。ただ一つだけ言えるのは、やっぱり気合を入れて集中力を高めないと
満足いく写真は撮れないですね。そうして一試合撮ると、ヘトヘトです。歳とったな~、なんてね。


by ジュニアユース (2011-02-17 15:38) 

いしざか

いつも勉強させて頂いてます。
普段はハンドボールを、時々、飛行機などを撮ってます。
ハンドボールは屋内外両方なのですが、屋内での撮影は、まさに「ホントに色って?」と、格闘してます。
体育館によっては、色温度2500kなんてのがざらにありますので、そうなると、赤を消して良いのか悪いのか。
特にユニフォームが赤系、紫系だったりすると、赤を消して(落として)自然な感じにすれば、赤はくすみ、紫は青になってしまう。。人間の目って、高性能なのか鈍感なのか、、体育館に入った第一印象は「うわ!赤い!」と思っても、慣れてくるとそれを感じず、普通にみえてしまったりするし。
そういう時は、全体が赤っぽくなって多少不自然だとしても、ユニフォームの色をなるべく再現出来るように調整します。ユニフォームはチームのアイデンティティですから。

また、フロアが青っぽかったりすると選手の肌が青白くなって、なんだか病的に。
特に女子選手の表情は、綺麗に見栄え良くしたいですから、そういう時は赤を持ち上げて、、すると、観客席が妙に赤っぽくなりますが。
記憶をたどりつつ、印象を大事に、そして、選手が一番輝くような色合いに、、悩みはずっと続きそうです。
とりとめのないコメントでスミマセン。
by いしざか (2011-02-17 18:36) 

ジュニアユース

いしざかさん、はじめまして。ハンドボールを撮られているんですね。いろんなスポーツを撮られている方が集って
いただけるのは、大変うれしいです。
体育館内スポーツを撮られている方は、ホント大変だと痛感しています。光源に点も光量の点も、厳しいですね。
ユニフォームの色の点は同感です。やっぱりチームカラーがしっかり出てないとね。Jリーグを撮られているプロの
方も、スポンサーロゴやユニフォームカラーの再現性を重視している、ということを以前聞いたことがありますし。
今後ともよろしくお願いします。

by ジュニアユース (2011-02-18 21:39) 

りゅうけんママ

はじめまして。こんばんは。
さきほどは質問にアドバイスを頂きありがとうございました。
☆子供のサッカーを撮影するには・・・のところです。
早速、ジュニアユースさんのHPを拝見させて頂きました。
すばらしい写真ばかりで感動しました。
これからたくさん参考にさせていただきたいと思います。
新しいブログの方もまた拝見させて頂きますね。
ありがとうございました。
by りゅうけんママ (2011-02-26 22:01) 

ジュニアユース

りゅうけんママさん、こんにちは。
価格コムの掲示板には、サッカーを撮り始めた8年ほど前からお世話になってます。そして今は、分かる範囲で
恩返しができれば、と思って書きこんでいます。誰しも最初は初心者ですし、最初からうまくいく人もいないと
思います。私がそうでした。
それでも、ぜひがんばって、よい写真を残してあげてください。今後ともよろしくお願いします。

by ジュニアユース (2011-02-27 14:10)