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トラック [巷の雑感・時の想い]

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東名高速道路で家路を急ぐ。今日はそれほど混んでいないが、前が詰まったところで、追い越し車線に出た。しかし、一向に早くない。走行車線を走る左隣の車を、いつまでも追い抜けない。そうなると、2車線とも車が繋がった団子状態になってしまう。しばしの後、その原因が分かった。追い越し車線に出た大型トラックが、折からの上り坂で速度が上げられず、走行車線の車と並走して走っている。この2台の車が流れに栓をしたので、それ以後十数台が連なる結果となったわけだ。数キロ走ったところで、その大型トラックが走行車線に戻ると、堰を切ったように流速が増す。まったく、速度を上げられないのなら、追い越し車線に出るなよ、と一瞥したが、そのトラックは私のすぐ後ろにまた割り込んできた。「オレ達は仕事で走っているんだからな!」と言わんばかりに。
狭い国土に多くの人が住むこの国で、物流が発達している。狭いのにナゼ?とも思うのだが、狭いからこそ効率を追求して、物流の迅速性を上げることが、他国に対抗して我が国の産業を発展させる術なのかもしれない。その担い手となっているのが、これら大型トラック。深夜の高速道路を走ったことがある方は分かっていただけると思うが、ほぼトラック専用道路ではないか、と思えるほどの数が見られる。比較的空いていると思われる、夜間から早朝にかけての時間帯に走る方が、より確実に運べるからだろうか。地方に住む私の街にも、著名企業の工場がアチコチにあるので、そこに出入りする大型トラックをよく見かける。さすがに、住宅地に入り込むトラックは、宅配便の中型トラックぐらいだが、ちょっと幹線道路に出ると、10台に1台は大型トラックだったりする。日本全国トラックで溢れている、というのは言い過ぎだろが、トラックを見かけない日は無い。
その宅配便も、今や翌日配達が普通となった。我が街は日本にほぼ中央に位置しているのだが、九州や東北以北以外なら、大抵翌日には着く。翌日というのは24時間後ではなく、その日の夕方に受付拠点に持ち込んで、翌日午前到着を指定すれば、15~17時間後には着くということだ。確かに便利だし、そうと分かれば様々な使い方があると思うのだが、それは多くの人の努力とこれらのトラックで成り立っている。郵便にしても同様。ハガキ・手紙に到着時間の指定はできないが、よほど離れたところでない限り、翌日には着く。こうなると、速達というのはあまり使わなくなる。2~3日かかるところを、追加料金を出すことで翌日に届けてくれる、というのが、速達の価値だと思うが、2~3日かかるようなのは、日本国土の端から端まで送る場合に限られよう。私のように国土の中央部に住む者としては、あまり利用したことが無い。それでも、「超速宅急便」や「新特急郵便」というのも有る事を考えると、早さ=便利を求めるニーズが有るということだろうし、それを成り立たせているのは、やっぱり人とトラックなのだろう。
恵まれた場所に住んでいるから、そんな事が言える。離島や国土の端の方に住んでいる者にとって、行政や経済の中心である東京などへの物流が便利になることは、大いに意義あること。それ無くして、地方の発展などあり得ない。そんな声が聞こえてきそうだし、まさにそれは正論だと思う。狭い国土を逆手にとって、物流網を隅々まで発展させ、どこに住んでいても均一なサービスを受けられるようにすることが、一極集中を防ぎ、ひいては日本経済全体の基盤強化に繋がる、と言われれば、反論のしようが無い。現に、物流の発達とインフラ整備によって、日本の基幹産業である自動車業界は、部品保有数の削減や見込み生産の減少によって、大幅に経費削減がなされた、という話を聞けば、トラックに前を塞がれて、ちょっとムッときた、凡人の私の戯言に過ぎないのかもしれない。
それでも私、ちょっと早すぎるのではないか、と思ってしまう。インターネットが標準化し、電子データが瞬時に送受信できることは当然としても、物流がそれと並べて論じられるものではない。何といっても、機械ではなく、人間の手で送るものなのだから。速さを求める人がいて、それに応える方法が発達していくことに、異を唱えるつもりはないのだが、生身の人間がやることに、あまり効率ばかりを追求すると、昔我々が高度成長期と言われた時代で体験した、思わぬ弊害が出るのではないか、と危惧してしまう。早さという選択肢があれば、そのまた別の選択肢もあった方が、ユーザーが任意に選択できる民主的豊かさの具現では、などと偉そうに考えてしまった。
トラックに前を塞がれて、時速80kmで走るのを余儀なくされたのは4kmほど。時速100kmで走れたら144秒で通過できたこの4kmの道を、時速80kmだったために180秒かかった、ということ。その差は36秒。家に着くのが36秒遅れたことで、このトラックに不快感を感じてしまった私。何でも早くなり過ぎるのではないか、と書いておいてこの始末。やっぱり私は凡人だ。

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wsug

道路建設では、トラックの交通量を使って耐久スペックを設計するのだそうです。なぜか。乗用車はどんなに通っても、道路にはほとんど影響を与えないから。要するに、日本のトラックの総重量が3t未満になれば、道路が傷まなくなり維持費用が激減する話です。これも現実的じゃないですけどね。

by wsug (2011-03-07 21:06) 

ジュニアユース

wsugさん、こんにちは。
確かに、事故を除けば、一般車とトラックでは、道路にかかる負担はかなり違うでしょうね。タイヤメーカーも、一般車より
トラック用で儲けている、なんて話、どこかで聞いた事があるような。でも、知らず知らず私たちは、こうしたトラック輸送の
お世話になっているんですよね。

by ジュニアユース (2011-03-09 19:28)