サッカー撮影09(喜怒哀楽 後編) [サッカー撮影]
サッカーの試合中は、ボールの有る所にシャッターチャンスがあるのだから、基本的にはボールを追って撮影します。しかし、こうした得点・失点・勝利・敗戦に絡む、選手が感情を露わにした姿を撮るには、ボールだけを追っていたのでは撮れない。自チーム撮りをしている方は、選手と一緒に跳びあがりたいくらい嬉しいだろうし、逆の場合は涙で撮れないこともあるかもしれない。しかし、入り込み過ぎ無い程度に試合全体の流れを読み、一方で冷静さを保ちながらも、ピッチ全体に気を配る必要があります。
しかし選手が試合中に見せる、そんな喜怒哀楽の感情的な姿は、予測はできないし、ほんの一瞬であるであるために、本当に貴重。撮り逃がせば二度と撮れない。設定を変えたり、撮影場所を移動したりできる時間的余裕などない。遠くても近くても、絞りを絞れなくても、押さえておかなくてはいけない、咄嗟の嗅覚が必要になる場合が多い。
ボールに絡む選手を撮るのは基本としても、それ以外にもピッチ上には、さまざまな選手の表情が散りばめられています。喜ぶ・怒る・悔しがる・悲しむ、サッカーというスポーツに打ち込むあまりに見せるそんな表情や姿は、普段の日常生活では決して見ることのできないものでしょう。そんな無心に打ち込んだ結果得られる喜怒哀楽は、とても貴重で美しく思えます。特に、ロースコアーゲームであるサッカーでは、1点に掛ける選手の想いは大きく重い。それを写真という形で残すのには、多くの経験が必要な事なのかもしれません。でもそれは、観客席から眺めていただけでは得られない、望遠レンズで選手を追っている貴方だけにしか得られない画だとすれば、チャレンジする価値は大きいと思います。
今回の「喜怒哀楽」では、勝利でホッとした笑顔を載せても、爆発的な歓喜の姿は省きました。それは後の「サッカー撮影26~30」で紹介したいと思います。
2011-03-29 18:38
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コメント(6)
毎回大変参考になることばかりです。
内容の素晴らしさはもちろん、文章能力の素晴らしさも感動的です。
by volvo357 (2011-04-01 06:06)
こんばんは。
一年に何回もないチャンスなんですが、書かれているとおり、なかなか残せません。一緒に喜んだり、泣いたりする事は、だいぶ少なくなって来ました。が、ゴールシーン、笛がなった勝利の瞬間、負けた瞬間の「いい写真」は、そのチームの事、戦術から子供達のキャラクターまでよく知らないと、なかなか撮れないなぁと思います。
by tm-engineering (2011-04-01 21:00)
volvo357さん、こんにちは。
またまた偉そうなことを書いてしまいましたが、何かのお役にたてれば、幸いです。
サッカー撮影に関する記事は、簡単に書いているようで、実は結構な時間をかけて書いてます。
これも「こだわり」なんでしょうね。
by ジュニアユース (2011-04-01 22:22)
tm-engineeringさん、こんにちは。
冷静でいること、これが一番大事なように思えますが、これが場数を踏まないとなかなか難しい。
こんなシーンをきっちり撮れるプロの方は、やっぱり凄いなあと思います。
by ジュニアユース (2011-04-01 22:25)
どうもご無沙汰してます。
興味深い内容ですね。
言われてみれば、サッカーは特に1点の重みと
そして、そのせいか感情の発露が顕著なスポーツって印象がありますね。
(一見、自分の担当するスポーツと対照的ですね)
以前に「スポーツ写真は本性が出る」という講評を
某コンテスト(初めてお会いしたアレ)でいただいたのですが
その本性を納めるのは、いつまでたっても大変だなと改めて感じる記事でした。
by こぶ平 (2011-04-11 00:06)
こぶ平さん、お久しぶりです。
写真、撮られていますか? 私は最近は、どうも気分が乗らなくて。これではダメなんですけどね。
どんなスポーツにも、喜怒哀楽はあると思うのですが、それをしっかり納めるとなると、運ととっさの判断力が
必要かなあ、なんて思っています。
また年末にお会いできたらイイですね。
by ジュニアユース (2011-04-15 18:34)