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機上の人 [巷の雑感・時の想い]

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七夕の日には、およそ望まれないであろう、一面の鉛色
往路には、大粒の雨に遮られたこともあったというのに
大阪湾に浮かぶ孤島着けば、待っていたかのように青色が広がる
日が射せばアスファルトを焼き、陽炎が揺れる
ここは旅立ちの地、別れの日

飛び立てるということは、羽ばたく力が付いたということ
真っ直ぐに進めるということは、目標があるということ
振り返らず躊躇ない姿は、意志があるということ
願ったことに挑めるのは、シガラミの無い身軽さの証拠

展望デッキに追いやられた身に、先程まで見ていた残像がゆらめく
別離が悲しい?
心配?
自らの無力を感じる?
悔いる?
うらやましい?

力強い爆音が、頭上はるか彼方に行き去れば、静寂の中
言いようも無く湧き上がるのは、寂寥感なのか
否、いや、否と思う、否に違いない
別れ際に握った彼の手は
14年間シュートを防いできた手ではなく
もっと大きくなっていることに気付かされた

機上の人よ
失敗や挫折に恐れるより、飛び立つことを選んだ若人よ
前へ上へ、思ったように飛ぶがいい
しかし、永遠に飛び続けること叶わぬ時、いつか来るかもしれぬ
その時の為に、この大地にて佇み続けることとしよう
この親の命尽きる時まで



機上の人2.jpg




以前のブログ、そしてこのブログでも話題にしたことのある愚息1号。東京での大学生生活3年目となるはずの今年でしたが、7月7日夕刻、関西国際空港から海外留学に飛び立ちました。帰国は8か月後の予定。
大学を休学して留学したいと言い出しても、これ以上の経済援助は出来ぬと告げると、ならば1年の休学を認めてほしいと頼んできたのは、昨年末の事。この4カ月の間アルバイトに励み、留学費用を自分で工面し、フィリピンへ単身での留学を決めてきました。いつの間にか、もう子供ではないですね。
多くの方々に応援していただいた愚息1号ですから、きっとまた、元気な姿をご報告できることと思います。もちろん、心配する気持ちが無い訳ではありませんが、今はただ、見守るのが親の役目と信じています。
くだらない記事ですが、我が家にとっては大事な事なので、ここに書かせていただきました。お付き合いいただき、ありがとうございました。

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副将

いいですねえ、海外留学。

経済面の問題を自力で解決してチャレンジしてくれるならどんどんやってみてほしいですね。

一回り大きくなって帰ってきてくれることを期待しますね。
by 副将 (2012-07-08 11:51) 

うらくん

うちはまだ、4歳なので海外に1人で行くと言う事がまだピンときません。
やはり淋しいでしょうし、当然心配ですね。
ひとまわりも、ふたまわりも大きくなって帰ってくる息子さんが楽しみですね。
それにしてもフィリピンとは。
by うらくん (2012-07-08 13:30) 

二児の母

同じ年代の子を持つ親として、心情あふれる文章に触れ、胸がつまる思いが湧き出ました。
ジュニアユースさん、ご立派だと思います。
親子関係の難しい年代、殺伐とした話題の多いなか、それぞれの立場で、しっかり生きていらっしゃる姿には、きっと幸多いことだと信じています。

by 二児の母 (2012-07-08 17:06) 

yusuhara

ご長男、男らしい男になったのですね

第三者からすると「負けてられない」と

そして近いところから見ると

「気をつけてガンバレ」とエールを送りたいです。

by yusuhara (2012-07-09 14:37) 

ジグチッチ

いつもブログを拝見しております。
うちの長男は今高二ですが、最近遠い学校への進学を匂わせるようになり、子離れのココロの準備が全く出来ていないことにあらためて気がついて、うろたえるばかりです。
ジュニアユースさんの文章が心にしみて泣きそうになりました。
ご長男さん、どうかご無事でとお祈りいたします。
by ジグチッチ (2012-07-09 19:54) 

Cimarron

きっと良い経験ができますね!
来年の9月には私の息子は何処に居るだろうか?たぶん自宅から通学できる範囲で受験するようです・・・・
by Cimarron (2012-07-10 06:37) 

ジュニアユース

みなさん、こんな記事にコメントをいただき、ありがとうございます。
本来なら、お一人お一人に返信すべきところですが、今回はまとめてでご勘弁ください。

本人が望まないのならいざしらず、海外へ1人で出てたいというのなら、まずこの大学生2年~3年の時期が
私もベストだと思うし、いろんな意味で吸収するにも良いと思いました。もちろん、心配もあります。けれどそれより、
私にもう少し余裕があれば、愚息をもう少し援助でき、違った場所へ留学できたかもしれない、と思うと、
親として情けなくて、恥ずかしくて、不甲斐ない親で申し訳ない気持ちで一杯です。カメラ機材を売れば、少しは
足しになったかもしれませんが、それは最小限にとどめ、不要なものを見つけては売り、ダイエットの意味で
食費を削り、そうして僅かに貯めた金で、必須であろうノートパソコンを送ったのが精いっぱいでした。

「がんばってくるよ」という愚息に、「がんばらなくていいよ」と言いました。それは、東京に出るときにも言った
言葉です。もう一人で考え、行動できるのだから、今はそんなに無理にがんばらなくても、大丈夫、きっと
ちゃんと成長した大人になれると信じていたからです。
遠く離れたかの地で、愚息はこのブログを見ているかもしれませんので、ちょっとだけ書き加えさせていただきます。

そんなに頑張らなくていいよ
自然に過ごして、戻って来なさい
それで十分得られるものは大きいと思うから
けれど、頑張らなくてはならない時が、これからの長い将来、いつかきっと来ると思う
それはね、
夢を諦めなくてはならなくなったとき
誰かのために自分が犠牲にならねばならぬとき
家族のために、望まぬことを強いられるとき
そんなときが来れば、この父は必ず言います
頑張れ!
と。

私的な話にお付き合いいただいた、温かい心情の皆様、ありがとうございました。

by ジュニアユース (2012-07-10 21:56)