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サッカー撮影62(1.4xテレコン or APS-C機 その1) [サッカー撮影]

このブログで以前書いたことがありますが、昨年12月に皇后杯全日本女子サッカー選手権の撮影に行きました。場所は私のホームグランドだったのですが、いつものように撮影ポジションを自由にできず、限定された場所からの撮影を余儀なくされました。機材はいつもの、1D MarkⅣ+EF400mm F2.8 L IS だったのですが、これだとちょっと短いか、と思えることが出てきてしまいました。さてそこで、1.4xEXTENDER(テレコン)を使うか、との考えが出てきてしまいます。光量的にはISOをちょっと上げるだけで対処できると思われる状況でしたし。しかし、そこで私がチョイスしたのは、サブ機として持ち込んだAPS-C機の7Dにボディを替えることでした。もちろん、1D4と7Dの性能差はあるのは承知の上ですが、これで何とか乗り切った次第です。
さて今回は、このケースを題材にして、1.4倍テレコンとセンサーサイズの小さいAPS-C機を考えてみたいと思います。もちろん、「サッカー撮影において」という前提ですので、静物撮影やもっと焦点距離の短いケースでは当てはまらない事もあると思いますので、その点はご留意ください。

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一眼レフのデジタルカメラをお使いの方には、もう常識的な事なのですが、まずはおさらいしておきます。
1枚の写真を36mm×24mmのフィルムに写すために規格された一眼レフカメラとそのレンズ。このフィルムを電子センサーに置き換えたのがデジタルカメラです。受像センサーをフィルムと同じ大きさにすれば、このようなことにはならなかったのですが、当時(そして今も)高価なセンサーをその大きさで搭載すれば、カメラ本体の価格が跳ね上がり、市場浸透力が劣る結果を招くだろうと思った各メーカーは、APS-Cという既に忘れ去られたようなサイズを持ち出して、既存の一眼レフボディに搭載することで価格を抑え、普及に努力し始めたのが10年以上前のこと。その目論見は程なく当たり、今に至って更に価格下落を呼び、一眼レフデジタルカメラが一部のお金持ちの道楽の道具ではなく、特段珍しくないものにまで普及しました。そしてコスト削減と量産効果もあって、本来のフィルムと同じ36mm×24mmの受像センサー(APS-Cに対してフルサイズと呼ばれてます)を搭載した機種も、まだ高価ながら複数の機種が存在するに至っています。主にコスト面での妥協によって出てきたはずのAPS-Cサイズセンサー搭載デジタル一眼レフカメラは、では無くなっていくのでしょうか? APS-C機専用のレンズも含めて広く普及に貢献した結果、今では立派に確立されたものとして、今後しばらくは無くなることはない、と私は思っています。

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APS-Cサイズは各社・機種によって若干の大きさの違いはありますが、上図のように、面積的には概ねフルサイズの半分以下です。レンズによって入射される画の中心部分のみを受像して記録するために、その画は実際に使われるレンズの画角よりも更に狭い画角の画となり、故にこの画角の狭小化がレンズの焦点距離を伸ばしたような結果を招きます。CANONで言えば、使用レンズの約1.6倍(NIKONでは約1.5倍)の焦点距離のレンズを使ったのと同等と言われています。私が現在もメインに使っている1D4のAPS-Hセンサーは27.9×18.6mmで、フルサイズとAPS-Cとの中間的な大きさですが、これも約1.3倍の望遠効果があると言われています。一眼レフカメラはレンズを通して得られた画を、ミラーで反射して直接見ることができることが大きな利点の一つなのですが、その画の一部しか記録しないとなると(面積的にフルサイズの半分以下となると)、ファインダー内で見る画が小さくなって見難くなると思われますが、実際にはメーカーはファインダー倍率を少し上げることによって、その弊害を少なくするように苦心しています。

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ここまでは私がわざわざ書かなくても、既にみなさんご存知のことと思いますが、以上の概念図を用意しましたので、下に載せます。正確な縮尺の元での画ではなく、あくまで概念図ですので、感じだけ分かってください。

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これに対してテレコンはどうでしょう。動画のビデオカメラと違い、一眼レフスティルカメラにおけるテレコンとは、レンズとボディの間に挟み込むレンズのことで、装着するマスターレンズを通して得られた画を1.4~2倍に拡大して受像センサーに導きます。レンズを通って来た画がフルサイズセンサーに合致した大きさだとしても、それを拡大して大きくするのですから、その拡大した画全てを受像できるわけもなく、画中心部分の一部を受像するということになります。つまり、1.4倍にしろ2倍にしろ、テレコンを使うということは、レンズを通って来た画の中心部分を拡大して記録することであり、画として使われるのは、マスターレンズの中心部分なのです。これは先にテレコンを使わないAPS-C機の、フルサイズ用レンズを通して得られた画の中心部分(APS-C面積)のみを記録することに似ています。
もちろんご存知のように、テレコン使用には欠点もあります。レンズとボディの間に更にレンズを入れるのですから、透過光の減少を招き、開放F値が低下すること、現在の電子マウントではレンズとボディはデータ通信を行って測距&モーター駆動していますから、間に介在する機材が増えることでAF速度の低下を招くこと、レンズを通った画を更にレンズを追加して拡大するのですから、解像度の低下や収差などのマイナス面も拡大してしまうことなど、等です。
ではフルサイズセンサー用レンズに1.4倍テレコンを付けてAPS-C機で受像した場合はどうでしょう。元々、レンズを通って来た画の一部しか受像しないのに、そのレンズを通って来た画を拡大した上で、小さいAPS-C面積しか受像しないとなると、実際にレンズを通って来た画の更に一部しか受像していないことが、下の概念図からもお分かりいただけるのではないでしょうか。そうした狭い画角(つまりはレンズ中心の一部しか使っていない)になるからこそ、焦点距離が延びたような効果を生むのです。それ故に、レンズ中央部の狭い範囲での解像力・分解能力が非常に高いものでないと厳しい、という結論に達するように思えます。

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私の結論から先に申し上げれば、フルサイズ(またはAPS-H)機にテレコンを使うことが有っても、APS-C機にテレコンは避けたい、です。

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上の2枚の写真は1D MarkⅣ、下の2枚は7Dです。使用レンズはどちらも、EF300mm F2.8 L IS。

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