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「荒野の七人」 [本・映画・アニメ・詩歌]

前回は「マグニフィセント・セブン」という映画を紹介しましたが、同じ題名を使っているのにあまりに落胆したので、正真正銘の「マグニフィセント・セブン」を買って見てみました(もちろん、ブルーレイです)。

荒野の七人.jpg

アメリカ西部開拓史の時代。メキシコ国境に近い辺境の街の道端で、男たちが言い争っていた。
「渡した金では足らないのか?」
「金じゃあないんだ、とにかく葬式は取り止めだ」
「待てよ、俺はケチな行商人だが、目の前に死人が転がっていて放っておけないだけなんだ」
「とにかくダメなんだ、この街ではそれができないんだよ。金は返す」
「この街じゃ? どうして?」
「20ドル貰えれば誰でも埋めてやるさ。でもダメなんだ。墓場に相応しくない死人だって」
「だってあそこに埋められているのはみんな、人殺しや盗人や無頼漢の類じゃないか」
「それでも、白人なんだよ。あの爺さんはインディアンなんだ」
「こりゃ驚いたね。仏になって墓場に入るのに差別されるのか。何時からだい?」
「この街が出来てからずっとさ。馬車の御者も怖がって逃げちまった。だから金は返すよ」
『待て! 乗り手ならここに居るゾ』
遠巻きに見ていた男達の中から黒シャツの男が歩み出し、葬儀馬車の手綱を握った。それを見たもう一人の男が、「ちょっとそれを貸してくれないか」とライフルを手にその横に座る。
「待ってくれ、この馬車は特別製で高いんだ。穴だらけにされちゃあ困る」
「だったら、俺たちが修理代を出してやるよ」と見守っていた男達が金を出し合い、葬儀屋に押し付けた。
葬儀馬車は静かにゆっくりと中心通りを進んだ。緊張感に包まれる街。その様子を見ようと、多くの群集が距離を置いてその後を追う。途中、「お前達!とんでもない眼にあうゾ!」と罵声が飛ぶが、黒シャツの男は凛として動じない。ついに建物の二階から発砲。しかし瞬時にライフルが始末する。そうして墓場までたどり着いた馬車の前に、銃を手にした男たちが立ちふさがり、ここから引き返せと脅す。その男たちが自らの銃に手を掛けようとした刹那、黒シャツの男の早打ちがその男たちの腕を打ち抜く。その威圧に恐れをなしたか、黙って男たちが道を開ける。無事に埋葬を終えた葬儀馬車が、今度は颯爽と駆け足で戻るのを見た群衆から歓声が上がり、葬儀業者は「オレの奢りだ!みんな飲んでくれ!」と叫ぶ。馬車を降りた二人は、お互いの名前を言い合って(そこでこの二人が初対面なのが分かる)別れて行く。

この映画の冒頭に有るシーンですが、『漢』じゃないですか! 痛快じゃないですか! この先を期待させるじゃないですか!
黒シャツの男はズボンも帽子も黒で、常に冷静な素振りながら、幾多の血なまぐさい修羅場を潜り抜けてきた流れ者のガンマンにしては、凛とした正義感や価値観・信念を感じさせ、後に仲間のまとめ役になるクリス。演じるのは、黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)に感動し、リメイク権を入手した若きユル・ブリンナー。そして葬儀の件で知り合い、どこか軽妙洒脱なところがあるヴィンはスティーブ・マックイーン。他にも当時はそれほど著名でもなかった役者たちが、個性豊かなガンマンを演じます。本当は、この七人の個性や過去、なぜ参加するのか等にもう少し時間を割いてほしかったのですが、128分の収録時間に収めるのには難しかったのでしょうね。その点、黒澤明監督の『七人の侍』は、映画としては207分の長編で、途中5分間のインターミッション(休憩)を挟みますから、より緻密で重厚な感じがします。
話の内容は、1961年日本公開ですから、きっとコレを見られた方が多いことだろうと思い、割愛させていただきますが、自動小銃やマシンガンの無い時代です。一発撃つのに一回づつ引き金を引かねばならぬリボルバーやライフルで敵を倒すのですから、現在のバイオレンスアクションのような派手さはないかもしれません。かといって、話のテンポの遅さや戦闘の退屈さは無く、最後まで一気に魅了されます。もう半世紀以上前の映画ですが、この有名なテーマソングといい、話の筋といい、役者の配置といい、西部劇と言われる映画を代表する名作だと思います。もちろん、私の大好きな映画の一つです。




物語の終盤に入る頃、村長に裏切られた七人は村を追い出されます。自らの命を懸けるにはあまりに安い、僅か20ドルで雇われただけのガンマンです。実はそこで帰ってしまってもおかしくない。実際、七人の内の一人ハリーは「俺は降りた」と去って行こうとします。けれど、村に戻って戦う選択をします。村人の協力も期待できないのに、なぜでしょう。私はそこに、男としての「矜持」を感じました。この点は、最後まで村人と共に戦った「七人の侍」との最大の違いですね。





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