SSブログ

過去へのいざない [巷の雑感・時の想い]

好きな人ができてお付き合いする、それはつまり恋愛交際です。しかし、「結婚する」「婚姻届けを出す」となると、それまでは親の戸籍に入っていた二人が、それぞれの親から独立し、新しく夫婦の戸籍が作られます。それは一つの家庭の誕生です。その後、子供がいる・いない、親と同居する・しない、は様々でしょうが、誕生した「家庭」は人と同じように、年月を重ねるにつれて、嬉しいこと・悲しいこと・喜んだこと・悔しかったこと等の出来事を重ねて行きます。良かれと思って決断したことが予想外の方向に行ってしまったこともあるでしょうし、突然思わぬ不幸が降りかかってくることもあるでしょう。喜びや感動を家族全員で味わったこともあるでしょう。人がその人生において経験するそんな出来事が、個人のみではなく、家庭という器に降り注がれるものだと考えれば、社会という大きな枠組みから見れば、ほんの一片に過ぎなくても、その想いや記憶は貴重で大切にしなければならないことでしょう。その「家庭」も生まれたばかりの頃は未熟で無知で微力ですが、それを構成する人たちが大切にしたいという気持ちを持ち続ければ、まるで生き物のように成長していくものだ、と今振り返って思います。
私は結婚して三人の子供に恵まれました。「五人の家族」とは、五人の人間の集合体ということです。人は生まれたばかりの頃は泣くことしかできないにしても、様々な経験を積み重ね、夢や希望を持つに至り、それを具現化する力を蓄え、他人を思いやる心を養いながらも、この人の世で生きていく術を身に付けていく。それが人の成長というならば、この家庭もまた同様に、親が親らしく、子が大人になっていくように、成長していくのだと思います。ただ、成長は変化でもあります。いつまでも同じ形でいることはできないのかもしれません。いや、その必要性は最初から無いのかもしれません。人が日々成長していくのなら、家庭もまた成長する、つまり変わっていくものなのでしょう。

過去へのいざない.jpg

ここに一枚の写真があります。この写真は永らく、家族が集まるリビングに飾ってありました。家内がお気に入りの額に入れて置いたので、いつも家族全員が目にしたものです。この写真を撮ったのは2001年でしたから、我が家庭が出来て15年目のことです。そしてもう一枚。この写真も永らく、先の写真と同じように飾られていました。「あの写真と同じようにして撮ろう」と言って、同じ場所で同じように撮ったもので、それは2008年のことでした。
一枚目の写真を撮る前も、一枚目と二枚目の間の7年間にも、そして二枚目を撮った後も、我が家にはいろんなことがありました。この二枚の写真はずっと並べて有りましたが、今ではこの写真を眺めるのは、私と家内だけになってしまいました。これを見て私の胸に去来する想いは、この家庭が歩んできた道程です。それは家内の胸の内のものと同じではないかもしれませんし、それは不思議なことでもありません。私も家内も、一人の人間なのですから。でも共有できるものもあります、共感できるものもあります。長い道のりを共に歩いてきたのですから。
今や写真など、誰にでも何時でも簡単に撮れるものです。それでもずっと後になって、長い時間の中で沢山の出来事が有って、それが思い出として記憶に残っていれば、何気なく撮った一枚が過去への誘いのスイッチになることもあります。人も家庭も変わっていくものなのですから。それを懐古趣味と笑わないでください。振り返って思いを馳せるだけのものを持っている、と胸を張っていたいから。
撮られた写真は変わらない。変わるのは、それを見る人の方なのです。

nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 2

コメントの受付は締め切りました
wataru-wata

ジュニアユース様、おはようございます☆

朝から素敵な文章を読ませていただきました。

結婚相手という奇跡的な出会いで誕生した家庭が、神様の贈り物として子供を授かる事ができて家族が増え、実際に子供を持たなければ絶対に分からなかったであろう事を沢山学んでおります。

今でさえ幼稚園の頃の写真を見て色々考える事がある私ですから、ジュニアユース様の立場になられるとまた全然違うのでしょうね。

子供を無事育てるのも凄く大変だと思いますが、その基礎となる夫婦関係を長く続けてこられているのもジュニアユース様の凄さかと思います。

私も将来、同じように感じられる立場になりたいです。

ひとりぼっちにならないようにしないと(苦笑)
by wataru-wata (2019-07-18 08:19) 

ジュニアユース

wataru-wataさん、こんにちは。
私は偉そうなことを言えるような、特別なことは何もしてこなかったです、夫になる時も、父になる時も。
そんな立派な人ではないのですよ。
昔も今も、悩んだり苦労したりしてきましたが、それらを振り返れる現在があることが嬉しく思います。

by ジュニアユース (2019-07-19 21:58)