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サッカー撮影117(縦か横か その1) [サッカー撮影]

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これまで私はサッカー撮影において、狙った選手を「大きく撮る」ことを推薦してきましたし、ブログでも折を見て、そう書いてきました。ここで今一度、大きく撮ることの意味・メリットをまとめたいと思います。

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1.撮りたい被写体(選手)をはっきりさせる
サッカーは広いピッチ内で、双方11人のチーム(小学生は8人)がボールを奪い合い、ゴールを狙う競技です。広いピッチといっても、選手同士がボールを奪い合うのですから、重なり合うケース(往々にして、そういったシーンが魅力的)が多い。それは、ファインダー内に複数の選手が入ってくることを意味します。その場合、撮影者が「どの選手が撮りたいのか」をハッキリさせる、写真としての主題をハッキリさせるために、狙う選手を大きく撮ることは意味有ることだと思います。小さいと情景描写的になり、私が嫌っている「サッカーをやっている風景」になりがちです。その点で上の①の画はちょっと避けたい。それに比べ下の②の写真(同じ試合で撮ったもの)は画面内に複数の選手が入っていても、撮影者である私がどの選手を撮りたいのか、一目で分かると思います。

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2.正確なピント合わせのため
サッカー撮影は動体撮影です。プレイ中の選手は常に動いています。いや、時に歩いていたり、止まっていることもありますが、そういったシーンを撮りたい訳ではないでしょう。相手チームの選手と競り合う、ボールを保持して駆け上がる、そんなシーンを望んでいるはずです。現在のデジタル一眼レフカメラのオートフォーカス(AF)は優秀ですが、狙う選手の動きは不規則で、一定方向・一定速度ではありません。そんなプレイ中の選手に、しっかりピントが合った写真でなければ意味ないでしょう。指定したAFフレームで選手を追う際に、ファインダー内で狙う選手が小さいと、どうしてもピントを外す可能性が高くなりますし、ピントが来ているのか確認することも難しくなります。ファインダー内である程度以上の大きさで捉えてこそ、この不規則に動き回る難解な被写体にAF性能を駆使できると思います。上に挙げた①の画を等倍で切り出したものが下の③の画です。撮りたいオレンジユニフォームの選手は僅かにピンを外し、実は背後の白ユニフォームの選手にピンが来ていることが分かるでしょうか。やはり最低でも、下の④の画ぐらいの大きさで選手を追いたいところです。

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3.狙った選手以外をぼかす
プレイ中の選手を撮るに当たって、複数の選手がファインダー内に入り込むことが多い、と書きました。その複数の選手全てにピントが合ってしまうと(被写界深度が深すぎると)、撮影者がどの選手を撮りたいのか、ハッキリしません。狙った選手・撮りたい選手にピントがしっかり合って、それ以外の選手や障害物はボケることが、主題をハッキリさせることに繋がります。撮影者と選手との距離が遠くて小さいと、狙っていない選手までピンが来ることが多くなります。対して撮影者と選手との距離が近くて大きいと、被写界深度は浅くなり、狙った選手以外をぼかし易くなります。下の⑤の画はノートリミングですが、これを拡大してみたのが⑥の画(等倍切り出しではまだ大きいのでサイズダウンしてあります)です。

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中央の白ユニフォームとピンクユニフォームの選手両方にピンが来ています。さて、私が撮りたいのはどちらでしょうか。それに対して下の⑦⑧の画も複数の選手が画面内に入ってきていますが、撮りたい選手以外にピンが来ていないので、写真としての主題がハッキリしていると思います。

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4.背景を整理できる
画面内に撮りたい選手が大きいと、必然的に背景に当たる部分が小さくなり、背景から得られる影響を小さくできます。もちろん、背景から良い影響を得られる場合もありますから、一概に背景部分が小さければ良いとは言い切れませんが、広いピッチを動き回る選手を撮る、しかも撮影ポジションが制限されるサッカー撮影に於いて、撮影者自身が背景を任意に選択できる可能性は決して高くはありません。その場合、選手を大きく捉えて背景部分を小さくすることで、背景からの悪影響を小さくすることができます。上の⑨の画のように背景が、試合とは関係ない駐車場の車やバスでは、いかがなものでしょう。横断幕も試合に臨場感を加味するものですが、⑩の画のようでは、主体が霞むと言えないでしょうか。対して⑪の画では背景部分が小さく、その影響があまり有りません。

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5.写真に迫力が出る・克明に撮れる
被写体であるプレイ中の選手を撮ることは、人物撮影には違いありませんが、撮影者側からポーズや位置を要求することはできません。撮りたいのは、必死にボールを追う表情であり、体全体から感じられる躍動感であり、飛び散る汗、ボールを追う眼、ユニフォームの下から垣間見られる筋肉だったりします。それらを感じさせる画を欲するなら、やはり被写体である選手をある程度以上の大きさで撮らなければなりません。そうでなければ、記録としての写真の域から脱するのは難しいでしょう。

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6.難しい
これまでも書いてきましたが、サッカー撮影は主に試合中の選手を撮ることです。このプレイ中の選手は広いピッチ内を不規則に動くので、いかにズームレンズを駆使したとしても、大きく捉えることは容易ではありません。つい無難に小さく撮ってしまいがちです。しかしそれでは上達は有りません。画面内で小さく撮ることは簡単で、選手を大きく撮るほど難易度が上がります。そしてそれができた時、つまり狙う選手を大きく撮れた時は、撮影者自身に大きな満足感を与えるでしょう。それを狙うべきです。それを狙わなければ上達は無い、と言い切ってしまいましょう。サッカー撮影についていろいろ書いてきましたが、その目的や欲する画は撮影者によって異なると思います。しかし、この難解な動きをする選手を大きく撮ることができる力量なら、小さく撮ることは簡単です。逆は至難です。私が大きく撮ることを勧める最大の理由がここに有ります。自身のスキルアップの為、なのです。

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(今回掲載の③と⑥以外の写真は、ノートリミングです)

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アプロ

最近はあまり難しいことは考えずに、遠くは横、近くは縦で撮ってます。
by アプロ (2020-02-06 21:39) 

ジュニアユース

アプロさん、こんにちは。
それはアプロさんが、縦でも横でも、思い通りに撮れる腕が有るからでしょうね。
やっぱり単焦点レンズを使う場合は、私もそんな感じです。

by ジュニアユース (2020-02-07 22:59) 

wataru-wata

ジュニアユース様、おはようございます☆

「ジャスピンで大きく撮る」は撮影の基本かと思っている私です。

ただ、その基本さえ身につけられていないので、拝見しながら恥ずかしくなりました(汗)

やっぱ練習あるのみ!ですよね?

by wataru-wata (2020-02-10 08:36) 

ジュニアユース

wataru-wataさん、こんにちは。
おっしゃるとおりですね。
カメラはこんなに進歩・進化しているというのに、なかなか思ったように撮れないのがサッカー撮影です。
続きもお付き合いいただければ幸いです。

by ジュニアユース (2020-02-10 09:14)