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8月がゆく [巷の雑感・時の想い]

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暦なんていうものは、所詮は人が定めた区切りだから、9月になって急に秋になるわけではありません。ギラギラ照りつける暑い日が、9月にだってあるはず。でもそれを人は「残暑」と呼び、「夏真っ盛り」という表現は使いません。暑さのピークが過ぎたことは確かだと思うのですが、それが安堵ではなく、行く夏を惜しむ気持ち、何となく物悲しく感じられるのは、私だけでしょうか。
大人の私たちに立派な夏休みが有るはずもなく、それが毎度8月31日で終わるはずない。きっと、小学生の時、中学生の時、期待に胸を膨らませて迎えた夏休みが、とうとう終わってしまうことへの気持ちが、強く脳裏に擦り込まれているからでは、とも思いました。夏は暑いからイヤだ、早く過ぎ去って欲しい、と思っている人も、きっと居るでしょう。それでも1ヶ月以上の休みを前にして、休める・遊べる・何処かへ行ける、とワクワクした気持ち、皆さん少しは経験したのではないでしょうか。それが小学生・中学生の都合9年間も連続して体験していれば、まあ多感な時期でもあり、潜在意識に擦り込まれた、としてもおかしくないかな、と。
月替わりと考えればどうでしょう。12月から1月へは年替わりも加わるので、一番大きな変化であるのは間違いない。3月から4月にかけても年度替わりになるので、そこそこ。それらに比べれば、8月から9月へ移るのは、それほどでもないような。でもやっぱり、7月から8月への替わり方に比べれば、一区切りついたような気もします。
お盆休みが過ぎてからは、もう既に年末へ向けての坂道をひた走っている仕事人の方々にとっては、何を悠長な事を、と叱られてしまうかもしれません。子供たちにしても、運動会・文化祭などの行事を控えて、立ち止まっている暇はないのかもしれません。また一つ、季節が動いていくことに感傷的になっているのは、暇人の私ぐらいでしょうか。
頭上の雲も、あのボリューム感がいつのまにか無くなり、随分高く上がってしまったようです。そういえば、日が傾いても地面からまとわりつく熱気は、いつの間にか姿を消し、セミの声も去ってしまいました。暑い、暑いと言いながら、活動的にポジティブに、頭と体が向いていた季節が過ぎ去っていくのを感じたら、この夏、何を行い、何を残せたか、振り返る時期がまたやって来たのだと教えられ、だから何となく寂寥感を抱くのかもしれません。

今年もまた、夏がゆきます。

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