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「ルパン三世 カリオストロの城」 [本・映画・アニメ・詩歌]

さて、前回書きました新カテゴリーで、まず最初に取り上げるのは、「ルパン三世 カリオストロの城」です。

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な~んだ、そんな昔のアニメか、と思われる方もいると思いますが、まあ私のことですからネ。しかしこのアニメ、というかこの作品、私の中では未だ最高ランクに位置しているので、最初に取り上げるにあたってコレを選ぶのは、私的には至極当然なのですヨ。1979年12月に劇場公開された、劇場版ルパン三世の第2弾であり、かの巨匠・宮崎駿の初監督作品です。その後ビデオやDVDが発売され、何度もテレビでも放映され(1980年から今年まで13回も)、その都度安定した視聴率を取ってますから、今なお色褪せない作品と言えるでしょう。あらすじ等はここで私が書かなくても、皆さんご存知の事と思います。
作画的には、今の基準から見れば大いに見劣りするのですが、何といっても話のテンポが小気味イイ。スローなところと活劇としてのアクションシーンの切り替えというか、その対比と組合せにまったく無駄も隙が無い。約2時間という尺の長さを全く感じさせず、一気にラストまで突っ走ります。その中でも、ユーモアとスローな部分が活きてますよね。もちろんソコはさすがの宮崎駿、TVシリーズ(1stを除く)のオチャラケた軽々しい描き方とは違います。
例えば前半部分で、ルパンと次元がカリオストロ公国に潜入した直後、車がパンクします(TVシリーズのメルセデスSSKじゃなくてフィアット500という点もイイですね)。見つめ合った二人がいきなりジャンケン。ここでどちらかが「ジャンケン・ポン」なんてセリフを吐いたら興ざめ、お子様向けアニメになってしまうのですが、無言のうちにグー・チョキ・パーを繰り出す二人。そして鳥の鳴くのどかでスローな雰囲気のなかでタイヤ交換。と、その数秒後には壮絶なカーチェイス、とまあ、子供向けテレビアニメとは構成力で一線を隔すに充分な内容。それはつまり、ルパン三世自身をある程度大人に(年齢的に30代か)設定したことも一因かもしれません。

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クラリスと初対面のシーンでの二人の会話も、低級なアニメとは一線を隔します。そこまでたどり着く苦労は微塵も見せず、生真面目にも絶望的状況を背負い込むクラリスに話しかけるルパンのセリフは、このアニメのクオリティを端的に特徴付けている、名シーンだと思いました。そのヒロインたるクラリスも、「可憐」という言葉そのもので、実写ではまず絶対にできないであろう人物描写。銭型警部(TVのようなドジ刑事ではない)その他のキャラクターも、短いながらも見る者にしっかり伝わる描き方で、この点でも手抜き無しです。最後の銭型警部の有名な一言は、今見るとちょっと気恥ずかしいくらいですが、その直後に一瞬、ルパンを追うトラックの荷台から機動隊員が笑顔で手を振って別れるシーンを入れるなど、なかなか。全体を通して、実に完成度の高い作品だと、今でも確信しています。
私は宮崎駿崇拝者ではないのですが、最近の同氏の作品が、まずイデオロギーありき、で作られているような気がして、娯楽作品として手放しで楽しむには、この頃の作品まで戻らなければならないか、とも思っているのです。大人も子供も楽しめる作品、というのは、子供が歳を重ね大人になった後に見ても楽しめる、ということと同意で、普遍的な魅力を持った作品だ、と言えると思います。まだ一度も見たことが無い、という方は少ないと思いますが、DVDにしろBlu Rayにしろ、手元に残して置きたい作品だと思いました。


追記・・・


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