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YAMAHA FZ400R [日々の徒然]

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どうしてオートバイの免許を取ろうと思ったのか、未だにはっきりとした理由を思い出せないのですが、社会人となった1年目に、中型自動二輪の免許を取りにいきました。既に自動車免許を持っていたので、教習所通いもそれほど長くなく、仕事をしながら通ったにしても、意外と簡単に取れたと思います。バイクがそれほど好きな訳でも、興味が有った訳でもなかったですが(それ故、大型二輪はまったく眼中に無し)、社会人としての生活も軌道に乗り、何だか無為な時間ばかりを過ごしているように感じて、今しか取れないだろう、と思って行ったのかもしれません。自動二輪ではなく、大型自動車免許だったら、今は違った仕事をしているかもしれませんね。
免許は取ったものの、そんな曖昧な動機だったせいか、すぐにバイクを買おうという意気込みも情熱も無く、また社会人2年目では貯蓄も無く、さりとて興味が全くない訳でも無く、という中途半端な状態が続いていた時、会社の後輩がバイクを買ってしまいました(中古ですけど)。まだバイク=暴走族のイメージが完全に払拭しているわけではなかったですが、当時はスポーツ系バイクが花形だった時期で、それもレーシングレプリカと呼ばれる、市販レーサーをスペックダウンしたようなモデルが注目を集めていました。当時のF3クラスが4スト400cc、2スト250ccという規定が有ったせいで、そのベースマシンが各社から出揃い始めた時期でした。後輩が買ったのはそんな一台、HONDA CBR400F でした。最初は、HONDA VT-250Fでも、と思っていましたが、後輩が実際に乗っている姿を目にすれば、私の物欲に火をつけた、というのは想像できるでしょう。アメリカンなどには目も向けず、狙いはスポーツ系バイクのみ。新車は無理だけど、程度の良い中古は無いものか、2サイクルは性に合わないから、4サイクル4気筒400ccで、と探してみると(当時は東京都大田区に住んでいたので、その点でも有利だったかも)、見つけてしまったんですよね、走行距離僅かの新古車を。出たばかりのボーナルと僅かな蓄えを全て使って買ったのが、YAMAHA FZ400Rでした。初めて買うバイクとしては、ちょっと辛口なモデルだったのですが。

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今の私の残っている僅かな記憶をたどると、このFZ400R(1984年発売開始)は、この手のスポーツバイクの中でもかなり硬派なモデルで、メインフレームはスチール製角パイプでしたが、アルミ角断面スイングアーム+モノクロスのリアサス、当時流行のフロント16インチ&リア18インチホイールという、YAMAHAが作ったF3レーサーベースモデル。低回転域ではトルク感は稀薄で、前傾姿勢をかなり強要されるポジションで、しかも乗り心地も悪く、ミッチョンもガキッと堅く、低速で回る交差点などではドアンダーで、とまあ、街中では決して乗りやすいバイクではありませんでした。後輩のCBR400Fの乗り易さとは大違い。ところがです、街中から峠に連れ出してみると表情一変、牙をむいた素顔が表れます。5500rpmを超えると、緻密に組み上げられたことを示す金属音と、元々大人しく無いエキゾースト音は快音領域へ導き、もっと廻せとライダーを挑発します。乗り心地の悪さはバンクしたときの剛性感に変わり、ダラ~と走った時のアンダーは、きちんと加重移動を加えれば実にクイックでシャープ、そして深いバンク角。考えてみればそれは当然で、こうした場所を走るために生まれてきたバイクなのですからね。
その毒牙に魅了されてしまうと、峠に行きたくなります。早朝の奥多摩や箱根を目指し、後輩と一緒に走りに行ってましたね。元々タンデムなんかできないようなシートでしたから、行くのはいつも後輩と二人(二台)だけで、深夜4時頃出発。早朝といえども週末の峠はそれなりに賑わっていたようですが(その分警察の監視も厳しかったようですが)、私たちは平日にしか休みが取れない仕事でしたから、結構空いていて(AM8時までは)、初心者なりに楽しめたと記憶してます。そうなんです、腕を上げるとか、レースに出る、なんてことは端から頭には無く、自分のバイクで自分の力量の範囲で、思いっきり走らせられれば、それで充分だったのです。その道の玄人の方々もいましたが、そんな方々と一緒に走ることも無く、特にチームやクラブに所属する気も無く、気持ちよく走って、帰りに美味いものでも食べて帰る、という、バイクは硬派なのに、ライダーは軟弱な我々でした(それでも帰宅すると、腕や足が筋肉痛でしたから、これもスポーツなのかも)。
そんな我々でも何度か事故を見ましたし、谷底に落ちた人を救ったことも、救急車を呼びに走ったこともありました。四方を鉄とガラスで守られた自動車とは違い、運転者はむき出しの身一つですから、コケればモロに肉体に響きます。ましてや自立できない二輪ですから、目の前のカーブの湾曲具合を読み間違えて(自動車なら僅かにハンドルを切り足せばいいだけですが)、少しでもオーバースピードで突っ込むと、冷や汗をかくことがあります。高速道路では猛烈な風圧の中、ペダルに置いた足先の数センチ下では、100kmで流れるアスファルト。バランスを崩したら最後、ただでは済まない気配が漂います。自動車で、エアコンの効いた車内で音楽を聴きながら、片手ハンドルで気軽に運転、というのとは随分違います。そんな危険や苦痛を感じるのなら止めれば、と思われがちですが、それがまた二輪の魅力と表裏一体な訳ですよ。風を切って走る快感。操るものを刺激し続けるエキゾーストノート。指先一つで曲がれる自動車と違って、人車一体にならないと、なかなかズムーズ乗りこなせない奥深さ。移動手段としての自動車と対極の、自分自身の力量が即反映するスポーツとしての面が、自分が走らせているという臨場感を高めます。
何かを手にしたら、それを知り、それを使いこなせるようになろうとし、それ故面白さや楽しさが得られ、という過程は、趣味一般に共通することでしょうね。二輪には二輪にしか得られない魅力が有るのも確かなことで、現在ではこんなスポーツ系のバイクなどは少なくなりましたが、当時は純粋にそんなバイクを楽しむ人が、今より多かったと思います。

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