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来春 [巷の雑感・時の想い]

春を告げる桜の開花が我が地でも聞こえ、そして散ってしまいました。
今年の冬は寒かったね、
そういう会話があちこちから聞こえたということは、
もう冬は行ってしまったということでしょう。
コートの襟を立て、背中を丸めて歩くこともなくなりました。
桜は緑に変わりつつあるけれど、出番を待つ彩色の草花もいます。
彼らがきっと、ちょっと前のモノトーン色の冬を一掃してくれる筈です。
しかし、です。
しかし、冬が去り、春が来たことを、手放しで喜んで良いものだろうか。
人は冬の寒さに耐える術を既に身に付け、
何ら変わりない生活をおくれる機器を装備し、
それ故、いつもと変わりなく仕事に精を出す。
冬だからといって冬眠できる訳も無く、
冷気の中でも、いつもと変わりない忙しさを過ごしてきたのでは。
春が来て、幾分身軽にはなったけれど、貧乏暇無しは変わり無し。
毎日、目の前の雑務に追われております。
春が来た、と浮かれて上ばかり見上げているようでは、
足元をすくわれるぞ、と誰かに言われたような気がします。
季節外れの寒さ、初夏を思わせる暑さ
そんな言葉を繰り返しながら、季節は廻っていくのでしょう。
それでも人其々、やるべきこと、やらねばならぬこと、やりたいこと、
それを脱ぎ捨てるわけにはいきますまい。
そんなことを考えている私には
春を謳歌している花々が、ちょっと羨ましく思えたりもします。

春.jpg


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