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「沈黙の艦隊」 [本・映画・アニメ・詩歌]

今回ご紹介させていただくのは、我が家の漫画本専用書棚の一角を占めて永くなる、かわぐちかいじ作の「沈黙の艦隊」です。

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1988年から1996年まで連載された漫画で、私は連載終了後に単行本として購入しました。最初10冊ほど買って読み、面白くなって残りの巻(全32巻)を買い足したことを憶えていますが、もう10年以上前のことです。それ以来、我が本棚に並んでいるので、ちょっと黄ばんできて、年代を感じさせるようになってしまいました。確かに、この連載当時(もう20年以上前になりますね)は、ソ連崩壊や・冷戦終結・湾岸戦争と世界が大きく変化した時期で、そんな時代を背景にした仮想戦争ものですが、なかなかに世界を感じさせる話だと思いました。
日米が極秘裏に開発した最新鋭の攻撃型原子力潜水艦(シーバット)は、日本人クルーによる日本初の原潜になるはずだった。しかし、試験航海中に突如反旗を表明。艦長の海江田四郎を元首とした独立戦闘国家「やまと」を名乗る。核兵器搭載を疑われながらも、アメリカ合衆国はテロリストをして撃沈を狙うが、日本はまた違った選択をしていく。そして「やまと」艦長海江田は、世界に対して核抑止力によるこれまで無かった提案をしに、国際連合総会への出席を目指して航海を続ける。
あらすじを書けばそんなところでしょうか。本作品の見どころ(読みどころ)は、最強の原潜と海江田の天才的な操艦による戦闘シーンと、大国間の政治的思惑、特に最強の国アメリカ合衆国大統領の描き方にあると思われます。前者については、最強の艦船と言えど洋上艦は2次元的な動きしかできないのに対し、潜水艦は水中で3次元的な行動ができる点を利用し、たった一艦で艦隊を愚弄する痛快さを。後者については、国家とそれを動かす政治家が核抑止力を前にして、どう考えどう動いていくかを描いていて、単なるSFものではない、架空でありながらも現実世界にあり得ると思える設定が、この作品に骨太の印象を加えています。ミリタリーマニアの間では、?の付くシーンもあるようです。しかし、そんな活劇的な部分の面白さももちろん魅力ではありますが、それのみが本作品の主題ではないところが、大人の漫画である所以でしょうか。
専守防衛のみに縛られた我が国の自衛隊も描かれています。発刊以来時間が過ぎていますから、集団的自衛権が論議されている現在とは、少し違うかもしれませんが、今でも興味深い作品だと思い、紹介させていただきました。ちなみに私は、まっすぐな心情と行動の「たつなみ」艦長の深町洋が好きですねぇ。

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