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サッカー撮影72(それでも捕捉し続ける その4) [サッカー撮影]

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広いグランド内を不規則に動き回る選手が被写体です。1秒後の位置を予測できれば、待ち構えて撮る、という「置きピン」はできますが、試合中の流れの中では、そうしたことができるシーンは限られるのがサッカー撮影。試合中は、動き廻る選手を正確に指定したAFフレームで捕捉し続けなければ、連写の1枚目をジャスピンにすることはできません。
その点を考慮して、では下の作例を見てください。
CANON 1D MarkⅣ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度AE シャッター速度 1/1250 絞り F4.0 評価測光
露出補正 -1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW 高速連写モード(秒9コマに設定) ノートリミング

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AFフレームは狙った所を外していませんが、明らかに背景にピントがいっています。3連写しても復帰の気配は有りません(故に4コマ目は撮らず)。これでは、1コマ目にピントが来なくても、AFフレームで狙いを合わせ続ければピンは来る、という1回目の仮説は崩れたことになるのでしょうか。今回載せた画だけで判断する訳にはいきませんが、「AFフレームで捕捉し続ければ、ピンは来る」は「来るかもしれない」ということでしょうか。前回の作例を踏まえれば、「AI SERVO AFでの動体撮影では、1コマ目をジャスピンにすること」には、「それでも外す場合はある」という但し書きを付けねばならないのでしょうか。

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現在のデジタル写真では、自宅のパソコンで簡単に等倍表示できます。また、その写真自体にExifデータが埋め込まれています。これによって、どのような設定で、どのAFフレームを使って撮ったのか、後になって検証することが可能です。1日をサッカー撮影に費やして、1000枚を超える画を得たとしても、その全てが望む画ではないでしょう。失敗した画、価値の無い画も多々あるはずです。そしてそれらの画を削除してしまう前に、何故そうなったのか、を反省できる環境を我々は得ています。これは銀塩からデジタルになった恩恵の一つだと思います。安易にカメラやレンズの性能の責にせず、今一度振り返ってみることも、スキルアップにつながるのではないでしょうか。自身を振り返ってみれば、ちょうど10年前に1D2を手にした私は、「プロ機を手にしたのにこんな画しか撮れないなんて・・・」と悶々とした日々を送っていた記憶があります。そしてその時の、反省の積み重ねが今に至っていると思っています。

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さて、話を上の失敗例に戻します。この画の原因は、撮影者が狙っている被写体が背景であり、その手前の選手は障害物である、とカメラ側が判断した結果だと思われます。サッカー撮影では広いグランド内を動くボールとそれに絡む選手を狙います。当然、レンズを振っての撮影になります。この画を撮る一瞬前にAF駆動をさせてしまった(シャッターは切っていない)、その際AFフレームが掴んだのは背景であった、その後AFフレームを狙う選手に合わせて連写したが、被写体追従度を「やや遅い」に設定していることもあって、カメラが粘り強く背景にピントを合わせ続けた結果の画だ、と私は推測しています。つまりは、撮影者自身とカメラの判断がズレた為の結果であって、カメラやレンズの不具合でもなければ、設定の間違いでもないのです。現在のAFの性能が、使用者の意図や意志に直結していない以上、この結果は享受しなければなりません。

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もう一例、載せます。この3連写は上の3連写と同じ日に撮ったもので、使用機材や設定はまったく同じです。

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D.P.P.にてAFフレーム(1点指定&領域拡大)を表示させたのが下です。

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AFフレームの位置のとおり、1コマ目は白いユニフォームの選手にピントが合っています。しかし2コマ目ではピンが迷い、そして3コマ目には手前の青いユニフォームの選手にピントを持ってきています。つまりAFは、手前に出現した青いユニフォームの選手を障害物とは見なさずに、これこそが撮影者の狙う被写体だった、とカメラ側が判断してピントを移動してきた訳です。もちろんその間も両選手とも動いていますから、コマ間0.125秒の間に測距しつつのAFの仕事ぶり、ということでしょう。
一例目では、手前に入り込んだ選手にピンを持ってくるには、ピント位置を大きく動かさなければならず、よって「これは障害物だ」との判断がなされたのでしょう。その点二例目では、ピント位置をそれほど大きく動かさなくても、AFフレームで捕捉された被写体にピンを持ってこれるので、ピントの乗り移りがされたものと推測できます。
もし私が後ろの白いユニフォームの選手を狙っていたのであれば、「1コマ目にピントが来たので連写したのだから、もう少し粘って欲しかった」と思うでしょう。ただそれならば、3コマ目のAFフレームの合わせ方は違ったはずで(もう少しレンズを右に振っていた)、それならばこの3コマ目は後ろの選手にピンが来ていたと思われます。もし私の狙いが青いユニフォームの選手であったら、1コマ目にジャスピンにできなかったのは私のスキル不足。それでもその後AFフレームで捕捉し続けた結果、3コマ目にピンが来た、ということになるでしょうし、この「狙う被写体の乗り移り」のお蔭でAFに助けられた、と思うでしょう。それはつまり、この章の1回目に書いた、「AFフレームで捕捉し続ければ、ピンは来る」ことになります。
選手と選手が重なり合う、しかもそれが常に動く、背景も単純ではないかもしれない、そんな被写体を撮るのがサッカー撮影。如何に高価な機材で、現在の優秀なAF性能をもってしても、100%思い通りの画を撮る事は難しいことがお分かりいただけるでしょう。それでも、常に動き回る被写体を相手にしながら、AFでジャスピンの画を量産するには、カメラ側の判断と撮影者の意図をリンクさせなければならない、という結論でしょうか。

では・・・

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