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CANON 7D MarkⅡ(中編) [カメラ機材]

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さて、前回を踏まえた上での私の7D MarkⅡ(7D2)の印象です。あくまで実機を触って、撮ったわけではないので、その点を踏まえた上でお付き合いください。
CANONのホームページ、7D2特設サイトに載っている作例は、どれも動体です。これだけを見ても、7D2が動体撮影を主に考えた機種であることが分かります。動体撮影において最も重要なのは、AF性能でしょう。過去何度も書いてきましたが、AF性能とはレンズ+ボディのトータル性能であって、ボディ側だけで決まる訳ではありません。けれど、技術の進化を反映しやすいのはボディの方で、モデルチェンジに際してこの機種では、この動体に対するAF性能が気になるのは致し方ないこと。その点はメーカーも十分理解しているようで、測距点を7Dの19点(全点クロス測距)から65点(全点クロス測距)に大幅に増やしている(中央1点はF8に対応)。これは数だけ見れば、1DXの61点を凌ぐ。そしてAPS-C機らしく、その配置は画面の大部分を占め、7D2では更にカバーされる面積を増やしていまず。下の比較画(上段は7Dと7D2、下段はそれを重ねたもの)を見ていただければ、その点は理解していただけると思います。

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ただ私は、中央の1点が一番精度が高いのは当然として、他の64点が全てクロス測距だから同じ性能・精度、とは素直に思えません。サブミラーによってセンサーに導かれる光が、中央と端とで同じ純度とは思えないからです。APS-C機ですから、中央と端との距離差がそれほど有るとは思えませんが、私の経験上、シビアな動体撮影であまり端は使いたくない。指定できるAFフレームは、全65点・21点・9点と選択できるらしいですから、実はこの9点の中のどれか1点を指定しての撮影が無難ではないか、と推測します。
ちなみにご存知かと思いますが、AFセンサーはラインセンサーの組み合わせであり、ファインダーや指定画面で見られるAFフレームのような、□の形をしている訳ではありません。測距駆動開始中は全てのセンサーが通電していて、実際のピント合わせに使われる信号を、「この部分だけ」と限定しているに過ぎないのです。従って、例えば任意の1点のAFフレームを指定していたとして、それで狙った被写体がズレそうになったときに、周囲のAFフレームのセンサー情報をピント合わせに加味することは瞬時に可能なので、それが「領域拡大」という機能であり、今回これも「上下左右」と「周囲」の2種が選べるようになりました。これなどは、センサーが多点化(ラインセンサーが密になった)されたことの恩恵だと思われます。
また、1DXで採用された「EOS iTR AF」(最初にピント合わせをした顔や色を認識し測距点を外れた場合でも、測距点を移動させてピント合わせを続ける)が今回の7D2でも採用されたことは、このAFセンサーの多点化(高密度化)によって可能になったのではないか、と思います。1DXのAF性能の評価が高いのは、このiTR AF機能が加わった影響が大、という声もあるようですから、今回の動体撮影における7DのAF性能には期待が膨らみますね。ただここでも私は、だからと言って1DXと同等になった、とまでは思っていません。理由はやはり、AFセンサーに導かれる光の純度の差(無駄に1D系が大柄ボディではない)と、採用されたアルゴリズムのチューニングの差、です。

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動体撮影で使う、AI SERVO AFも、7DのⅡからⅢへと進化しましたし、従来の「被写体追従特性」に加え、「速度変化に対する追従性」「測距点乗り移り特性」の設定画面もメニューに追加されました。これらのことを見ていくと、如何に動体撮影向けの機種として開発したか、が感じられます。ただし、やはりカタログスペックはあくまでメーカーの主張であって、実際に自分のフィールドに持ち込んで、自分のレンズと組み合わせて実写してみない事には、その差の本当のところは分かりません。機能や設定項目が増やされただけで、今までより良い写真が撮れるわけではありませんし、基本的な設定値に対する効果というのが、プロ用と銘打った1DXと、ハイアマチュア用の7D2と全く同じか、と言えば、その点は?が付きます(1D4と7Dを併用している経験から)。が、少なくとも1DXからのフィードバックが、7Dからの進化を促した事実は確かだと思うので、この価格帯の機種としては充分な魅力を有している、と期待したいところです。

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