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サッカー撮影85(俯角の撮影 その4) [サッカー撮影]

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これまで私は、サッカー撮影において、一脚の有用性をこのブログで書き続けてきましたし、実際私も一脚を常用しています。私は通常、一脚をレンズの三脚座に直に取り付けています。それで撮影者より下に位置する選手を撮る場合は、一脚を傾けるしかありません。一脚の基本的な使い方では、「地面に対して垂直に立てること」ですから、それに反することになります。一脚を垂直に立てた上で俯角を得るには、間に雲台を挟んで角度を得るしか方法はありません。俯角の撮影で一脚を使う場合は雲台は必須、との結論になるのでしょうか。

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その1)で、俯角とは、自分の目線よりも下向きの角度、と書きました。上の図でAの角度の事ですね。この図で示したAの角度は、実はBの角度と同一で、垂線が引かれたCの角度とも同一です。つまり、A=B=Cです。地面に対して一脚を傾ける角度とは、Cの角度であり、それは俯角と同一です。ここで(その1)で示した図を再度持ち出します。

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選手のプレイするグランドレベルより5mの高さから撮った場合、選手との距離が30mならば俯角は9.462度、20mならば14.036度です。20mよりも近ければ俯角はもっと大きくなるでしょうが、これまで書いてきたように、俯角の撮影を強いられるようなスタンドからの撮影では、グランドレベルの撮影よりタッチラインに近づけませんから、ここでは割愛します。逆に30mより遠くなることは、大いにあり得ます。40mならば俯角は7.125度、50mなら5.711度です。サッカー撮影は常に動き回る選手を撮る動体撮影ですから、大まかに言えば、5~14度の俯角をその都度変えながら撮ることになります。この5~14度を図で示したのが、下の画です。

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一脚を正確に垂直に立てることは、現実使用では難しく、ましてや動き回る選手を追いながらレンズを振っているのですから、たとえグランドレベルで撮っていたとしても、5~6度の傾きはよくあること。ほとんど無視できると思います。さすがに14度となれば、それなりに傾けている実感が有ると思いますが、試合中ずっとその角度を保持している訳ではなく、14度が最大傾斜角であり、直ぐにそれ以下に移行する実際の撮影を考えれば、必ずしも雲台が必要だと思えないのです。5~10度位の俯角ならば、高価な雲台(それなりの剛性を持った雲台は高価です)は、特別頻度が高くない限りは必要無い、というのが私の結論です。

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上の画は、以前にも載せたことがあるのですが、これがサッカー撮影ではなくて、バレーボールやバスケットボールを体育館の2階から撮る、というシチュエーションならば、選手の動く範囲はもっと狭く、俯角はもっと大きくなり、それが1試合中それが続くのであれば、雲台の必要性はもっと高くなると思います。必須になるかもしれません。しかし、ここはサッカー撮影の場ですから。

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それよりも、俯角の撮影=観客席からの撮影と考えれば、撮影者の周囲に他の観客もいることを想定せざるを得ず、この場合は他の観客に迷惑を掛けない配慮が必要でしょう。今回の記事を書くに当たって、俯角の画を探してみると、私の場合EF400mm F5.6 Lを使っている画が多くあることに気づきました。大型のヨンニッパやサンニッパ+1.4xでないのは、前後左右にレンズを振っての撮影で、隣接する観客席への配慮のために、より小型のレンズを選択した結果だと思います。

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また、一脚の有用性の一つに、移動のしやすさがあります。広いグランドのあちこちでシャッターチャンスが生まれるのであれば、それに応じて撮影者自身も移動した方が効率的、と以前書いたことがありますが、その点でも一脚をお勧めしました。けれど、観客席からの撮影を余儀なくされたとして、他の観客への配慮から移動できないのであれば、いっそ一脚より三脚を使用した方が良い場合も有るでしょう。一脚に比べれば自立できる三脚は、安定感でも動体をトレースする点でも上です。もちろん、三脚を広げるスペースが確保できて、許可された場合、が条件ですが。この場合でも動体撮影ですから、滑らかな動きができるビデオ雲台を選びたいですね。

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