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去り逝く恐竜 [巷の雑感・時の想い]

下の写真は、ある建造物の写真ですが、何だか分かります?(分かった方は、昭和世代かな)

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1970年(昭和45年)に開かれた大阪万博。昭和世代の方には、一度は行ったことがある方が多いのではないでしょうか。この大阪万博では、日本や日本企業の展示館(パビリオン)の他に各国のパビリオンも多く建てられてました。その中のオーストラリア館がこの写真の建造物です。

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万博終了後、シドニー港と姉妹港提携をしている記念として、我が街の港湾近くの公園に移築されたのでした。「オーストラリア記念館」と名付けられ、内部にはオーストラリア関係の資料や巨大なカモノハシの模型などが展示され、付近が遊具などのある公園だったため、幼稚園や小学校などの遠足地として賑わったこともありました。また、円形のホールは多目的貸ホールとなっていて、フリーマーケットやプロレス興行などに使われていましたね。

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1990年代には、現存する数少ない大阪万博の展示館となっていましたが、老朽化は避けがたく、特に東日本大震災以降は、こうした公共的な施設には耐震設計が要求されるようになり、「補修存続か、取り壊しか」という議論が我が街で行われてきました。その結果、耐震補強や老朽化対策、維持費という経済的な理由によって、取り壊しが決定されました。2013年末に閉館し、2014年中に取り壊され、今はもうありません。跡地はテニスコートができるらしいです。

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これらの写真は、取り壊し前の昨年に撮りに行ったものです。我が家からは車で10分程のところですが、いざ行ってじっくり見てみると、デザインの斬新さは今でも十分魅力的だとは思いますが、やはり年月による腐食の跡があちこちに散見されました。平日だったこともあって周囲に人影も無く、まるで巨大な恐竜が死期を待つ姿に見えてしまいました。40年以上の間この地に佇み続けた姿は、市民の殆どが知っていると思いますし、存続の是非を問う記事が新聞に何度も乗りましたから、末路の事も知っている人も多いかと思います。バブル期ならいざ知らず、緊縮財政を強いられる地方では、仕方ないのかもしれませんが、また一つ、昭和が遠くなった気がしました。

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