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サッカー撮影103(守りのズーム・攻めの単焦点 その1) [サッカー撮影]

守るとは、勝てなくても負けないことを第一に闘う事。攻めるとは、リスクを負うのは承知の上で勝利を欲する事。

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技術の進歩は留まることはありません。私たちが趣味としているカメラ関係においてもそうです。私がサッカーを撮り始めた頃には、300mmを超えるズームレンズというのは数えるほどしかなかった。それがどうです、現在は各社から、400mm、500mm、600mmまで使えるズームレンズが出てきている。その中には、普及価格帯と言えるものまであり、APS-Cセンサーの望遠効果を利用すれば、換算1000mm位まで使えるレンズがあるのです。翻って、では単焦点レンズは?と言えば、デジタル一眼で使うことに特化したリニューアルを続けているとは言え、数は少なく高価なまま。それは、利便性を優先するズームレンズに対して、高画質でなければ生き残れない単焦点レンズ故の事でしょう。
さて、サッカー撮影とは、主にサッカーの試合中の選手を撮ることであり、その選手は68m×105mの広いピッチを縦横斜め不規則に動く被写体であり、ボールを競り合う競技故にボールの有る所にシャッターチャンスが有り、そのボールの行方をある程度予想しながら撮らなければならない、これまでの私の「サッカー撮影」記事でそう書いてきました。それはつまり、撮影者と被写体との距離が常に変化している状況なので、常識的に考えれば、可変焦点距離のズームレンズを使う方が効率的だと思われます。その理由は、変化する被写体との距離に応じてズーミングすることで、適度な大きさに被写体を捉え続けることができるからです。ましてや先に述べたように、300mmを超えるズームレンズが昔に比べれば容易に手に入る時代ですから、これを利用すべきでしょう。
ではそこで、撮影データも添えて作例を一つ。ノートリミングです。

1DX MarkⅡ+EF200-400mm F4 L IS 1.4x  (ノートリミング)
 シャッター速度優先AE 評価測光 露出補正 -1/3 シャッター速度 1/1250 F4.5 ISO 1000  焦点距離 343mm

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撮影者である私が撮ろうとしているのが、中央の黄色ユニフォームの選手であることは明白です。注目すべきは焦点距離。343mmはこのレンズのテレ端ではありません。なぜこのような中途半端なズーム位置で撮ったのでしょうか。
狙う選手の頭から足先まで、更にボールも入れての全身を入れたかった、というのが理由の一つ。更に、ボールを保持している選手が左右どちらかに動くのか分からず、どちらに動いてもファンダー内から選手もボールもはみ出さないように収めたかったから、というのが二つ目の理由。そして相対する白ユニフォームの選手がどう絡むのか、絡まないのか分からず、もし絡むのであればそれ全体を撮りたかった、というのが三つ目の理由です。このように理由を書いてくれば、この画自体が間違った撮り方をしているとは思えないかもしれません。しかし私は、この画を「守りに入った画」と見ているのです。

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これまで私は、被写体である選手をなるべく大きく撮ることを勧めてきましたし、その理由も記してきたつもりです。この画もレンズのテレ端である400mmで撮れば、撮りたかった黄色ユニフォームの選手をもう少し大きく撮ることができたでしょうから、主題たる選手の表情をもう少し克明にできたことでしょう。また、白ユニフォームの選手がどう絡もうとも、もしかしたら画面から手足の一部が切れてしまうかもしれないけれど、それは元々撮りたかった選手ではなく、切れることでかえって迫力感が出たかもしれません。トリミングで対処すれば良い、という声もあるでしょう。でもトリミングはあくまで後処理であって、撮影時にそれを前提にすることを、ここで私はお勧めしていません。また、ズームレンズの多くが単焦点よりもF値が暗いことを考えると、被写界深度的に深く、できるだけ大きく撮らないと背景のボケが少なくなってしまう点も、大きく撮ることの意味でしょう。
守りが悪い訳ではありません。守らないと勝てない時もあります。ただ闘う姿勢が必要だということです。

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(今回掲載画像は、全てズームレンズで撮影したものです)

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