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CANONへの超個人的一考察 [カメラ機材]

先頃、キヤノンから幾つかの新製品に関する発表がありました。毎年この時期にこの種のアナウンスがあるのは珍しくないので、ご存知の方も多いと思います。そこで今回、この件に関してちょっと考えてみたいと思います。私は独自の情報網が有る訳ではない一人のユーザーですから、あくまで私一個人の考察ということで。

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フルサイズセンサーを使ったミラーレスカメラ「EOS R」とそれに対応した4本のレンズが発表されました。と同時に、このカメラ・レンズが従来の「EFマウント」ではなく、新レンズマウント「RF」を採用したこと、そして今後RFレンズのラインナップを拡充していく旨も発表されました。レンズマウントの変更は、レンズ交換式カメラにとって使えるレンズ群を定める、極めて大きなものです。キヤノンはこれまで「EF-S」や「EF-M」といったマウントを追加してきましたから、今回それに新たに一つ追加されるだけ、といった見方もできますが、私はキヤノンが「EF-R」ではなく「RF」と呼んだことに本気度が窺えるような気がしています。それに今回発表された4本のRFレンズが、かなり本格派ユーザーを対象としたものだったこともあります。
「EF-S」も「EF-M」も「EF」レンズ群の派生機種として登場しました。1987年に電子マウントとして登場し、累計生産本数1億3000万本を超えるEFレンズ群があくまでも基幹でした。それに対して「RF」マウントは、フルサイズセンサーを使ったミラーレスカメラ用に開発されました。レンズ交換式ミラーレスカメラは、キヤノンも他社も、これまで存在しましたし、それ用のレンズも発売されてきました。しかし今年に入り、レンズ交換式カメラにおいて一眼レフ機を上回りそうな勢いでミラーレス機が売れています。その市場動向をキヤノンも無視できなくなった、ということでしょう。現在のキヤノンのホームページを見れば分かります。EF-SやEF-Mが「EFレンズ」の欄に含まれているのに対し、RFレンズは独立した欄を設けられています。今回発表の「RF」とは、「今後の開発の軸足をミラーレスの方にシフトします」と言っているような感じを受けました。
しかしキヤノンは大会社です。多くの一眼レフカメラユーザーを抱かえ、その多くの方が現在もEFレンズ群を使っています。そして多くのプロカメラマンも。フルサイズミラーレスカメラが登場したといっても、まだ1台です。それに対応したレンズも、まだ4本です。長年使ってきたプロもアマチュアも、すぐにそちらに移行するようなことはないでしょう。この「RF」はまだ始まったばかりなのですから。

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では、従来型のミラーの有るデジタル一眼は今後は登場しないのか、もうEFレンズの新型は出てこないのか、と言えば、そうではないと思います。今年6月「EF70-200mm F2.8 L IS Ⅲ」が発表されたことをご存知だと思います。その内容をみて「?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。レンズ構成はそのままで、コーティングを追加しただけのマイナーチェンジじゃないか、と私は思いましたが、実はこのレンズの登場が今後のEFレンズを示しているように見えました。つまり、現時点で開発のほぼ終わっている、開発がかなり進んでいる機種・レンズに関しては、時期を見て順次市場に投入していく。しかし、今後は白紙から設計するようなEFマウント機やEFレンズはほぼ無い、と想像しています。なので、「EF70-200mm F2.8 L IS Ⅲ」のⅣ型は登場しないでしょう。次に出るとすれば「RF70-200mm F2.8 L IS」でしょう。
同様に考えて行くと、80Dの後継機(90D)は登場するでしょうが、その次となると今から数年後になります。その頃にはミラーレス機に取って代っていてもおかしくはない(市場動向次第ですが)。Kissに関しては、現在はX9i、X9が有りますが、ミラーレスのKiss-Mが既に登場しています。こうしたエントリーユーザーにはカジュアルさを求める方も多いので、それならばミラーレス機の方が都合が良い。Kiss X10iやX10は登場せず、Kiss-M2は登場するでしょうね。7D MarkⅡもⅢ型は登場するでしょうが、Ⅳ型は「?」です。5D MarkⅣの後継機は必ず出ると思います。フルサイズセンサーのレフ機を愛する方がいらっしゃるでしょうから。
レンズに関しては、EF-Sの新型は期待できないですね。現状維持か縮小傾向でしょう。その代りEF-M(現在は7本)のラインナップは、現在のEF-S(15本)ぐらいにはなるでしょう。EFレンズは今後も新型が登場するでしょうが、どのレンズが新型に置き換えられるのか、あるいはディスコンされるのか、それは分かりませんが、「現時点でどこまで開発が進んでいるか」次第なのではないでしょうか。
総じて、今後のキヤノンはミラー機を整理しながらミラーレス関連に注力を移行していく、と思われますが、現状のデジタル一眼レフカメラシステムが陳腐化するには、まだ時間がかかると思います。エントリー機はともかく、こうした十万円以上するカメラの世界は意外と保守的で、早晩にミラーレスがミラー機を駆逐する、とはいかないと思います。それに加え現段階では、ミラーレスよりミラー機の方にまだ、動体撮影時におけるAF性能の優位性と信頼性を保っている点もあるからです。専用のセンサーで位相差AFを行う一眼レフカメラには、AFの速さ・正確性において未だ優位です、特に動体撮影では。報道・スポーツ関係のプロカメラマンからの支持が得られないと、ミラー機(特にフラッグシップ機)は無くならないと思われます。なので何時かは分かりませんが、1DXはMarkⅢが登場すると思いますし、レフ機として最後まで残るのではないかと思います(フィルムの時もそうでしたし)。そしてその裏付けとして今回、ヨンニッパとロクヨンのⅢ型も発表されました。サッカー撮りの私としてはやはりヨンニッパに興味が有るので、注視してしまいました。

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私の使っているヨンニッパⅠ型が登場したのが1999年、その12年後の2011年にⅡ型が登場しました。今回のⅢ型はⅡ型から7年ちょっとで登場ですから、明らかに短いスパンです。これはもちろん東京オリンピックを見据えてのことだと思われます。それに加え、現行のⅡ型でも約2000万画素の1DX2に十分なのを考えると、Ⅲ型はそれ以上の画素数のボディでの使用を考えられているようにも思われます。下にⅡ型とⅢ型の構成図を載せましたが、レンズ構成がかなり違います。なかなか力の入ったフルモデルチェンジである事が分かると思います。

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コーティングの追加は当然として、軽量化もアピールポイントの一つだそうです。私の持っている機材を並べて見ると、
・EF300mm F2.8 L IS USM Ⅰ型 2550g
・EF400mm F2.8 L IS USM Ⅰ型 5370g
・EF200-400mm F4 L IS + 1.4x 3620g
・EF400mm F2.8 L IS USM Ⅲ型 2895g
EF200-400よりヨンニッパの方が軽いなんて、サンニッパのⅠ型と大差ないなんて、ちょっと信じられません。でももっと信じられないのが価格。税別で168万円とは!。Ⅱ型より43万円のアップは、今年発表されたソニーのヨンニッパ(160万円税別)を意識したのかもしれませんが、ちょっと個人が手の出せる価格ではないですね。しかしこのようなレンズは、今回は7年で新型になりましたが、10年くらいはモデルチェンジしないのが通例です。今から10年後のことを考えると、(上記のようなことを考えれば)Ⅳ型が出るかどうか怪しい、RF400mm F2.8 L IS USM になっている公算も高い。そうなれば、EFマウントの最後のヨンニッパ、ということになるかもしれず、Ⅱ型を見送ってⅠ型を使い続けている私としては、ここは手を挙げたいところなのですが・・・(ちょっと無理)。

以上、何の根拠も特別な情報も無い、あくまで個人的な考察でした(間違っていたらゴメンナサイ)。お付き合い頂きありがとうございました。

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全国高校総体 撮影後記(後編) [写真・撮影]

前回の続きです。機材の事以外で気付いた点・思った事です。

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■真夏の日中の試合で、撮影場所も限られています。常に順光で撮れることはまずありません。前半は順光でも後半は半逆光になったり、その逆だったり。広いピッチを不規則に動く選手が被写体なのですから、一試合の中でも光線状況は様々です。しかも私の場合、対戦する両方のチームの選手を撮らないといけない。そこで、今回撮影した約9200枚は全てRAWで撮りました。RAWで撮ったからといって、逆光が順光になる訳ではありませんが、レタッチの幅がRAWの方が広いのが理由です。デメリットはファイルサイズが大きくなることですが、今やメディアの価格は数年前に比べれば驚く程下がっていますし、保存するHDDの価格も同様ですから、もうデメリットとは言えないでしょう。ただ、速報性が必要な報道関係の方は、現像が必要なRAWは使っていないでしょうが。

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■真夏の炎天下での撮影で一番気を付けなくてはならない事は、機材でもその設定でもありません。私は、撮影者自身の体調だと思います。最高気温とは、土の地面で日陰で風通しの良いところで、地面から1.5mの所に設置された温度計で測定されたものです。たとえそれが30度前後の日でも、日差しをまともに浴びるピッチ上ではもっと高く、熱中症になる危険性があります。特に今年のように、体温を超える最高気温を記録した日の炎天下でのピッチ上は、体温どころか、それよりずっと暑い。これは、その傍らで撮る我々も同様です。サッカーを撮っていて、選手でなくて撮影者が熱中症になるなんて、絶対避けなくてはならない事です。「熱中症予防の為に、こまめな水分補給を」とのアナウンスが頻繁に流れていましたが、熱中症になった経験のある私に言わせれば、こまめな水分補給だけしていれば熱中症にならない、ということはありません。それは最低限のことです。私は今回の連日の撮影で、家に帰って来ても撮った写真をパソコンに落とすだけで、一切見ませんでした。ただひたすら、明日の撮影に備えて体を冷やすこと、休めることに専念しました。これをご覧の方々は私よりずっとお若い方が多いと思いますが、「過信は禁物・準備は必須」と思って夏の撮影に挑んでください。

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■最後に書きたいのは、どんな機材を使っても、どんなグランドで撮ろうとも、天候に左右されようとも、最終的に重要なのは撮影者の意欲と集中力です。それは、試合に挑むサッカー選手と同じです。それらが欠けていては、最終的な勝利は得られません。その点で、「スポーツ撮影はスポーツ」ということを身に染みて感じました。と同時に、我々も生身の人間です。ハーフタイムで、試合の合間で、熱の籠った体を冷やせる場所が、そんな施設が、このような真夏の大会では必須なのだと思いました。しかし、施設がプアーな我が県では、冷暖房が完備したロッカールームの有る施設は一か所しかないのが現状です。しかたなく、日差しを遮るだけのテントとバケツに入れた氷が数個、それとミストファンが用意されたのみの所もありました。
全国から集まって来て下さった記者や報道関係の方々も同様です。冷房の効いて電源が確保されている部屋が用意できた施設は、今大会で一か所のみ。それでも、この無線LANが当たり前の時代に、それも無い。報道陣用にただテントのみ、なんて恥ずかしい限りで、せっかく遠路訪れてきていただいた方々に頭を下げるしかありません。そんな状況でも運営の方々の努力で、何とか無事に大会を終わらせることができましたが、それでヨシとせず、我が県の行政の方には十分な反省をしていただきたいと思いました。三年後には国体の開催が決まっているのですから。

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以上、私の今年最大の撮影イベント、全国高校総体サッカー競技の後記でした。

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今回撮った写真は


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全国高校総体 撮影後記(中編) [写真・撮影]

前回の続きです。

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■では、1DX2はあまり使わなかったのか、といえばそうではないです。このボディとEF400 F2.8 L IS との組み合わせは、決まれば最高の画質が得られます(私の経験した機材の中では)。薄い被写体深度は豊かなボケを生みますが、1DX2のAFの速さ・正確さはそれでも心強い。何といっても撮っていて手応え感があります。
■前回、私の撮影目的やスタイルでは、「この1DX2+EF400 F2.8 L IS では焦点距離が足らないと感じる」と書きました。ところが。使えるシチュエーションがあることに大会途中で気づきました。前回乗せた画ですが、もう一度載せます。

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この画の青の部分が撮影指定エリアで、多くの報道関係カメラマンがそこから撮っています。しかし、それ以外の場所から撮ってはいけないのか、と言えば、もう一か所撮影可能エリアが有りました。それは「観客席・応援席」です。保護者の方々も、一眼レフカメラをお持ちの方がココから撮っていましたが、撮影許可をもらった私も、このエリアに入って撮ることができます(今回の大会関係者に確認済)。もちろん、そんな保護者の方々や応援の子達の邪魔になるようではいけないのですが、そこを配慮すれば、なかなか使えるスペースなのです。何故かと言えば、スタジアムというような大規模施設の無い我が県では、このエリアからタッチラインまでが数メートルというピッチがあるのです。これならば、1DX2+EF400 F2.8 L IS でも十分撮れます(横でなら。縦だとちょっと厳しいかな)。しかも、配慮すればエリア内の移動も可能です。
■上記の点に気付いてからは、積極的にそれを利用しました。ただ、どのピッチでも有効か、といえばそうでもなく、例えば陸上トラックの有るグランドでは、そのトラック分だけ離れてしまいますから、それでは遠い。やはりその競技場では、上図の青の撮影エリアから撮りました。

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■では、1DX2+EF400 F2.8 L ISに1.4xテレコンを加える、という組み合わせは試さなかったのか、といえば、もちろん使いました。昨年、1.4xEXTENDERをⅡ型からⅢ型に買い替えたことで、テレコン有無の差がグッと縮まったような印象があります。また1DX2との組み合わせでは、驚くほどAF速度の低下が少ない。開放F値はF4になってしまいますが、十分使える画を得られます。ただし、私のヨンニッパはIS付きのⅠ型。現行のⅡ型と比べて最大の差は、開放F値の描写力だと思っていますから、ちょっとでも絞りたいところです。なので、AvでF4.5に設定。これでも真夏の晴れの日中です。ISO-100で充分なシャッター速度が稼げます。
■1DX2+EF400 F2.8 L IS+1.4xEXTENDERで観客席・応援席から撮る時は、カメラを縦で撮りました。横だと私の感覚では少し近い(被写体が少し大きい)のが理由なのですが、本来の私のスタイルは縦での撮影ですから、これは何も問題無く撮っていました。

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■前回、人工芝より天然芝グランドを優先した、と書きましたが、その理由は夏の厳しい日差しの下では、反射光・反射熱の影響が人工芝グランドで顕著なことが理由です。これらがAFに悪影響を及ぼしたり、撮影者の体力や集中力を削いだりします。それに加え、大気の影響も有ります。サッカー撮影では、どうしても望遠レンズを使います。それは撮影者と被写体との距離が有るからですが、この間に介在する空気の影響も、真夏では厄介です。現在では、手の届く価格で600mmまでのズームレンズが存在します。これとAPS-C機と組み合わせれば、かなり遠くの選手を大きく撮ることは可能です。しかし被写体である選手が遠いと、その間に介在する空気の影響も大きくなります。これが、しっかりピントを合わせたつもりでも、いや実際にピントは有っていても、なんだか鮮鋭感の無い、解像していないような画になることがあります。この点では、やはり人工芝よりも天然芝の方がその影響は少ないので、チョイスできるのであれば、天然芝グランドの試合を優先しました。

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■天然芝とて、真夏の厳しい日差しの下では、陽炎が立ちますし、そういった空気の揺らぎが起こります。これは照り付けられた地面から立ち上がるので、できれば地面から離れた高いところの方が影響が幾分少ない。故に私は、できる限り立って撮影しました。それでもこの影響からは避けられませんが。私の経験から言わせていただければ、単焦点レンズよりもズームレンズの方が、センサーサイズが小さくなる方が、この影響が大きくなる感じがしています。詳細なことは調べてませんが、レンズ構成や画素間ピッチが影響しているものと思っています。これはもう自然現象ですから、避けられないものとして、影響がなるべく少なくなるような機材組合せ、撮影場所等で工夫するぐらいしかできません。

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