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サッカー撮影119(縦か横か その3) [サッカー撮影]

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では、「サッカー撮影は縦撮影が基本」と言い切れるでしょうか。
ここで前々回の「その1」で書いた、6つの縦撮影のポイントを振り返ってみます。これが見方を変えれば、必ずしもそうではない事や、横撮影の意味・メリットへ反転することもあるのです。ここで、もう一度振り返ってみます。

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1.撮りたい被写体(選手)をはっきりさせる
縦に長い被写体を大きく撮るには縦撮影の方が優位です。しかし試合中のサッカー選手が必ずしも縦に長い被写体とならない場合もあります。更に、これまで私は「サッカー写真なら画の中にボールを入れる」ことも勧めてきましたが、そのボールを含めた被写体として考えれば、縦では難しい場面も存在します。横撮影だからこそ、ボールを入れたシーンが撮れる、ということが実際に有ります。

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2.正確なピント合わせのため
ファインダー内である程度以上の大きさで捉えてこそ、この不規則に動き回る難解な被写体にAF性能を駆使できることは、縦でも横でも変わりありません。縦ならばAF性能が良くて、横撮影ではAF性能が落ちる、ということもありません(指定したAFフレームの性能差が有る場合は有ります)。前々回この件を書いたのは、横撮影だと往々にして、被写体である選手を無難に小さく撮りがちな点、縦だと選手が近づいて大きくなってもシャッターを切れる点、切る人が多い点を留意して勧めた事です。遠くの選手を小さく撮るのは簡単、近くの選手を大きく撮ることは難しい、これは縦でも横でも同じです。

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3.狙った選手以外をぼかす
被写界深度は縦・横で変わるわけではなく、縦だからボケる、横はボケない、ということはありません。昔と違い、現在では長焦点距離のレンズが手ごろな価格で手に入るようになりました。50~60m先の選手を600mmクラスのズームレンズで撮っていらっしゃる方を見かけます。たぶん私の言う、ある程度以上の大きさで選手を捉えることができると思います。では、選手が10~20mに近づいてきたらどうするか、といえば、撮るのを止めてしまったり、撮ってもピンボケ写真になってしまったり、といったことはありませんか? 選手が撮影者に近づいたらプレイに手を抜く、ということは無いでしょうから、近づいて来てくれれば、それは撮影者にとって大きなチャンスです。背景や写り込んでくる他選手をぼかせるチャンスです。もちろん難易度は上がりますが、そういったチャレンジをしてスキルを磨いて欲しい、と言う意味で2と3を書きました。横撮影ではダメということではありません。

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4.背景を整理できる
天地一杯に選手を捉えたとして、縦だと横に比べて背景部分が相対的に小さくなり、背景からの悪影響を少なくできるメリットがあります。しかし逆に、背景から受ける良影響も封じてしまう結果になることもあります。この背景の考え方は、撮影者の意図や写真の使用目的、評価方法等によって左右されますから、ここでは私は踏み込んだ言及は避けます。ただ、ここで言う背景とは、バックスタンドの応援席や横断幕だけでなく、主たる被写体である選手に関わる味方&相手選手も含まれる、という点だけは加筆したいと思います。味方・相手選手を背景と言うのは語弊があるかと思いますが、主たる被写体に臨場感を与える他の選手を入れるには、横撮影の方が適しています。


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5.写真に迫力が出る・克明に撮れる
「サッカーをやっている風景」にしてはいけない、と書きました。そして、ある程度以上の大きさで被写体である選手を撮らないと、プレイ中の選手が発する気持ち・意欲・躍動感をその画から得られることが難しくなります。その為に基本的に縦に長い被写体を縦撮影で撮るのは道理に合っているように思えます。しかしそれは、選手の頭から足まで全身を撮る場合です。上半身だけで良い、多少体の一部が切れても良い、というならば、横撮影でも十分な効果が得られることがあります。ポートレートがそうであるように、人物(選手)の上半身のみでも十分サッカー写真として通じるものもあります。更にその画にボールを入れることを目指すと、更に難易度が高くなりますが、チャレンジしてみるのも良いと思います。

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6.難しい
基本的にはピッチという地面上を動く選手ですから、基本的には横の動きの被写体です。横撮影の方が捉えやすいと言えます。ただ天地一杯に選手を捉えたとしても、横撮影では、その左右(または右のみ、左のみ)に余白部分が出来ます。この余白部分に、選手が競っている相手選手を入れることで、主体を引き立たせる効果もありますし、味方選手が映り込むことで、チームスポーツを感じさせることもあります。それらを入れ易いのは、横撮影でしょう。あるいは、主体である選手を横長長方形の中でどこに置くか、空いた空間をどのように活用するか、という構図の自由度が横撮影の方が増す場合もあります。実はこの「写真における構図」は、最も論じるには難しく、評価も難しく、私自身もここで詳細に述べるほどの知識がありません。ただ、その構図という点を考えると、余白が生まれやすい横撮影の方が優位だと思えます。この最難関ともいえる構図の工夫にチャレンジするため、敢えて横撮影を選択するのも、大いに意義あることだと思います。

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