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サッカー撮影136(単独vs絡み その6) [サッカー撮影]

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「単独vs絡み」というテーマで私見を長々と書いてきましたが、ここで締めとさせていただきます。

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スポーツといっても個人競技の場合は、どうしても一枚の画に選手が一人ということが多くなってしまうのは自然なことでしょう。しかしチームスポーツの場合、複数人vs複数人で勝敗を競うのですから、一枚の画の中に複数の選手が入りることは多々ありますし、普通です。ただ場面的に、そのワンプレイに複数人が関与しているかどうかは其々です。背後に写り込んでいる相手選手・チームメイト、という場面もあるでしょう。また、サッカーというスポーツは、その試合時間が60分であれ、70分であれ、90分であっても、常に選手が全力で動いている訳ではありません。単独でボールをキープしていたり、単独でボールをゆっくり運ぶ場面も多く見られますから、それを撮れば、一枚の画に選手が一人、ということも珍しくありません。また、ボールを奪い合う競技といっても、相対する選手と距離がある場合も、体が接するような場合も様々です。激しいフィジカルコンタクトが躍動感や闘争心を感じさせる画に繋がることもあります。それらは一試合をプレイする選手であることには違いなく、「単独」であろうと「絡み」であろうと、撮るべきサッカー写真です。「単独vs絡み」というテーマで長々と書いてきましたが、それは相反するものではないと思います。

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最初に「単独」と「絡み」の作例を並べて、「絡みの方に魅力を感じる方が多いのでは」と書きました。しかし私は、「単独」とか「絡み」とかを特に意識して撮る必要は無い、と思っています。こんなことを言うと、これまで書いてきたことが無駄になってしまうように思われるかもしれませんが、サッカー撮影にあたって、自分の望む画、選手から意気を感じたシーンをシャッターチャンスとして捉え、結果的にそれが「単独」になったり「絡み」になったりするのであって、どちらかを狙う必要は無いと思っています。私は狙う選手にピントをしっかり追従させることに集中していますが、フィジカルコンタクトを伴う絡みに移行した際でも、その延長として、狙う選手を捕捉し続ける努力を続けることにしています。

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「単独」「絡み」両方撮るべきです。大切なのは撮影者自身の「引き出しの多様さ」です。この記事で、このブログで、私は「シャッターチャンス」という言葉を何度も使ってきました。「シャッターチャンス」とは何でしょう? その回答は撮影者自身の価値観や目的などの多岐にわたる要素が絡みますので、別の機会に記すことにしますが、「この瞬間にシャッターを切れば印象的な画になる可能性が高い」とか、「この選手のココは押さえておかないと」とかのイメージを、経験的に数多く持って撮影に臨むことが「引き出しの多様さ」に繋がると信じています。それは一朝一夕で身に着くものではないかもしれません。けれど、何度もトライし、その都度見直し、そして工夫して撮り続ける、その繰り返ししか得られないのではないか、と思います。

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サッカー撮影では、撮影者が欲するシーンを選手に要求することはできません。それ故、撮影者自身が「引き出しの多様さ」を持ってシャッターチャンスを数多く見つけ出し、それを逃さず撮る、ということが偶発性を低くし、上達への道標だと思っています。撮影場所が限定された時などに、他のカメラマンと並んで撮ることもあります。その際はどうしても隣のシャッター音が気になったりします。「えっ、なぜ今のシーンでシャッターを切らないの?」と思うことも、「しまった、今さっきはシャッターを切るべきだった」と思うこともあります。プロは目的を持って撮ります。無駄な画は撮りませんし、必要な画は撮り逃がしません。万人がプロ同等の力量を持つ必要は無いと思いますが、せっかくデジタルになって何枚撮ってもコストが変わらない環境なのですから、トライアンドエラーを続けて、「単独vs絡み」というテーマから抜け出て欲しいと思っています。

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サッカー撮影135(単独vs絡み その5) [サッカー撮影]

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前回は「絡み」の画で、相手選手の表情は分からなくても、撮影者が狙う選手の表情がしっかり撮れている画を紹介しました。今回は、競り合う選手双方の表情が撮れている「絡み」について書こうと思います。

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私は現在、対戦するどちらかのチームを撮れば良い、という立場で撮影はしていません。基本的には、対戦する両チームの選手が被写体です。しかし、ボールを競り合う複数の選手の動きを、同時に予測・把握する能力は持ち合わせていません。前回、「絡む選手を一塊として撮らない」と書きましたが、あくまで「基本的には」ですが、ボールホルダーである一人の選手を被写体として追従します。そうすれば自然と絡みのシーンに導かれることが多いことを経験的に知っているからです。全く知らないチーム同士の試合を撮ることは日常茶飯事ですが、それでもクライアントに満足してもらえているので、この方法を継続しています。

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もちろん、その絡みを撮ったとて、選手の顔や表情が撮れないこともあります。いや、絡みでは顔や表情が撮れないことの方が多かったりします。だけど、狙います。それに魅力を感じるので、数少ないチャンスを逃すまいと、試合中は集中力を高く保持して臨みます。そして、フィジカルコンタクトを伴う絡みが生まれ、両選手共がうまく被写界深度内に収まってくれ、そして更に両選手の表情がしっかり撮れれば、大満足ですし、撮った実感がグッときます。これこそがサッカー撮影の醍醐味だと思うのです。ただこう書くと、両選手にピントの合った絡み写真というのは偶発性に左右される、と思われるかもしれません。確かにそれは否定できません。けれど、その偶発性の割合を少なくすることは可能だと信じています。

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依頼撮影の場合、「AチームのB選手と、CチームのD選手の絡みの写真が欲しい。表情がはっきり写っているもの」というリクエストが来ることがあります。たとえ試合時間が60分であろうと90分有ったとしても、そのような絡んでボールを取り合うシーンはそんなに多く有りません。そしてその絡みを撮ったとて、狙う選手の顔や表情がしっかり撮れている、という画は更に少ないでしょう。そんな絡みの写真は難易度が高いし、偶発的要因に左右されることも有ります。しかし、それを狙うのなら、それに魅力を感じるのであれば、時にファインダーから眼を離してピッチを広く見て、シャッターチャンスの匂いがすればその選手の動きを追い、数少ないチャンスを逃すまいと、集中力を高くして臨むしかないと思います。ただ漫然と撮るのではなく、経験を重ね、自らが魅力を感じる写真とは何か、その「引き出し」を数多く持つことが、「シャッターチャンス」と思える機会を増やすことに繋がります。それこそが、偶発性を少なくする方法だと信じています。

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サッカー撮影134(単独vs絡み その4) [サッカー撮影]

今回は身体的接触(フィジカルコンタクト)が有る、いわゆる「絡み」の画について書いてみたいと思います。まずは下の画(ノートリミング)を見てください。

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この上の画は身体的接触(フィジカルコンタクト)を伴う、いわゆる「絡み」の画に違いないと思うのですが、両選手の顔が分かりません。連写でこのシーンを押さえたのですが、結局ボールが両選手から離れるまで、撮影者からは両選手の表情を写し撮ることはできませんでした。「絡み」のシーンに魅力を感じて、それを狙って撮ったとて、必ずしも使える画になるとは限らない、という点は前提として理解していただきたいと思います。

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さて、今回の掲載画像はどれも、撮影者が狙う選手に対して相手チームの選手が体を接して競り合う画です。体が接しているので、被写界深度内に両者が入っているものもありますし、(一見するとそう見えても)微妙に外している画もあります。ただし、主たる選手の表情はしっかり撮れていても、それに絡む相手選手の表情ははっきりしません。たとえそうであっても、撮影者が撮りたい選手(主たる被写体)に対してピンが来ていて、それに絡む選手が写り込み、更に身体的接触(フィジカルコンタクト)があれば、元々の選手の闘争心だとか必死さ、懸命さが際立つ場合が多いです。

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試合時間が60分であれ90分であれ、このような絡みのシーンばかりが連続してピッチ上で行われている訳ではありません。しかし、このような絡みの画に魅力を感じたならば、そのような一瞬を逃さない集中力が必須なのは当然です。もちろん試合中の選手の動きを完全に予想できる訳でもなく、ピント合わせが非常に難しいと思われます。ここで重要なのは、狙う選手をしっかり見定めてピントを追従させて撮ることです。絡む選手を一塊として撮らないことです。こういった絡む画を撮りたいが故に、敢えて被写体深度を稼ぐために絞って撮る方もいますが、それでは上達はありません。被写界深度は絞りも影響しますが、被写体との距離にも左右されます。広いピッチ上を前後左右に不規則に動く選手が被写体です。それは撮影者と被写体との距離が常に変化していることを意味します。その場面・位置によって常に絞り値を変化させて撮る力量をお持ちの方なら無用な提言ですが、そこに注力するなら、一瞬の変化に対応する集中力をプレイする選手に向ける方が結果が伴うと思うからです。ただし、自らの使用機材とその設定、そして被写体との距離によって被写界深度がどのくらいであるか、それを頭ではなく感覚として身に付けれるようになれば、もうこんな記事を読む必要も無いでしょう。

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サッカー撮影が試合中の選手を撮るということであれば、それは人物撮影である」これはこのブログで何度も書いてきたことですが、人物撮影であるならば表情が出る顔はぜひとも欲しい。でもこのような絡みの画では(一番最初の画のように)なかなか難しい場合が多い。「ボールばかり見ないで顔をあげて!」とか、「撮影場所がもうちょっと違っていたら」といった考えが過るかもしれません。ですが、そんな考えは試合終了後にして、試合中は集中力を切らさず選手を追うことが次にチャンスを逃がさないことに繋がると思ってください。予測できない動きの選手を撮るのですから、撮影が限定された場所から撮るのですから、試合中の全てのシャッターチャンスを得るというのは、(それを望んでいたとしても)事実上無理なことなのですから。そしてチャンスと思ってシャッターを切ったとて、こういった絡みの場合は表情が撮れる確率は決して高くは無いのです。それでも試合中は選手と同じように果敢に挑み、(これは以前にも書きましたが)撮影した写真の平均値を上げるようにすることが良作を得る近道、だと私は思っています。

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サッカー撮影133(単独vs絡み その3) [サッカー撮影]

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前回は一枚の画に一人の選手しか写っていない「単独」について書きました。今回は一枚の画に複数人が写っているが、「絡み」とは言えない画について考えてみたいと思います。

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サッカーがチームスポーツである以上、主たる被写体の他に相手選手やチームメイトが写り込むのは普通です。ただ、その他選手が完全に背景の一部になっているような写真はここでは除きます。撮影者が狙う選手のプレイに関与して、プラス効果を生む他選手の映り込みは、「絡み」ほどではないにしても、サッカー写真らしい撮影者が欲しい画でしょう。掲載の画はどれも、主たる被写体(撮影者が狙った選手)の前や後ろにチームメイトや相手選手が写り込んでいますが、身体的接触はありませんから「絡み」とは言えないでしょう。この「プラス効果を生む他選手」というのは難しく、別に表情(顔)が撮れている必要は無いのですが、たとえば目を閉じていたり、緊張感の無い表情だった場合は、プラス効果を生んでいるとは言い難いですね。

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この場合、もちろん主たる被写体にしっかりピントを合わせれば、写り込んだ他選手は(条件にもよりますが)被写界深度から外れる場合もあるでしょうが、むしろそれは主題をハッキリさせる効果は出ると思います。それに、写真としての奥行き感を表すのに加担している、とも言えると思います。単独の場合は狙った選手にしっかりピンが来ていることを確認して連写すればよいのですが、この程度の複数選手の映り込みでも、試合中のサッカー選手は複雑な動きをしているので、思った所にピントが来ない場合もあります。その点で、前回の単独よりは撮影の難易度は上だと思われます。

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ただ、サッカー撮影をしている方にはお判りでしょうが、これらの写真は単独写真の延長線上の範疇にあります。一人の選手を追いかけ、シャッターチャンスをうかがい、そして狙って切り撮った結果だとしても、狙った選手も前後に入って来る味方選手や相手選手も、不規則な動きをする動体です。偶発性を完全に排除することはできないでしょう。しかし大切なことは、前後に入って来る味方選手や相手選手に惑わされることなく、狙う選手にしっかりピントを追従させて撮ることです。そして狙った選手以外の人物がファインダー内に入り込んできた時に、画としてどのような効果を生むのか、主たる被写体に対してどのように作用するのかを知識として持ち、経験を蓄え、価値を判断できる冷静さを持つことは重要だと思います。私はチャンスと見れば、5連写でも10連写でもしますが、無価値と思えば連写中でもシャッターボタンから指を離します。

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