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R3&R7の初期感想まとめ(前編) [カメラ機材]

今回手に入れた「CANON EOS R7」「CANON EOS R3」についてファーストインプレッションを長々と書いてきましたが、お付き合いいただいて恐縮です。「まだ書くのか」と言われそうですが、ここで私の初期印象と考えをまとめさせてください。

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CANONが動体撮影向けのミラーレス機として登場させたR3とR7ですが、一見すると過去の一眼レフ機の1D系と7D系モデルを想像すると思います(私も当初はそうでした)。しかしR3は1DX系に及ばない所がありますし、R7は7D MarkⅡ(7D2)と立ち位置が異なることを感じます。
R3の私の最大の不満点は、連写速度が任意に替えられない点です。メカシャッターや電子先幕シャッターはメカ的な動作が付随しますが、電子シャッターならば(最高約30コマ/秒ならば)、10コマや20コマに任意に替えることは技術的に可能だと思います。電子先幕シャッターにしても最高約12コマ/秒なら、それを上限に任意に設定できても良いと思います(本体価格を考えても)。動体撮影では、その被写体によって、シチュエーションによって、または撮影者の意図によって、連写速度は重要な要素だと思いますから、その点が何とも惜しい。キヤノンホームページでは現在、レフ機である1DX3がプロフェッショナルモデルとして最上位に位置し、R3はハイアマチュアモデルの範疇にいます。その点を考えれば、今後登場するであろうプロユースのミラーレス機(R1)には、そんな連写速度を撮影者が任意に設定できる機能が載るのでしょうが、残念でなりません。
R7に関しては、連写速度が変えられないのは7D2でもそうでしたから、価格的にも下位モデルとして納得できるところも有りますが、ミラーレス化の一目的である小型化を優先するあまり、バッテリーグリップ(縦位置での操作ボタン)が無いのが私の最大の不満です。下位モデルとして同時期にR10を出したのですから、小型化優先はR10に任せ、R7にはオプションとしてバッテリーグリップの用意はして、縦横での撮影の随意性を持たせて欲しかったと思います。

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動体に対するAFに関しては、R3でもR7でも「EOS iTR AF X」のトラッキング性能を使うことがデフォルトであることを書いてきました。正直に言って、R3とR7におけるこのトラッキング性能差を明確に認識するのは至っていません。しかし7D2が登場した時もそうであったように、使いこなすうちにそれは感じられることと推測しています(もちろんR3が優位性であることを)。それはセンサーからの読み出し速度の差がトラッキング性能の差に表れるのではないか、と想像している故です。
しかし考えてみれば、私がこのEOS iTR AF Xを使わなければならなくなった要因は、1点指定AFでAFフレームが大きすぎることの由来します。なぜあんなにも大きいのでしょうか。R3もR7もミラーレス機ですから、受像センサーでピント合わせをする撮像面位相差AFです。受像センサーのほぼ全面でピント合わせが可能であり、1点指定やゾーン指定というのは、ピント合わせをする受像センサーの部分を制限・固定することです。ならば、そのピント合わせをする部分というのは電子的な位置決めに過ぎず、AFフレームの大きさを撮影者が任意に変えることは、技術的ハードルがそれほど高いとは思えないのです。それは、EOS iTR AF Xがピント合わせに使うAFフレームが(過去の既述のように)、自動で大きさを任意に変えている点(たとえ連写中でも変えている)を見れば分かります。ならば、撮影者自身が指定AFフレームの大きさを任意に設定する項目を追加することが可能なのでは、と思ってしまいました。そしてこれは従来のレフ機、つまり別途固定されたラインセンサーを組み合わせたAFユニットにサブミラーから受光を導いてピント合わせをするレフ機ではできないことで、ミラーレス機の優位性をアピールできることだと思うのです。もしそうなったら、撮影者自身が位置と大きさを設定したAFフレームを使って撮る設定と、EOS iTR AF Xを使って自動でAFフレームの大きさと位置を変化させながら画面の端まで被写体を追尾して撮る設定、その二つが両立できるでしょう。しかもそれは、撮像面位相差AFのミラーレス機ではないとできないことなので、これこそがカメラの技術進歩だと思うのですが、どうでしょう。
この動体撮影向けに用意されたR3とR7にEOS iTR AF Xを搭載したということは、メーカーのキヤノンがかなりの時間と労力をかけて熟成させた結果だと思われます。このトラッキング性能を使いこなせれば、従来の置きピンや撮影しながら指定フレームの瞬時の移動といった操作が不要になるでしょう。レンズを向ければカメラが自動で(勝手に)ファインダー内で被写体を追い続けてくます。もちろんそれは常に100点満点ではありません。「貴方が狙っているのはこの選手でしょ」というのが間違っている場合も有ります。以下に失敗例を載せます。過去例のとおり、DPPのキャプチャー画(ノートリミング)で、右側が分かりやすくAFフレームを塗った画です。

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上の3連写はR3+EF200-400 F4 L IS USMで撮りましたが、これが私のレフ機である1DX2で撮ったならば、まず確実に2コマ目にはピンが中央の選手に来ているはずです。
もう一例挙げます。

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上の3連写も同様で、1DX2で撮ったならば、被写体追従敏感度を上げれば、2コマ目以降にピンが中央の選手に来ているはずです。

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CANON EOS R3 ファーストインプレッション(後編) [カメラ機材]

今回はAF以外のその他の項目について、R3のファーストレビューを書いてみたいと思います。

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まず電子式ビューファインダー(EVF)についてですが、R7のようなキレイに見せよう要素が若干少なく、R3の方が光学式ファインダー(OVF)に近いと思いました。私はサッカー撮影では両目を開けて撮ることをR7の時に書きましたが、その場合はR3の方が違和感が少ないです。特に日中は「OVFビューアシスト」をONにすると、その傾向が強くなります(ミラーレス機の「記録される画像を見ながらシャッターを切る」という点は放棄することになりますが)。ただし、このOVFビューアシストをONにするとファインダーの明るさ調整ができなくなるので、ナイターや屋内の暗い条件下では、妙に明るく表示されるので、使い方を選びますし、自身の経験と煮詰めが必要と思いました。
R7のEVFは約236万ドットでしたが、R3は約576万ドットと倍以上に高精細で、しかもセンサーが裏面照射積層CMOSセンサーとなって読み出し速度がR7より早いので、当然R3の方がEVF表示速度も速いはず。サッカー撮影ではレンズを振って被写体を追うことが多いので、この点はR3の優位を感じるところですし、価格差が如実に反映しているところです。実際、サッカー撮影の実戦に投入すればこの差は明らかで、OVFと遜色無い、とは言えないにせよ、使えるレベルだと思いました。
連写速度に関しては、以下の表のとおりです。
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サッカー撮影が主目的の私が注目するのは、高速連続撮影+のメカシャッター/電子先幕シャッターの連写速度です。R7は約15コマ/秒なのに対してR3は約12コマ/秒。R3の方が画素数も少ないので1枚当たりの容量も少ないのに(R3のRAWは約25~30MBぐらい)これはどうしたことでしょうね。R7では連写速度を任意に設定できないことを不満点としましたが、R3もできません。このユーザー自身が連写速度の変更ができることは極めて重要だと思っているのですが、残念です。レフ機でも7Dや7D2は連写速度の任意設定はできず、1D4や1DX2はできるので、きっとR1には乗せてくるのでしょうね。それでも落胆はしていません。R7の時に「15コマ/秒でも多いくらい」と書きましたが、12コマ/秒で撮れるなら、私的には十分です。
記録メディアは以前ご紹介したUHS-ⅡのSDカードですが、R7同様、書き込み中でシャッターが切れない、といった事態になることはありませんでした。R7で書き込みランプ点灯が気になったことがあった、と書きましたが、R3ではそれはありませんでした。

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デジタルカメラに付き物のレリーズタイムラグは、動体撮影者にとっては気になるところ。レリーズタイムラグとは、カメラでの撮影時にシャッターボタンを押してから実際に画像が記録されるまでの時間差のことです。EVFのミラーレス機ではさらに気になりますが、R3にはR7には無い「レリーズタイムラグ最速化」という機能があります。通常撮影時のレリーズタイムラグ(電子シャッター/電子先幕ともに約50ms)を最速化機能を使えば、電子シャッター時で約20ms、電子先幕時で約36msにまで最速化することが可能とのこと(メカシャッターは約76msで短縮できない)。私が従来から使っている1DX2にもこの機能が搭載されていますが、これまでは最速化せずに使ってきました。ミラーレス機のR3では、EVFの表示ラグも考慮すれば、またメカシャッターの約76msはちょっと大きすぎるので、「電子先幕で最速化ON」が私のデフォルトになりそうで、この機能の有無は、R7に対してR3の優位性を示す一例だと思います。
高感度についてですが、R3は常用感度ISO100~102400を謳っているように、APS-C約3250万画素のR7に完全に勝ります。圧勝と言ってよい差を感じます(これはRAWでの比較であり、JPEGではその差が縮まる可能性が有りますが)。フルサイズセンサーで約 2410 万画素は、現在では少なく感じられるかもしれませんが、キヤノン初の裏面照射積層CMOSセンサーの受光効率の高さが効いているのではないか、と推測します。

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1DX2と同じLP-E19バッテリーを使い、1200枚ほどサッカー撮影して残量は半分程度残っていましたから(全てファインダー撮影)、ミラーレス機としてはマズマズでしょう。そしてR3のボディ。R7に比べてこの大柄なボディは大容量バッテリーの搭載と共に、縦位置での撮影を容易にした、これまでの1D系列のボディです。7Dの時にバッテリーグリップを酷評し、7D2の時にマシになったかな、と書きましたが、R3の縦横で握り心地は若干違いますが不満無しで、縦横一体型のスクエアなボディはやはり便利で意欲を沸かせてくれます。1DX2と並べてみれば、R3の方がちょっと小さいですが、重量は1DX2が本体のみで約1340gなのに対して、R3は約822gです。見かけによらず軽いのです。
R3の注目機能である「視線入力機能」ですが、私自身がメガネ装着で撮影していること、この機能をキチンと使うにはキャリブレーションが必要なこと、等の理由により、まだ使っていません。なので、詳しいレビューは現時点では省かせていただきます。なお、今回もRAWで撮ってDPP(最新バージョン)で現像しましたが、1DX2では一枚当たりのRAW現像時間は(私の現在のPCでは)5秒程で済みますが、R3では15秒ほどかかりました。画素数的には2割増し程度なのですが、R3のRAW現像がこれほど長いのは意外でした。



ザっと、このR3のファーストインプレッションを書いてきましたが、R7とはちょっと違う点がお分かり頂けたでしょうか。まだまだ使っていくうちに感じたことや疑問点がでてくるとは思いますが、それはまた順次書いていこうと思っています。

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(以上はあくまで私個人の初期での感想であり、誤りや誤解のある表現が有ればご容赦ください)

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CANON EOS R3 ファーストインプレッション(中編) [カメラ機材]

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前回の続きです。
この「EOS iTR AF X」のトラッキングを使って撮り続けていると、AFフレームが任意に被写体を追い続けることは撮影中でも確認できますが、撮った画像を自宅で確認していると、やはりフレーム自体の大きさも微妙に変わっていることが分かります。これはたぶん、設定を「人物」にしたので捉えた被写体の「顔」の大きさによるものだと思われます。下の4例はDPPのキャプチャーですが、どれもAFフレームの大きさが異なります。分かりやすいように等倍に拡大したものを切り取って右側に載せます。
(以下の写真は、R3+EF200-400mm F4 L IS USM で撮ったものです)

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AFフレームの大きさの変化については、上の4例は比較的分かりやすいですが、実際にはもっと細かく微妙に変化しています。また、このトラッキング性能差の一例として、R7の時に紹介したように、APS-CのR7とフルサイズのR3では(メーカーホームページで示されたように)追尾範囲がR7よりR3の方が広いです。これは組み合わされるレンズにもよるのですが、画面のもっと端まで追尾してくれることは実戦で確認できました。
https://faq.canon.jp/app/answers/detail/a_id/101745#2-2
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ただ、R3だからといってこのトラッキング性能が100点満点かといえば、そうでもなく、高速連写中でも中央1点から次コマで顔にジャスピン、ということもあれば、狙った選手以外の選手の顔を捕捉し続ける、ということもあります。

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いづれにせよ、R3とR7で動体撮影する場合は、このEOS iTR AF Xのトラッキング性能の使いこなしが重要ポイントになることは間違いないと思われます。
総じて、R3はR7とメニュー構成的に似たところがあるので、AF関係は同じように思ってしまいがちですが(過去の1D系と7D系と同じように)、実戦で使い続けるうちに違いが分かる(もちろんR3の方が優れているところが分かる)と思われますし、(価格差を考えれば)そう期待せずにはいられません。

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CANON EOS R3 ファーストインプレッション(前編) [カメラ機材]

前回までR7について書いてきましたが、今度は、「EOS R3」についてのファーストインプレッションを書いていこうと思います。ただ、あくまで私個人の感想であること、まだ2500枚程しか撮っていない時点の感想であること、R7と機能的に重なる部分は省略すること、動画関係や通信関係の機能は割愛すること、を踏まえてお読みください。なお、今シリーズも通常より少し大きめの画像を載せます。

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R3の設定をR7と同じようにしてサッカーを撮り始めました。まずは動体撮影において最重要なAFについてですが、R3のAFも一見すると基本的にはR7と同じように見えます(細かなアルゴリズム等は当然違うはずですが)。というか、R3の方がR7より上位機で先に発売されているのですから、R3の為に開発したAFをデチューンしてR7に搭載した、というのが本来であろうと思われます。そしてR7のファーストインプレで最初に指摘した、1点指定時のAFフレームの大きさについてから、まず書き始めようと思います。以下に並べてみました。以下の3枚は全て1点指定AFで、DPPのキャプチャー画(ノートリミング)です。

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1点指定AFにおけるAFフレームの画面内での大きさの違いが分かっていただけるでしょうか。この角形のAFフレームをモニター上で実測してみれば、面積比でR7を1とすれば、R3は0.5程、1DXは0.1程になります。フルサイズレフ機である1DX2に比べればまだまだ大きいですが、これならば何とか使えるかな、と少しは思わされます。この違いはどうしてでしょう。一般ユーザーの私が推測するだけですが、センサーサイズの違いが大きいのでは、と思います。画素数は違いますが、R3はフルサイズ(約36×24mm)、R7は(約22.3×14.8mm)です。もしR3のAFユニットをそのまま小さいセンサーのR7に乗せれば、画面の見かけ上はAFフレームが大きくなって見えるはずです(ファインダー倍率なども影響するはずですから、実際にはセンサーサイズの違いだけではないと思いますが)。まあ理由はともかく、1点指定AFを使ってサッカーを撮る場合は、R7よりR3の方が多少マシかな、と実写して思いました。今回のR3の画は日中の高校生サッカーですが、(R7の時と同じように)上記の画の指定AFフレームが分かりやすいように赤く塗ってみたのが下の画です。

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R3のAF関係の設定も、前回までR7で紹介したものと基本的に同じです。基本的には、スポット・1点(領域拡大を付けるか付けないか)・自動選択(選択範囲の指定)、が有り、サーボAF特性設定も同じように5つのCaseが選択できます。ただ私の過去の経験で、7D2と1DX2とで同じメニュー内容でも、実際にはそれぞれの機種に合わせたアルゴリズムの設定がしてあり、ユーザーには一見しては分からないが中身は微妙に違う、ということをメーカーの技術者に聞いたことがあります。たぶんそれは、このR3とR7でも言えると思います。そして当然、R3にも「EOS iTR AF X」が搭載されています。このEOS iTR AF Xのトラッキング性能は、R7のCMOSセンサーから、R3はより受光効率と信号読み出しの高速化が図られた裏面照射積層CMOSセンサーになっているので、より高性能のはずです。中央1点から顔認識して、AFフレームの大きさを変えて追従する例を下に載せます(DPPのキャプチャー画です)。

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ただ正直の申し上げると、まだ2000枚程度しかサッカーを撮っていないので、R3とR7の性能差を甘受するほどには至っていません。過去の7D2と1DX2で経験したような差を、これからたぶん分かっていくものと期待しています。もう一例を下に載せます。今回は6連写です。背景を見れば、撮影者の私が被写体を追ってレンズを振っていることが分かると思いますが、それほどシビアに被写体を追わなくても追尾し続けることが分かっていただけるでしょうか。

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