長々と続けてきました「歓喜の刻」ですが、今回で最後とさせていただきます。


練習試合よりも公式戦、一回戦より決勝戦、大事な大会、重要な試合ほど選手の感じるプレッシャーは重く、それ故に歓喜の表現が取れる確率は高まります。たぶんそうした試合では、撮影者自身も選手たちと同じ重圧を感じて撮っていると思います。ではどうしたら上手く撮れるのか。筋書きの無いドラマである以上、こちらから望んだり、ポーズの注文を出すことは不可能。ならば、ピッチの隅々までカメラマンとしての嗅覚を研ぎ澄まして、集中して臨むことぐらいしか、私には思い浮かびません。




しかも、こうした宝石のような輝く表情は一瞬です。撮影場所からは表情がうまく撮れなかったり、相手選手や審判の陰に隠れてしまったりで、うまく捉えられないこともしばしば。数十分撮り続けても、得点シーンが1回有るか無いかのサッカーですから、撮り損なえば挽回は難しいでしょう。
それでも、集中力を高め、輝く笑顔を拾い撮ることができたならば、それはカメラマンとしての「歓喜の刻」だと思います。