見渡せる、海は広く大きい

それに比べ、自らの足元の何と小さいことか

そんな誰も居ない海辺に佇めば

心が内なる自分に向かうのは

か弱き故のことなのか



孤独を愛するほど強くも無く

人の絆が恋しくなることもある

煩わしい鎖と感じることもあるけれど

雑踏の中に埋もれるも、潔しとしない

ただ大地と海の狭間に、我が身を置くのみ



海へ続く一本の道

行くも戻るも自由な道

行く勇気、戻る決意

浜風の中、暫し佇む思案は迷いなのか

それとも、ただの臆病か



行けば必ず戻らねばならぬ

行って何が得られるのだろう

何も得られぬのなら、無駄足に過ぎぬのか

無駄は悪か、罪か、必要なことなのか

踏み出す一歩が、少し重い



それでも、自らの意志で決められることを

きっと自由というのだろう

行くも自由、戻るも自由

誰も居ない、この広い海辺では

そんな自由もきっと、ちっぽけな事に違いない




(コンビナートで海岸を埋められたわが街にも、こんな砂浜の海岸が整備されていることを、最近になって知りました)