病院に居る時間が長いので、手持無沙汰になることも多い。
つい、病院内を歩き廻ったりする。
するとこの時期、この病院では、燕がたくさん飛んでいることに気付く。
よく見れば、アチコチに燕の巣も見つけられる。
中庭の庇の下にも、一つの巣がある。
中には五羽にヒナ燕。
10分に1回ほどに割に、親燕がエサを届けにやってくる。
五羽にまんべんなくゆきわたる様に、エサを与えるところが、実に賢い。
それを一日中、ずっと続けている。
「ひたむき」とは、きっとこういうことを言うのだろう。
ちょっと疲れたから休もう、とか
もう今日はこれぐらいで充分だろう、とか
そんなそぶりは無い。
子を生み、育て、巣立たせる。
ひたむきに。
次の世代を育てることが、自らに課せられた唯一の使命であると、
信じているのだろう。
唯一と思ってない我々人間は、時に一番大事な使命を、軽んじることも
あるのかもしれない。
ヒナ燕はいづれ飛び立つだろう。
その時、親燕は、どんな想いを抱くのだろうか。