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事故3 [日々の徒然]

事故当日、病院へは学校の関係者も駆けつけてくれました。校長・教頭・担任・部活動顧問の各先生方、そして当市の教育委員会の担当者。学校内で、部活動中の事故ということで、皆一様に謝罪の言葉を口にされましたが、その時私は、聞いただけで、あまりのショックで返す言葉も見つかりませんでした。
事故翌日、事故現場をこの眼で見たかったので、愚息の中学校に行ってみました。校長からどのように落ちたかの説明(あくまで推測ですが)を聞きましたが、まともに落ちても、あれほどの怪我をするような高さでもなく、決して運動能力の劣る愚息でなかっただけに、今回は本当に打ち所が悪かった、ということなんでしょう。ただ、だからこそ、誰にでも、いつでも起こりうることなんだ、と思いました。校長室でも前日同様、謝罪の言葉をいただきました。私が返した言葉はただ一つ、
「本来、上がるべきでない場所に行った息子が一番悪いと思います。ただ、それならば、それをいけないと叱って欲しかった。ここは義務教育の学校で、何が良くて、何が悪いのか、何をしなければならず、何をしてはいけないのかを教える所だと思います。悪い事をしたなら、それは間違っていると、息子に言って欲しかった」と。

事故3.jpg

サッカーゴールの真後ろに、部室棟があります。ゴールに向かってシュートし、上に逸れれば屋根に乗ります。それを遮るネットなどはありません。そして、まるで屋根に登るためのような太い木が、裏の斜面から屋根まで、渡橋のように生えているのです。誰が考えても、あの木を伝えば、簡単に登れることは容易に想像でき、そして実際にそうしていたのです。そういった状態が、もう何年も(少なくとも愚息1号がいた7年前からは確実に)続いていたのです。隣では野球部が練習をしていました。当然、野球ボールも同じように屋根に乗ることもありました。そしてやっぱり、同じように野球部員の子が取りに行っていたのです。それが日常であり、当り前のこととして黙認されてきたのです。なぜか、といえば、それはこれまで何ら事故が起こらなかったせいでしょう。
そう考えると、今私の前で頭を下げる校長や顧問の先生に向けて、これ以上の言葉はぶつけられませんでした。だってそうでしょう、私の前に居るのは、たまたま事故当日の校長であり、今年の顧問であってしまった方々なのです。2年前の校長、4年前の顧問だって、同じように黙認してきたのです。6年前の野球部にだって、この事故が起こってもおかしくはなかったのです。たまたまその時は、何も事故が起きなかったので、何ら悪い意識も無く、不問になってしまっただけです。責任を感じます、と言う私の向かいの方々。でも私には、その責任を感じなくてはいけない、感じて欲しいのは、もう少し多くの方々ではないのか、という思いがありました。
サッカー部顧問の先生の口からは、サッカー部の自粛・辞退も考えている、との言葉も出ました。しかしそれには、私は強固に反対しました。子供たちは何も悪くない、と。汗を流し、毎日練習してきた成果を、これで無にしてはならない、と。そしてもう一つ。最初にボールを取りに行こうとして躊躇した1年生の子、愚息がボール取りを変わった1年生の子、その子はひょっとすると、罪の意識を持っているかもしれないから、もしそうなら上手くケアしてあげて欲しい、と付け加えました。キミは絶対に悪くないから、と伝えて欲しいと。
そうして2時間ばかりを学校で過ごし、そのまま病院のICUへ直行しました。気分も晴れず、気持ちの整理もできませんでしたが、あれから2週間が経った今、こうして振り返って書けるということは、少しは私自身も落ち着いたのでしょう。今回のことは、日常に当り前のように流れているものが、フッと牙をむいた瞬間の出来事だったのかもしれません。信号を守り、歩道を歩いていても、車が突っ込んできて命を落とす現在です。そういったことは、珍しくないのかもしれません。でも、珍しい事、滅多にない事であって欲しいものです。

一週間ほど帰って来ていた長女・長男が、東京へ戻って行きました。別れ際に私は、「退院して少し落ち着いたら、久しぶりに家族5人で旅行へでも行こう。近場でいいから」と言いました。今はそれを楽しみに、病院通いを続けています。

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volvo357

百の言葉よりも、一枚の写真。
大変驚きました。
心中ご察し申し上げます。
早く良くなるとよいですね。

by volvo357 (2011-06-20 21:38) 

j-pitt

ジュニアユースさん、こんにちは。
しばらくPCを立ち上げることなく、今日まで知りませんでした。

偶発の事故とはいえ、心痛お察しします。
息子さんの一日も早い回復をお祈りいたします。

一日も早く回復して、サッカーが出来ることが息子さんにとっての一番の薬かな・・・。

早く復帰した姿を見たいです。
by j-pitt (2011-06-20 22:02) 

radio-ya

事故はだれにでも起きること・・・まして身内や知り合いの方が事故にあうと、ごく身近に、隣り合わせに潜んでいるんだな、と思います。
私自身もバイクで3回ほど事故にあっておりますが、いずれも「まさか」がいくつか重なって、普段では考えられないような状況で発生しました。
でも、最悪の事態を避けることができて良かったですね。

また、ジュニアユースさんのとられた周りへのご配慮はご立派です。

家族そろって旅行できる日が一日も早く訪れることを祈ってます。
by radio-ya (2011-06-21 08:53) 

おおぬま ゆうじ

兄弟の言葉にとても救われますね
優しい兄弟で感動します
記事を書けるほど落ち着いた事、少しこちらもホッとしておりますが
看病はとても大変と思いますので
どうか、ジュニアユースさんもお体お大事に

そして、私もサッカー部の自粛等には絶対に反対です!

こんな事しか書けませんが・・・息子さんの元気になった報告を心待ちにしております
by おおぬま ゆうじ (2011-06-21 23:50) 

AOI

折に触れてブログをナナメ読みしているものです。

この度のご子息の事故、かける言葉も見つからず、
ただただ、心よりお見舞い申しあげます。


1日も早くご子息のケガが治りますように、
大好きなサッカーが出来るように
微力ながら願っております。



by AOI (2011-06-22 20:16) 

kotodaddy

ICUとは、場合によってはそういう状況さえあり得る場所なので、本当に心配しておりました。
まずは、そうならなかった事を素直に喜ばせていただきたいと思います。
今回の一件、部外者の私がとやかく言えるところは一切ないとは分かっていますが、少なくとも
今後同じ様な事故が起きなくなる様に関係者の方々にお願いしたいと思います。

最後に一言なんですが、ジュニアユースさんの常識性、人間性、心遣いに改めて感銘を受けた気がします。
近い将来、ご家族全員揃っての旅行が叶います様、祈っています。
by kotodaddy (2011-06-22 20:39) 

ジュニアユース

みなさん、コメントありがとうございます。

volvo357さん、ありがとうございます。
確かにこんな場合、写真は多くの情報を提供してくれますね。
愚息2号は、今のところ、回復方向へ進んでおります。良い報告ができれば、また書かせていただきます。

j-pittさん、ありがとうございます。
事故当時は、サッカーはあきらめてました。この子の選手生命は終わったと。でも今は、少しづつ希望が
出てきております。がんばります、私も息子も。

おおぬま ゆうじさん、ありがとうございます。
毎日、新聞やテレビで事故の報道がなされています。それがまさに、こんなに身近で起こるとは、思いません
でした。でも、起こっても不思議ではないんですよね。せっかく温かい言葉をかけていただいた方々には、
こんなことが起きませんように。

AOIさん、ありがとうございます。
何のとりえもない子ですが、サッカーだけは好きです。こんなにも多くの方々が見守ってくれているのだから、
何とかボールが蹴れるようにしてあげたいと思っています。がんばります。

kotodaddyさん、ありがとうございます。
「こんな気持ちで大学なんて行っていられない」と言ってくれた長男・長女、嬉しかったです。帰って来なくていい
と言ったのに、「オレにだってかけてあげたい言葉がある」と夜行バスに乗って来てくれました。家族って大切で、
ありがたいですね。

by ジュニアユース (2011-06-22 22:29) 

サルパパ

ご兄弟、とても立派だと感じました。
きっと次男くんも心強く感じたのではないでしょうか。

ICUから一般病棟に移られたとの事ですから、
回復の方向に向われているものと思いますが、
時間の経過に伴い、本人は精神的に、
ご家族は肉体的な疲れが重なってくると思います。

ご本人の回復はもちろんですが、
ご家族も体調に留意されてください。

ご子息の一日も早い回復をご祈念申し上げます。
by サルパパ (2011-06-23 19:31) 

tm-engineering

こんばんは。
ご子息、ご家族皆さんがゆっくりできる普通の日常を、一日でも早く迎えられるようお祈り致します。
なかなか言葉が見つからず、出遅れました事お詫びします。
by tm-engineering (2011-06-23 20:53) 

ジュニアユース

コメントありがとうございます。

サルパパさん、こんにちは。
確かに家内共々、疲れてはいるのでしょうが、愚息の回復具合で元気を分けてもらっています。
そして、こんなにも多くの方々から、温かい目を向けていただいている愚息は、きっと元気になると
信じています。ありがとうございます。

tm-engineeringさん、こんにちは。
いえいえ、こうして言葉をかけていただいただけで幸せです。
こんなふうな境遇になってしまうと、何でもない普通の毎日というのが、以下にありがたいものか、
身に染みて分かりますね。がんばります。

by ジュニアユース (2011-06-23 22:30) 

谷地坊主

こんばんは。

ご子息が回復に向かわれているとのことで、まずはホッとしました。
ジュニアユースさんご家族の強い絆を感じ、兄弟や家族の有り難さを痛感した次第です。

息子さん共々、くれぐれもお体を大切になさってください。
by 谷地坊主 (2011-06-23 23:47) 

Hobby

お気持ちとご心配、察するに余ります。
早く回復され、今までどおりの日常に戻れると良いですね。
by Hobby (2011-06-24 08:18) 

ジュニアユース

コメントありがとうございます。

谷地坊主さん、こんにちは。
やっぱり家内が一番疲れていると思います。こうした入院生活が続くと、どうしてもそうなってしまいます。
その家内を支えるのが、今の私の役目だと思っています。がんばります。

Hobbyさん、こんにちは。
本来は、楽しい趣味の話をするブログが、何だか暗くなってしまい、申し訳なく思っています。このブログも
そうですが、生活も、元の状態に少しでも近づけるよう、戻れるように、がんばります。


by ジュニアユース (2011-06-24 13:26) 

Yusuhara

ジュニアユース様、奥様もお疲れのことと思います。

これから長期戦かもしれません。

御子息も着実に回復しているのだと思います。
一休みしてくださいね(^^)
by Yusuhara (2011-06-24 13:46) 

ジュニアユース

yusuharaさん、こんにちは。
確かに、私も家内も疲れていないと言えばウソになりますが、それでも愚息の回復ぶりから元気を
もらっています。もう少しがんばります。

by ジュニアユース (2011-06-26 19:25)