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サッカー撮影110(守りのズーム・攻めの単焦点 その8) [サッカー撮影]

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長々とズームレンズと単焦点レンズについて書いてきましたが、今回で一区切りです。
これまで何度も書いてきましたが、広いグランド内を不規則に動き回る選手が被写体です。固定焦点距離の単焦点レンズに比べ、可変焦点距離のズームレンズの方が、選手を捉えやすいのは確かです。従って、両方のレンズで一試合撮れば、たぶんズームレンズで撮った方が撮影枚数が多くなるでしょう。しかし私は、「何でも撮ろうとすると大事な時に撮り逃がす事が多い」「集中力を高めて撮影画像の平均値を上げることの方が良作を得られる」、以前そう書いたことがあります。ズームレンズで無難な大きさで選手を撮り続ける、それは決して悪い事ではありませんし、時に必要なことでしょう。それをここでは「守り」という言葉で表現しました。ズームレンズを使えば、そうした守りの撮影がしやすいのは確かです。でも、そうして撮った画像の平均値を上げるためには、時に思い切った「攻めの画」が必要になります。負けない為に守りは必須です。しかし勝つためには、チャンスと見たら攻めの姿勢もまた必須なのです。

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ズームレンズに比べれば、単焦点レンズを使うと自然に撮影枚数が少なくなります。何故少なくなるか、それは撮影者自身が、シャッターを切る時・切らない時の取捨選択をしているからです。そしてその判断基準は、撮影目的や価値観、そして自身のスキル等で撮影者自身が決めることです。トリミングを使えば守りの撮影もできる、その考えも頭の隅に有るかもしれませんし、現在の高画素カメラでは、あながち「悪」とは言えません。しかし、画角が固定のレンズで動き回る選手を追うのです。選手の煌めく一瞬を撮り逃さないように集中力を研ぎ澄まさなければ、撮影画像の平均値は永遠に上がりません。そうした判断力や集中力、そしてそれを支える旺盛な撮影意欲、それを持って被写体と相対することを、ここで私は「攻め」という言葉を使いました。単焦点レンズで撮るには必須なのだと。

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愚息が現役を退いてからは、依頼撮影が殆どになりました。「A選手の画が欲しい」「B選手の絡んだ写真が必要」、クライアントからはそんな要求が来ることもあります。そのとき、「ありません」「撮れてません」では責務をこなしているとは言い難い。時には、ここで書いてきた「守りの撮影も必要なんだ」と思ったことが、再度ズームレンズを導入した理由です。ズームから始めて、その後長く単焦点レンズのみで撮ってきました。その私が今は、両方のレンズを併用しています。その想いを書き綴ることが、今回の記事を書くキッカケの一つでした。
そうしてピッチ脇で撮っていると、以前と比べてデジタル一眼レフカメラで撮っている父兄の数が多くなったことに気付きます。見ていると、その殆どの方がズームレンズを使っていますが、被写体がこんなに動いているのに、ズームリングを回す頻度が少なすぎる、ズーム全域を使っていない、と感じました。それも今回の記事を書くキッカケとなりました。

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写真撮影の中でもサッカー撮影は機材にかかる負担が大きい故に、それなりの投資が必要となります。しかし私が撮り始めた頃に比べれば、今は機材を選べる時代となりました。どんな機材を選べばよいのか、それはまた楽しみながら悩むとして、どんな機材を選ぼうとも、「より満足できる画を残したい」という想いが根底に有る筈です。それこそが、「攻め」でも「守り」でも必要な「意欲」であると思います。

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サッカー撮影109(守りのズーム・攻めの単焦点 その7) [サッカー撮影]

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前回は、私が単焦点レンズを使って撮る場合のスイートスポットの下限、選手がこの大きさ以上でないとシャッターを切らない、という事を書きました。では、私のスイートスポットの上限はどの位なのか?。回答は明確です。そのレンズの最短撮影距離で選手を捉えられる大きさ、です。

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サッカー撮影は、常に不規則に動き回っている選手を撮る、人物の動体撮影です。その場合(以前も書いたことがありますが)、遠くの選手を小さく撮ることは簡単なのです。長焦点距離のレンズを使って、遠くの選手をそこそこの大きさで撮ることは、それに次いで簡単です。しかし、近くの選手を目一杯の大きさで撮ることは、極めて難易度が高い。一試合撮っても、そう簡単に量産できるものではありません。それに加え、いくらAF性能が良い機材を使っていても、ピントが来ていなくては何ら意味が無い。ただでさえ薄い被写界深度の単焦点レンズです。集中力を研ぎ澄まして被写体を追い、選手がファインダーからはみ出しそうになっても冷静にシャッターを切るタイミングを計る、これは撮影者自身に相応の反射神経、努力と経験、そして「攻めの気持ち」を要求します。しかしコレが上手く決まれば、単焦点レンズの解像力と相まって、素晴らしい一枚を手にすることができるでしょう。それこそが快感(自己満足かもしれませんが)、これこそがサッカー撮影の醍醐味であると思います。

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過去のサッカー撮影の記事の中で、「ギリギリのフレーミング」や「ポートレート的」で、そんな画を載せてきましたが、それらは私の「攻め」の結果です。単焦点レンズを使ってそんな画を撮ることは難しい。難しいからこそ「撮ってやるゾ!」という攻めの姿勢・気持ちが必須なのです。前回にも書きましたが、現在の高画素のカメラでは、たとえ単焦点レンズを使っていても、守りの撮影はできます。でも、単焦点レンズだから、これ以上は引けないから、と諦めず、もう一歩踏み込んで、たとえ選手の手足がファインダーからはみ出しても構わない、と踏み込んで追えば、失敗するかもしれない、成功確率が低いかもしれないけど、高価な単焦点レンズでしか撮れない画を見つけられるかもしれません。いや、ぜひそんな画を撮って欲しいと思います。

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(今回掲載画像は全て、単焦点レンズを使ったノートリミング画像です)

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サッカー撮影108(守りのズーム・攻めの単焦点 その6) [サッカー撮影]

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前回、スイートスポットに入ってきた被写体の良いシーンを撮り逃がさない事、と書きました。この「スイートスポット」について、今回は書き加えようと思います。まずは、下に作例を挙げます。

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撮影データも記しておきます。
1D MarkⅣ+EF300mm F2.8 L IS
 シャッター速度優先AE 評価測光 露出補正 -1/3 シャッター速度 1/1000 F2.8 ISO 125  焦点距離 300mm
実は上の画はトリミングした画像です。ノートリミング画像が下の画です。

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このノートリミング画を見れば、狙った被写体が小さすぎて、削除対象画像になりかねません。ただこれでも、大きくプリントしなければ使える画かもしれませんし、チーム撮りをしている方々には、撮らなければならないシーンかもしれません。しかし、です。これは単焦点レンズの高解像力があってこその画です。トリミングで被写体の大きさを融通するのなら、「トリミングをズームリング替わりに使っている」と言われても致し方ないでしょう。それなら高価な単焦点レンズなど使わず、最初からズームレンズで撮れば良いのです。
もう一例載せます。これも単焦点レンズを使ってますが、トリミングしてあります。
1D MarkⅣ+EF400mm F2.8 L IS
 絞り優先AE 評価測光 露出補正 -2/3 シャッター速度 1/800 F3.5 ISO 100  焦点距離 400mm

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個々人の価値観や使用目的等によって左右するでしょうが、「縦で撮って横幅一杯に4:3にトリミングして、選手が目一杯の大きさになる画」、私はこれが被写体を捉える最小の大きさにしています(チーム撮りでも、依頼撮影でも)。つまり私が単焦点レンズを使って撮る場合、ファインダーを覗いて選手の大きさがこの画以上でないとシャッターは切らないことにしています。縦でも横でも、ファインダーを覗いてこの大きさ以上が、私のスイートスポットという事です。

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「トリミングは後処理だから」とか「トリミング前提で撮るべきではない」と、私はこれまで書いてきましたから、「トリミング=悪」といった印象を与えてしまったかもしれません。けれど単焦点レンズでサッカーを撮る場合、常に思うような大きさで選手を捉えられる訳ではありません。いや、そんな大きさで捉えられる事は、一試合撮ってもそんなに多くは無いはずです。単焦点レンズを使っている場合、サッカー撮影は常に不規則に動く選手が被写体なのですから、ある程度は後処理としてトリミングで整えるのは仕方ない部分もありますし、実際私もトリミングはします。そう考えると、自宅で簡単にトリミングできるデジタル写真になって、更に高画素になったことで、単焦点レンズ導入の敷居は低くなった、と言えるのかもしれません。
しかし、大きくトリミングしなければならないような画を撮ることは、単焦点レンズを使って「守りに入っている」とは言えないでしょうか。私がサッカーを撮り始めた頃、高性能な一眼レフカメラでも600~800万画素のカメラでした。その画を大きくトリミングしようものなら、プリントには全く使えない画になってしまいます。今ではその当時の3~4倍もの画素数が有り、高性能な単焦点レンズを使えば、トリミングしても高精細な画が得られる場合も有るでしょう。でもそれでは、何のために高額な投資をしたのでしょう。単焦点レンズを使っても守りの撮影はできますが、ここは攻めの撮影をしたいものです。

(以下の写真は、単焦点レンズを使って縦で撮った画を、横幅一杯に4:3にトリミングしたものです)

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サッカー撮影107(守りのズーム・攻めの単焦点 その5) [サッカー撮影]

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前回までにズームレンズについて書いてきましたが、今度は単焦点レンズです。これは話は簡単です。攻めの気持ちが無ければ良い画は撮れません。
過去何度も書いてきましたが、広いピッチを縦横に不規則に動く選手が被写体なのですから、被写体と撮影者の距離は常に変化しています。それを撮るには、可変焦点距離のズームレンズを使う方が理に適っているように思われますし、実際多くの方がまずズームレンズで撮り始めるでしょう。では、なぜ敢えて固定焦点距離の単焦点レンズで撮るのか。
1.描写力・解像力
2.AFの速さ・レスポンス
3.F値の小ささ故にシャッター速度が稼ぎやすい
4.薄い被写界深度を使ったボケ
上記のような点が概してズームレンズに比べて優れていることが(全てとは言い切れませんが)理由として考えられます。個々の項目についての解説は割愛させていただきますが、サッカー撮影で単焦点レンズを使って思うような画を撮れた時は、大きな満足感と快感を撮影者にもたらしてくれます。それ故、重く高価な単焦点レンズ(ここではサンニッパやヨンニッパを想定しています)を使って良作を量産することが、サッカー撮影の究極の目的になりうると思われます。ただし、それには相応のリスクと努力が必要になることから、撮影者に攻めの姿勢が必須であると思っています。

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単焦点レンズで撮る場合、思うような大きさで選手を捉えられる範囲は、広いピッチを考えれば、極めて狭いと言えるでしょう。テニスやゴルフで例えれば、スイートスポットが極めて狭い道具を使っているという事です。それを踏まえ、まずはそのスイートスポットに入ってきた被写体の良いシーンを撮り逃がさない事、それに集中することが第一です。
その場合、自分の立ち位置からどの範囲が許容できる大きさで撮れるのか、を確認しておくことが一つ目。二つ目は、自分が動けるとすれば、どれくらいまで動いて撮ることができるのか、動いた場所でどのように撮れるのか、を確認することです。練習試合や予選一、二回戦などでは、タッチライン沿いに動きながら撮れる場合も有りますが、大きな大会や決勝戦であれば、試合中に移動が禁じられたり、撮影範囲が定められたりしています。それは予め決められたことですから、守らなくてはなりません。例えば、「ゴール裏を除くゴールラインより後方5m」と言われても、ゴール寄りかコーナー寄りかでスイートスポットの範囲が違います。試合展開を予想しながら(あくまで予想ですから外れることもあります)、自分の欲しい画を撮れそうな場所を考えて確保するべきでしょう。それと特に晴天の場合、日差しの位置と角度も考慮すべきでしょうね。

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そうして考えた末のポジションで撮り始めても、なかなか思うような大きさで選手を捉えられないでしょう。でもそれが普通なのです。そこで腐らずに、イイ感じで飛び込んできた選手を絶対に逃さいゾ、という集中力を保つことが要求されます。逆に、あまりに遠くのプレイに関しては捨てても良いと思います。遠いと選手と撮影者の間に介在する空気の影響を受けますし、ファインダー内で狙った選手が小さいので、如何に高性能なカメラを使っても、ピント合わせが難しいからです。ズームレンズを使っていても同様の事が言えますが、単焦点レンズの場合は特に、捨てるシーンはキッパリ諦め、欲しいシーンは絶対逃がさないゾ、という攻めの気持ちを保つ、ということが良い結果に結びつくと思います。

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(今回の掲載画像は全て、単焦点レンズで撮ったものです)

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