実は私、歴史小説は好きな方です(逆に恋愛小説は苦手です)。
一時期、戦国時代を題材とした小説を読み漁ったことがあります。もちろん、司馬遼太郎氏著書の「関ヶ原」も上中下巻を完読しました。で、先日近所のレンタルビデオ店を覗いた時に同名の作品を見つけたので、つい借りてしまいました。「日本のいちばん長い日」などの原田眞人監督が、この日本最大規模の合戦を映画化、昨年公開された作品で、主演の石田三成を演ずるは岡田准一、対する徳川家康は役所広司、それに色を添えるくの一役に有村架純、という配役です。


さて以下は私の印象ですが、149分という日本映画としては長い上映時間を使っても、ぜ~んぜん描き足りていない。確かに石田三成役の岡田准一さんは頑張っている感がありますが、この関ヶ原の合戦に関わる人物の描写や背景、説明が全く足りない。たとえば、石田三成を嫌う七人が誰なのか、なぜ嫌うのか、全く分からないし、なぜ大谷刑部が無条件に味方するのか、安国寺恵瓊がどういう役目を負っているのか、そもそもなぜこの合戦が僅か6時間で決してしまったのか、等をこの映画だけで理解するのは難しい。歴史に疎い方には全く分からないのでは、と思ってしまいました。なので、149分を使っても極めて「早足感」があって、セリフは急いでいるので分かりにくいし、時間軸と場面展開が飛び過ぎで、一シーンの描写や演技を味わう余裕など無し。この映画は、歴史的予備知識を持っている人にしか分からないだろうし、そんな予備知識を持っている人を満足させられるだけの充実感も無いと思います。徳川家康役の役所広司はさすがの演技力でしたが、彼を起用したために家康側を描く時間を割かねばならず、それならいっそ題名を「石田三成」にして、三成だけを描いた作品にした方が良かったのではないか、と思いました(それでも149分では足りないかも)。
岡田准一ファン、有村架純ファンなら納得の映画、それ以外の、歴史好き、合戦好き、大河ドラマ好きの方々が、ちょっとレンタルビデオで借りて見て、いろいろツッコミを入れる映画かな~、なんて思ってしまいました。