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「神は我を見捨てず・・・」 [本・映画・アニメ・詩歌]

加齢のせいでしょうか、どうも昔聞いたフレーズが頭の中でフッと蘇ることがあります。でも、「はて、どこで聞いた? どこで読んだ?」と記憶を辿らなければならないのは、やっぱり歳のせいでしょうかね。このフレーズも何処から出てきたのかすっかり忘れていましたが、現在はインターネットという便利道具がありますから、簡単に検索できます。で、分かりました。1980年代に連載されていた漫画「ふたり鷹」(新谷かおる氏作)の最終盤に出てくるフレーズでした。
同じ日に同じ病院で生まれ、同じ「鷹」という名前を持つ沢渡鷹と東条鷹を主人公に、二輪の耐久レースを戦うようになる物語です。実在人物も登場しますし、シビアなレースの世界の中で、新谷かおる氏特有のコミカル感もあって、なかなか楽しめます。我が家には文庫本サイズ全11巻がずいぶん前から鎮座しております(今回取り出したら結構日焼けしてましたが)。この物語の終盤、二人の鷹は同じチームで世界耐久選手権を戦うのですが、年間優勝の掛かったボルドール24時間レースにおいて東条鷹が転倒してしまい、その再スタートの際に出てきたのが、この「神は我を見捨てず、ふたたび剣をとりて・・・戦え、とのたもうた!!」のフレーズでした。その後は修理の為に時間を取られ、トップと11周差でコースインしますが、デビッド・アルダナ(実在のレーサー)と沢渡鷹の鬼神のような追い上げで、最後は東条鷹のライディングで優勝を勝ち取り、4年に渡る物語を終えたのでした。

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まあ、いくら耐久レースとはいえ、11周もの差を乗り越えて優勝するなど、漫画の世界しか成し得ないとは思います。けれど、どうもこういった話にのめり込むと熱いものがあります。この最終戦は物語最終盤ということもあって、過去の登場人物やその背景なども描かれていたりして、ラストに向けての盛り上りもあって、愛読者には刺さる内容なので、きっと私の頭の片隅にこのフレーズが残ったのだと思います。そういえば同じバイクレースを舞台にした漫画「バリバリ伝説」(過去にこの前のブログでも紹介しました)でも、巨摩郡のノービス時代に出場した鈴鹿4時間耐久レースで、ペアライダーの聖秀吉が転倒して、バイクを押してピットに戻り、周回遅れになりながらもその後の怒涛の追い上げで優勝したシーンは前半のハイライトだったと思います。また、映画「汚れた英雄」(これも過去に紹介しました)でも、シリーズ最終戦で北野晶夫が転倒しながらも最後には優勝してシリーズチャンピオンになって、世界へ飛び立って行ったシーンもありました。バイクレース作品だけでもそんなシーンが有りますから、もっと裾野を広げてスポーツを題材とした作品などでは、最終盤に盛り上げる常套手段なのかもしれませんし、逆に惜しくも願い届かずに余韻を残す最後もまた、よくある形なのかもしれません。
漫画であれ、小説であれ、映画であれ、いづれにせよフィクションで、読む者・見る者に疑似体験を抱かせ、その琴線に触れさせることで価値や評価を得る作品なのですから、もし気に入った作品、興味を持った作品に出合えたのなら、冷静に「そんなバカな」と思わずに、素直に感動してみるのは悪いことではないと思います。こんな情報過多の時代で、その殆どが何ら触れられず通り過ぎ、万が一自らが触れられてもスルーするものが多いのに、僅かでも良い感情を湧き立たせてくれた作品を見つけられたなら、それはきっと貴重だと思うからです。

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