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大河ドラマ「どうする家康」 [本・映画・アニメ・詩歌]

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「大河ドラマ」は1963年から放送されているNHKでも著名な時代劇で、主に日本史上実在した人物の生涯を描いた作品や群像劇ですね。原則として1話45分で日曜夜に約1年間(50話前後)を通して放送され、その舞台となった地方や史跡などが町興しに役立ったり、観光の目玉になったりして、朝の連続テレビ小説と並んでNHKの看板番組の一つだと思います。62作目にあたる今年は「どうする家康」と言う題名で、徳川家康の生涯を描いています。民放なら視聴率が悪ければ打ち切りになるところ、この大河ドラマは放送枠1年が確約されている点と、国営放送のNHKという点もあって、その内容と視聴率が毎度話題になります。私は特別「大河ファン」という訳でもありませんが、過去何度か欠かさず見続けた作品もありました。が、ここ最近はご無沙汰していました。今年の「どうする家康」も最初は見ていなかったのですが、ネット上で話題になる記事が多くて、先月あたりから見続けています。歴史ものは嫌いではありませんが、歴史学者でも歴史考察家でもない一般人の私が、この「どうする家康」を見てちょっと思いついたことを書かせていただきます。
「ああ大河ドラマでも、NHKでも、視聴率を気にして作品造りをしているのだなあ」というのが第一印象です。明治維新前後でもまだそうだったので、こんな戦国時代では尚更ですが、基本的に男尊女卑の時代です。故に時代や世の中を動かしていくのは男性の登場人物であるはずで、女性はあくまで脇役でしかなかった時代です(一部例外もあるでしょうが)。その割に、女性の登場人物が多くて、それを描くシーンが多すぎます。チャンネル選択の主導権を「お父さん」が握っていた昭和の時代の大河は、まだこの傾向が薄かったように記憶していますが、今や視聴者に女性が占める割合が大きく、しかも男女平等がしっかり染み込んだ女性視聴者層を掴まなければ視聴率が稼げない時代ですから、如何に戦国時代を描くといえど、登場女性にカメラを向ける時間の多い作品になるのは、今の時代ではしかたないのかもしれません。
私は現代に生きる者ですので、別に女性蔑視や女性軽視するつもりはないのですが、女性主人公の作品や女性の活躍にスポットを当てた作品は別として、こういった時代劇に現代のホームドラマ的な要素を組み入れるのは、どうもフィクション感を感じざるを得ません。まあ、大河ドラマとてドキュメンタリーではなくフィクションであって、あくまでドラマであり、テレビ番組である以上は演出も必要である、ということは承知しているつもりなのですがネ。実は私、この「どうする家康」で徳川家康の正室を有村架純さんが演じるというので、史実で伝えられている瀬名(築山殿)をどのように色付けして描くのか注目していました。ちょうど私が見始めた先月末辺りから、その「築山殿事件」「信康事件」が放送されたので見ていたのですが、まさかの「慈愛の国構想」とは。
群雄割拠する戦国時代において、奪い合うのではなく与え合う、同一通貨を使って経済圏を新築する、というのは、戦の無い世を目指す、皆が平和に暮らせる時代を作る、という点では、現代人にとっても耳障りの良い話に思えます。確かにそれは、現代において「EU圏」という成功例もあります。しかし、そのEU圏設立にせよ、今に至る道程は極めて難しく(イギリスの加入離脱などもありましたね)、情報網や移動手段の発達した現代でも時間もかかりました。それを情報や移動が未発達で、年中隣国と戦をしている時代に、明日は生きているか、国が滅んでしまうか、という時代に、まだ小国に過ぎなかった徳川家が主導して行うなど、ちょっと考えれば絵空事です。戦というものを実体験していない当時の女子供ならまだしも、殺し合って生き抜いてきた武田家の智士である穴山信君までも片棒を担ぐとは、ちょっと意外以上です。そして徳川家康自身もそれに乗ってしまうとは、とても後に天下人になる器とは思えない。武田勝頼や織田信長も出てきますが、彼らの反応の方が、つまりコレを利用して勢力拡大を狙うという方が、当時のリアリティ的にアリだと思いました。故に、現代人向け、今の女性視聴者向け、そして有村架純さん向けの描き方だなあ、と思い至った次第です。
ただ、史実(その史実の解釈も年々変わっていますが)に忠実過ぎると、暗く重い物語になってしまい、それは「骨太」という賛辞は得られても、視聴者受けではどうでしょう。先にも書いたように、ドキュメンタリーではなくテレビドラマですから、たとえば瀬名が生き続けるといったような、史実と大きく離れた話ではなく、「もしかしたらこうだったかも」といった新解釈話に持って行くのは、あながち間違ってはいないと思います。過去の大河ドラマに徳川家康は何度も登場して描かれていますが、それらと違った家康像を目指して脚本家の方が頑張っているのならば、こうしたツッコミどころの有る点は既に想定内で、それはそれで良いのかもしれません。なぜなら、一般視聴者の私がこうした記事を書くこと自体が、この大河ドラマ「どうする家康」のどこかに惹かれている証拠なのかもしれませんから。
さてさて、まもなく戦国時代のビックイベント「本能寺の変」が描かれることになりますが、今までの通説や現代の史実解釈とどう違うのか、違わないのか、ちょっと注目してみます。

(以上、超個人的な感想でした)





ちなみに過去の大河ドラマは、NHKエンタープライズよりDVD or ブルーレイ化されて販売されています。こうした戦国時代を描いたものでも、過去作を見てみれば、今では到底実現できないような豪華な配役、いかにNHKでも予算的に無理でしょう、という配役の演技を楽しめるものも有ります。今回の「どうする家康」の家康と、2000年放送の「葵 徳川三代」の家康(故・津川雅彦氏)と見比べてみるのも面白いかも。お気に入りのものだけでも手元に置いておくのはアリかもしれませんよ(でも、ちょっと高価すぎません?NHKさん!)。

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