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サッカー撮影34(撮らない) [サッカー撮影]

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前回、無駄な画は撮らず、撮影枚数全体のレベルを上げるべきことを書いた。それはつまり、撮るべきシャッターチャンスを逃さないために、撮っても無駄になると思える画は撮らないこと、その分集中力を持続させ、必要な時には躊躇なくシャッターを押すこと、という意味である。今回は、たまにはカメラを手にせず、裸眼で一試合通して見る、ということを提案したいと思う。

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これからの季節、各年代とも各種重要な大会・試合が続くと思われる。自分の子の所属チームを撮っている方々にとっても、出動回数の増える時期だ。今年の大会は今年にしか、明日の試合は明日にしか撮れない。しかも公式戦ともなると、試合に出る選手はもちろん、我々撮る側も気合が入る、はずである。しかし我々アマチュアは、精神的にも肉体的にも、常にベストの状態で撮影に臨めるとは限らないし、どこか義務感・使命感で撮っている想いを感じた事はないだろうか。そんな時には、「一度休んで見る」というのも必要なのではないか、と思うし、撮影意欲が再度かき立てたり、創意工夫のヒントが得られたりして、無駄ではないと思う。
いつも狭いファインダーを覗き、必死に選手を追い、シャッターチャンスを逃すまいと集中している事に比べれば、裸眼でグランド全体を見渡せば、試合全体の流れや選手の個々の動き、チームの雰囲気などが窺い知れ、それは義務から逃れられた開放的に近い気分が得られることがある。声を出して応援することも、良いプレーに拍手することも、隣の保護者と雑談しながら試合を見ることも、できる。いつもは出来なかったことが出来る喜び、「やっぱりこうして裸眼で見ていた方が試合を楽しめる」がずっと続くようなら、いっそ撮影から手を引いて、サポーターの一員となる道もアリだと思う。

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しかし、サッカー撮影の醍醐味を一度でも味わったことのある方の多くの場合、ポケットに突っ込んだ指先が試合を見続けるにつれ、ピクピク動く症状が発症することが多い。それは一試合で起こるかもしれないし、数週間の潜伏期間が有るかもしれない。「あっ今のシーン、撮っておけばイイ写真になったかも」などと思える事が度々湧きおこってくるようだと、裸眼で眺めているはずの眼が、ファインダーで追っている眼に変わってくる。試合終了までそうしていると、「あそこのシュートシーンに、GKにピンを振っておけば、ファインセーブが撮れたかも」とか、「逆光を逆手にとって、シルエット的に撮ってみるのも面白いかも。でも露出はどうするかなあ」などという考えが浮かんで来たら、しめたもの。もう貴方は立派なカメラマンに逆戻り。それらが次回撮影の糧になること間違いなし。

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裸眼で試合を見るということは、視野の制限が無く、カメラの設定に悩むことも無く、構図を工夫する必要も無い。人間の目とはまったく便利なもので、遠くのものを拡大する機能は無いけれど、そんな状況でも素早いピント合わせをしてくれ、印象的なシーンはしっかり脳裏に焼き付けてくれたりする。撮らないからといって、保護者一団の中からのみ見るのではなく、動ける範囲で場所を変えて見てみると、「ここならこんな画が狙えそうだ」とかの知識や工夫を増やすことができたり、必死になって走る子供たちの表情を見ていると、「これを形にして残してあげたい」という当初の意欲が、再度湧き起ってきたりする。サッカーとは、試合中プレーが途切れないので、いざ撮影に入ってしまうと、狭角的になってしまいがちだが、撮らないとなると、試合全体を見回し、創意工夫を思考する余裕ができ、自らの意欲の充電になることもあり、それらの経験・過程が次回撮影での「引き出しの多さ」や「集中力の向上」に繋げられると思う。

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趣味だから撮るのが義務ではないのだけれど、撮るのが当たり前になってしまっている方に、たまには撮らない、という選択肢をお勧めしたいのは、そんな理由からだ。私も、特に撮って残す必要が無いような試合では、裸眼で見て楽しむこともある。もっとも大抵は、すぐ撮りたくなって、ハーフタイムに車にカメラを取りに走る、のだが。

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うらくん

なるほど。
確かに今回の記事もうなづくばかりです。
私は仕事でしか、サッカーを見ないので写真を撮らないという、認識が全くありませんでした。
なかなか機会はありませんが、カメラ持たずにサッカー観戦をしたいと思いました。
色々学ぶ事が出てきそうですね。
by うらくん (2012-06-18 07:53) 

ジュニアユース

うらくんさん、コメントありがとうございます。
プロの方は、撮らないで見る、ということは、まずないですよね。アマチュアだと、いつしか
義務感で撮っていることに気づくことがあって、今回の記事のようなことを書いてみました。
アマの場合、意欲が結果に直につながりますものね。

by ジュニアユース (2012-06-19 13:04)