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超時空要塞マクロス「愛・おぼえていますか」 [本・映画・アニメ・詩歌]

前回は、見てガッカリ、の話でしたが、今回は38年の時を経ても手元に残しておきたい作品をご紹介させていただきます。
1980年代からのSFアニメといえば、「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」と共に、「超時空要塞マクロス」も外せないと思います。いづれの作品も、テレビシリーズ第一作が好評で(放送当初は評価されなくても後に高評価された場合もアリ)、その後にシリーズ化や派生作品が生まれました。今回ご紹介するマクロスは、1982年から1983年にかけて放映されたテレビアニメシリーズ第一作の設定や物語を再構成した完全新作の劇場版、1984年に公開された「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」です。

超時空要塞マクロス-愛・おぼえていますか.jpg

劇場版と言うと、テレビシリーズの総集編的なものが多かったと思いますが、本作品はマクロスの設定はそのままに、全編新作フィルムとして制作されました。それが革新的なメカの映像美と戦闘シーンの緻密さを生んだ作品として、後世に語り継がれたことだと思います(たぶん)。38年前のSF戦闘アニメとしては他の同類作品を大きく引き離す、当時のセル画表現の最高峰という意見もあるそうです。また、地球統合軍の可変戦闘機「VF-1 バルキリー」は、実在の戦闘機に酷似した飛行形態から人型に変形したり、その中間形態(ガウォーク形態)でも戦闘可能という斬新さで、各種武器や増加装備などを加えて、ガンプラマニアに重宝されて人気を博したようです(後継作品にはこのバルキリーの各種発展型も登場)。
(以下、ネタバレを含みます)
あらすじは、男性型巨人異星人ゼントラーディ軍と女性型巨人異星人メルトランディ軍は、戦う事しか知らない種族。その争いに地球人が巻き込まれて絶滅寸前に追い込まれるが、僅かに生き残った人類が、「SDF-1 マクロス」という宇宙戦艦に乗って戦火に巻き込まれながら航海を続ける。そのマクロス艦内には、軍人と数万人の民間人が同居していて、民間人は地球と変わらない生活を送り、その中でアイドル「リン・ミンメイ」が生まれます。そのミンメイと、軍人で航空管制主任オペレーターの早瀬未沙、バルキリーパイロットの一条輝、この三人の人間関係(恋模様)が中心に話が進みます。そして、この戦う事しか知らない巨人異星人たちは恋愛や文化(歌)というものを知らず、故にそれに触れた時のカルチャーショックでパニック状態になる事に気付きます。彼ら戦闘異星人を生み出した先史銀河文明「プロトカルチャー」の情報を得て、最終局面へと(戦闘も三角関係も)なだれ込んでいく、というのがザっとしたあらすじです。
実は私、マクロスTVシリーズを真剣に見ていた訳ではないので、ほぼ予備知識無しでこの作品を劇場で見ました(後の派生作品も見てません)。まず驚かされるのが、CGが無い当時のセル画でここまでできるのか、と思う程の緻密な描写(特に兵器と戦闘シーン)、これに圧倒されます。その兵器も、上映時間の関係で詳しい説明はカットされていますが、ミリタリーとして十分今でも納得できそうな造りで、これが有ってこそ、後のシリーズ化に繋がったと思います。けれど本作の本筋はそこではなく、三人の恋模様。軍人としてエリートで気丈な年上女性と、万民が崇めるアイドルとの間で揺れる主人公。何ともうらやましい状態ですが、結局結末は・・・
私と似た年代の方は、既に鑑賞済みの方もいらっしゃることでしょう。38年前の作品ですが、リマスター版も出ていますし、今見ても十分鑑賞に堪えられると思い、ここに紹介させていただきました。最終局面では、今見てもなかなかアツイです(いろんな意味で)。





主人公のヒロイン、リン・ミンメイの声優を務め、この作品の主題歌を歌うのは、実在の歌手「飯島真理」さん。サウンドトラックが発売されましたが、収録曲は全て飯島さんが歌っています。オリコンチャートでこの作品の主題歌「愛・おぼえていますか」が最高7位を獲得し、当時の歌番組に何度か登場していますから、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。実在歌手がアニメの声優を務めて、そして歌う、それは今では珍しくなくなりましたが、当時としては先進的な試みだったのではないでしょうか。





上記の後、エンディング・クレジットが流れるまでの間に、大切なシーンが有ります。歌う直前に一条輝を巡って大きく傷つけ合ったミンメイと早瀬未沙。歌い終わり、戦闘終了後の静寂の中で、二人の間で無言のやり取りがあります。この僅かな短いシーン、セリフもナレーションも無い、未沙とミンメイの無言のやり取りが二人の行く末を暗示しているような製作者の意図を感じ、このアニメを「作品」にしている大きなポイントだと(私的には)思います。単なるSF戦闘アニメではない証だと思います。彼女たち二人の間で、どんな心の声のやり取りが有ったのか、しぐさと表情から想像してみてください。エンディング曲の飯島真理さん作詞・作曲の「天使の絵の具」を聞きながら。





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wataru-wata

ジュニアユース様、こんにちは!

先日、私の熱い思いを沢山書かせていただいたのですが、ミスで投稿できていなかったみたいです(><)

くぅ~~~(><)

もうね、「愛・おぼえていますか」は日本アニメ史に絶対残る名作と思います。

これを作った方々、お一人お一人を尊敬しますよね。

by wataru-wata (2022-07-27 15:38) 

ジュニアユース

wataru-wataさん、こんにちは。
原画担当に、エヴァの庵野秀明の名前が有りますね。
当時のアニメとしては最高度の作品なのではないでしょうか。海外での評判も良かったみたいですしネ。
私もこの記事を書く際に再度見直してみましたが、物語終盤のミンメイの刻々と変わる表情の変化とカット割り、秀逸です。
飯島真理さんも、この点はかなりの力演だったのではないでしょうか。

>私の熱い思いを沢山書かせていただいたのですが・・・

ぜひもう一度書いてください!

by ジュニアユース (2022-07-28 08:55) 

wataru-wata

ジュニアユース様、こんにちは。

お言葉に甘えて再投稿です(笑)

マクロス自体、色々な影響を与えてますよね。戦闘シーン、特にミサイルの弾道&避けるシーンはマクロスを象徴すると思います。

また、音楽に力を入れたアニメとして先駆けと私も思います。

そしてジュニアユース様も書かれている通り、このクオリティーの高さです。five star戦記というクオリティーに拘った作品もありますが、制作時期を考えると「愛・おぼえていますか」は突出していると思います。

先日、BSで4Kデジタルリマスターが放送されたので、しっかり録画しました☆

そして、制作側も語っている「感情を表現した」事ですよね。確か、この年って「ナウシカ」も封切りされた年だったと思うのですが、この辺からアニメのストーリーに重みが出てきたと思うのです。

個人的には「ジャパニメーション」という単語を生み出す事になった作品の1つと思います。
by wataru-wata (2022-08-01 10:16) 

ジュニアユース

wataru-wataさん、コメントありがとうございます。
確かに、この作品が公開された1984年に「風の谷のナウシカ」も公開されました。
この辺りから、アニメが劇場映画と肩を並べるようになった、決して子供向けではなく、映像作品と呼べるものが登場しつつあった、と思います。
そして、その主題歌がヒットするのも。
この作品も、どうも戦闘シーンやメカ部分に目が行きがちですが、今見直してみれば、三人の主人公の微妙な表情の変化もうかがえます。
リマスター版がブルーレイで出てますが、買ってみようかな~

by ジュニアユース (2022-08-01 11:57)