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GSX-R 600 (L3) その6 [車・バイク]

さて、長々とGSX-R600について書いてきましたが、今回で一区切りです。

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還暦にしてリターンライダーになったにしては、現代の超スポーツモデルであるミドルSSを愛車としてしまったことによる苦労は、これまで書いてきたとおり。では後悔しているのか、と言えば、答えはNO。それは同時期に愚息2号が購入した、Ninja-400との比較で明らかです。Ninja-400はパラレルツインで、GSX-R600よりもずっと軽くスリムに感じます。パワーは48psですが車両重量は20kgほど軽く、決して遅くはないです。しかし私がこのNinja-400を愛車にしていたら(愚息には申し訳ないですが)、きっと飽きると思います。それほどNinja-400はよくできたバイクで、還暦の私でも苦も無く乗りこなすことができると思われます。実際、特別なことをしなくても愚息は既にNinja-400のポテンシャルの70%程度は引き出しているのではないか、と思うのです。それに比べ私は、GSX-R600の半分、いや1/3位しか引き出してはいないと思います。最初に私のバイク選びのポイントは、「還暦の自分自身への挑戦」だと書きました。その点においてGSX-R600はかなり手強い、奥深い、高い目標でした。故に正解だったと思っています(現時点では)。
GSX-R600の欠点を挙げます。第一には、日常使いにおいて、長距離ツーリングにおいて、キツイ前傾姿勢を強いられること。次に、フルアジャスタブルといっても、一番柔らかくしても固い乗り心地。更に、ハンドルの切れ角が少ないので、小回りが利かないことも挙げられるでしょう。しかしそれらは、購入前から分かっていたことであり、このバイクの成り立ちから考えて当然のこと。ポルシェやフェラーリなどのスポーツカーに乗って、「車高が低いからイヤ」「車内が静かでないからイヤ」というのと同じです。時速250km以上出るバイクを選んだのですから、日常領域での使い勝手を欠点に挙げるのは野暮というものでしょうね。
でも敢えて細かな欠点を挙げれば、現代のスポーツバイクとしては、ABSが付いて無い点は欠点でしょう(ブレーキ自体は強力に効きます)。ギヤポジションインジケーターは便利だし今や常識になりつつありますが、燃料計が無い(インジケーターのみ)のも欠点。駐車時にヘルメットを付けておくロックが無いのも欠点かな(これは社外品を取り付けました)。タンデムなど端から考えられていない、積載物が乗せられないシート形状は、このバイクの性格を考えればしかたないですね。ノーマルマフラーなのにアイドリングから低音で響く排気音は、早朝の住宅街ではちょっと気が引けますが、これはエンジンパワーの証ですから、欠点とは言えないですね。
言われている低速トルクの無さは、「そんなもの」と思って慣れれば、街中のトコトコ走りでもなんとかなりますし、シート高810mmは、身長170cmのメタボオジサンにはギリギリセーフかな。現代ではLEDが当たり前ですが、ヘッドライトがハロゲンランプというのも時代遅れ気味ですが、夜間走行は殆どしない私には関係ないし、スリッパークラッチが付いている割にクラッチが重いのは、高パワー故のことと納得できますし、リッター当たり15~20kmという燃費も、まあそんなものかな、と。
では、GSX-R600の長所(魅力)は何か? それは皆さんが予想する通り、優れたスポーツ性能です。それは、私などが偉そうに述べられるほどのレベルではありません。峠でちょっと頑張った程度では微動だにしない高性能です。太いタイヤによる高いグリップ力、深いバンク角、強固なフレーム、低重心によるシャープな切り替えし、5000rpm以上なら瞬時に応え、怒涛の高トルクを伴って吹き上がるエンジン。特にこのリッター当たり200psを超える、一昔前では考えられない高出力エンジンは、187kgの車体を瞬時に異次元の世界へ導きます。それは最初は恐怖でした。125psのパワーは2速で強烈な加速と共に時速100kmを超えます。その性能を引き出すにはサーキットでないと無理でしょう。この高性能は挑戦し続けて分かってきたことです。そして何度挑戦しても、未だ自分がこの性能に全く追いついていないことも分かってきました。このスポーツ走行において、私の手の届かない高性能が長所であり、故に私が満足している点です。自分が未熟で、その性能を持て余している、というのに「満足している」というのは矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、それは「趣味」という分野でなら許されること、「還暦の挑戦」なら十分納得のいくもの、と思っています。そして更に付け加えさせていただくと、一目見て惚れ込んだこのスタイリング。実はコレが私にとって最大の魅力であり、最大限に満足しているところです。総じて、サーキットなどのクローズドコースでないとその性能を100%享受できないとしても、所有し、乗って、挑戦し、苦労し、そして工夫する、それは私の目指したものだと思っています。

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乗り手の体が剥き出しのバイクは、自動車に比べれば危険な乗り物です。誰にでも勧められるものではありません。特にこのようなスポーツ性最優先のバイクは。もちろん還暦の私は、若い頃のように無茶はしません(できません)。それでも私は「満足している」「後悔していない」と言います。それは、「今しか乗れない」「今しか楽しめない」と思うからです。どこまで、いつまで、乗れるか分かりませんが、(安全を確保した上で)精一杯挑戦したいと思います。以前、「スポーツ撮影はスポーツだ」と書いたことがあります。こんなスーパースポーツ(SS)と呼ばれる範疇にあるバイクを乗るのは、それもまた「スポーツなのだ」と思いました。

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