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サッカー撮影121(縦か横か その5) [サッカー撮影]

さて、「縦か横か」の後半です。今回はちょっと視点を変えて、トリミングについて書いてみたいと思います。

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現在の写真はデジタル画像ですから、撮影者自身が自宅のパソコンで簡単にトリミングが出来ます。トリミングについては今までいろいろ書いてきましたが、トリミングしなくて良いのが最良ですが、一概に全て悪と決めつけるのはどうかと思います(私もトリミングは必要に応じて使います)。ただし私は、いくら高画素になったからといって、小さく写っているものをトリミングして大きく見せる、といった極端なトリミングはしませんし、それでは大きく撮ることを勧めてきた事に反します。また、撮影時にトリミングを前提に撮っていませんし、それをお勧めもしません。ただ、このトリミングを使えば、縦で撮った写真を横長写真にすることも可能ですし、逆に横撮影で撮った写真を縦写真にすることも可能なのは事実です。まず前者の例を挙げると、上の①の画です。縦で撮った画をトリミングで横長写真にしたものです。

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一見すれば、それほど悪い写真には見えないかもしれませんが、トリミングして横長写真にしても画素数的に厳しいですから、大きくプリントするには耐えれません。また、この写真はほどほどの大きさで被写体(選手)を捉えられていますが、ファインダー内で被写体がこれより小さいと動体撮影なので、ピント合わせに苦労することは明白で、これまで述べてきた「大きく撮る」に反します。

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では次に、横で撮った写真を縦長写真にする場合の例が上の③の画です。
これもこうして画面上で見る限りは、それほど悪い写真には見えないかもしれませんが、やはり画素数的には厳しくなるので、大きくプリントするには適しません。元の画は下の④の画です。

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「大きくプリントするには」と書きましたが、トリミングした上記の①と③の画はどちらも、3648×2432pixelで約887万画素です(使用したのは約2000万画素の7D2)。確かに大きくプリントするには適さないですが、A4サイズ位までなら十分対応可能でしょう。これはデジタルカメラの高画素化の恩恵ですが、かといって私は、これをお勧めする訳にはいきません。トリミングはあくまで後処理であり、撮影する際にそれを前提に撮らない、ということを、これまでも、これからも勧めたい故です。
大きく撮りたい、その希望を持って撮影に臨んだとしても、サッカー撮影ではその通りにならない事の方が多いですよね。私の場合、「縦で撮って横幅一杯に4:3にトリミングして、選手が目一杯の大きさになる画、私はこれが被写体を捉える最小の大きさにしています」と過去に書きました(サッカー撮影108)。先に載せた例は3:2にトリミングしたものですが、3:2と4:3では少々印象が異なります。今度は縦長写真を4:3でトリミングして横長写真にした例を以下に載せます(⑤と⑥の画)。

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個々人の価値観や使用目的等によって左右するでしょうが、縦であろうが横であろうが、この大きさ以上に被写体を捉えられなければ、私はシャッターを切りません。それは、もし撮っても「使える写真」にならない確率が高いためです。年間数万枚を十数年続けてきた私は、カメラボディや使用レンズが変わっても、感覚的にこの「使える大きさ」を身に染み込んでいます。これを皆さんに強要するつもりはありませんが、大きく撮ることを望みながらも、そう思いどおりにならなかった場合の自分なりの「最低限の被写体の大きさ」を把握しておくことは大事かと思います。

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狙う被写体(選手)を敢えて小さく撮っておいて、使う際に縦長または横長にトリミングする、というのは、以前書いた「トリミングを前提に撮らない」に反します。トリミングはあくまで後処理です。撮影時に敢えて小さく撮るのは、作画的に、構図的に意図した場合のみであって、ここではお勧めはしません。

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