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真夏の大会 [サッカーあれこれ]

甲子園で高校野球の熱戦が続いてますね。その甲子園を目指す地方大会で、プロ注目の投手、大船渡高校(岩手)の佐々木朗希選手が地方大会決勝に登板せず、チームは敗れて甲子園出場を逃したこと、記憶されている方も多いと思います。7月21日の4回戦で延長12回194球を投げ、翌日の準々決勝は完全休養させてチームは延長の末に辛勝、中2日となった準決勝では129球を投げて完封劇、でも甲子園出場がかかった決勝に監督が登板させなかった件です。理由は、選手の将来を優先して故障を回避した、ということらしいですが、それには賛否両論ありました。野球に関しては無知な私ですので、この件について私見を述べるのは止めておきます。では、同じように酷暑の沖縄で行われた、令和初の高校総体(インターハイ)サッカー競技はどうでしょう。

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男子サッカーは、7月26日の一回戦から8月1日の決勝戦まで、今年は沖縄県で行われました(今年の優勝は桐光学園高校でした)。主催は全国高等学校体育連盟です。男子サッカーは(女子は地域代表)、各都道府県代表校(北海道、東京都、神奈川、大阪、沖縄は2校)52チームがトーナメント方式で戦います。決勝戦以外は延長戦は無く、同点の場合は即PK戦で、故にジャイアントキリングが起こりやすくもあります。ただサッカーは団体競技ですから(野球も団体競技ですが)、試合中の選手交代が5人まで認められ、酷暑の中でのチームの総合力が試されます。競技時間は35分ハーフの70分(インターバルは10分)で、通常の45分ハーフよりも短いのは、真夏の大会故の配慮でしょう。しかし、ベンチ入りメンバーは17名と少なく、11人の先発を除けば6人、そのうちの1人はゴールキーパーになるでしょうから、フィールドプレイヤーのベンチ選手は5人のみです。いくら5人の交代枠が有っても、交代選手がベンチに5人しか入れないのでは、接触プレイの多いサッカーですから、試合中の怪我を考えれば、どうしても選手のポリバレントを考えねばならず、指揮を執る監督としては頭の痛いところでしょう。
更に試合日程も過酷です。開会式の翌日から一回戦が始まり、翌日二回戦、翌々日が三回戦、一日休息日が有って、準々決勝から決勝まで三日連続です。決勝戦に進む高校は7日間で6試合というハードなスケジュール。他競技でも同じようなものではないか、と言われそうですが、夏の屋外の炎天下で試合中は常に走っているので、体力消耗がすこぶる激しいのがサッカー。FIFAの規定では、原則として試合と試合の間隔は最低48時間空けなければいけないことになっているのですが、真夏の高校生の試合には適応されないみたいです。それでも高校生ですから、試合となれば全力を出し切る所存でしょうし、指導者たる監督も、この高校総体の結果如何で大学への推薦枠がかかっていると思えば、より高い成績を望みたくなるのは仕方ないことかもしれません。更にそれに加えて酷暑の大会なのですから、サポート体制も試合結果に影響することもあります。屋外競技なので、自前のテントを用意する必要がある場合もあるでしょうし、送風機(冷風機)を持ち込むチームもあります。会場に製氷機が用意されていたとしても、チーム数に対して不足しがちですから、自前で調達できる体制を用意すべきでしょうし、飲料に関しても同様。最近では、疲労回復のためのサプリメントの摂取は、半ば当たり前になってきていますし、それらサポート体制のことを考えれば、部員だけで何とかなる程度ではないです。今年のように沖縄での開催となれば、殆どのチームが飛行機での現地入りになるでしょうし、宿泊・食事の確保や会場への移動手段も含めて、その費用はかなりの額になることが容易に想像できます。高校総体でのサッカー競技は、全競技の中で一番人数が多く、故にお金も手間もかかる競技なのです。
ざ~っと解説してきましたが、これが高校総体(インターハイ)のサッカー競技なのです。実は昨年は我が県で男子サッカー競技が行われ、私もそれを撮り続けていたので、それらの事情(過酷さ)をつぶさに見て、感じました。昨年の大会では、準決勝の一試合(桐光学園高校vs昌平高校)が雷雨のために4時間半も中断され、試合終了が夕方になってしまい、しかも次の決勝戦が翌日午前11時開始、というハードさでした。優勝のかかった決勝戦ですから、残った力を振り絞って戦ったとは思いますが、その決勝戦も私は撮っていましたが、延長戦まで突入してしまい、体力的に桐光学園高校にはちょっと酷だったかもしれません。高校生チームだから表立ったクレームは無かったように聞いてますが、試合結果が金銭に直結するプロならば、きっと出てくるでしょう。
過酷な環境で、それまで培ってきた実力をぶつけ合い、競い合うことは、高校生の体力面と精神面、その両方の鍛錬になることでしょうし、それが高校総体の本来の目的だったはずです。しかし!です。私が高校生だった頃は最高気温が30度を超えたら「暑いな~」でしたが、今や体温を超える暑さの中でサッカーをやるのです。熱中症が危惧されて久しいですが、熱中症で命を落とす人が毎年いるのです。最高気温35度との気象庁の発表なら、晴れのサッカーグランド上では容易に40度を超えます(最高気温は日陰の気温です)。「体力と精神の鍛錬」と言っても、生命の危険と隣り合わせでは、大会開催の意義が霞むどころか、差し引きマイナスになってしまうような気がしてくるのですが、どうでしょう。それでも大会が行われる以上、選手は懸命のプレイを続けますし、監督・コーチはその意気に報いるように努力しますし、大会役員他の関係者は無事に大会進行できるよう尽力します。ただ、無事に終われば良い、とだけではもう無理な状態に来ているのではないか、とも思います。もう少し俯瞰した見方を高体連が持つべき時期に来ているのではないか、誰れかがその声を挙げねばならない時が来ているのではないか、と。
高校サッカーのもう一つの全国大会に「全国高校サッカー選手権」があります。これは年末から年始にかけて首都圏で行われます。この大会も、過密日程が問題視されていますが、少なくとも冬ですから、暑さの問題はありません。また首都圏開催ですから、宿泊施設の確保や食事の調達等も容易ですし、交通手段も手配しやすく、競技場の施設も設備が整っているものが多いです。試合時間は40分ハーフで準決勝からは45分ハーフになりますが、ベンチ入りできるのは20名になるし(交代は5人まで可)、その意味では、夏の高校総体サッカー競技に比べれば、より実力が発揮しやすいと思われます。
高校総体サッカー競技は、これまでもこれからも、高校サッカー部の全国大会であることに間違いないですが、「体育」としてではなく「スポーツ」として、現状を考慮した改革の必要性が迫ってきているように、私には思えるのですが。

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天皇杯 2019 [サッカーあれこれ]

サッカーの天皇杯について、昨年も書かせていただきました。そして今年も、一回戦が我が県で行われました。

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今年も3月から、この天皇杯に出場する県代表を決める試合が続いてまして、(毎年のことですが)1種(社会人・大学生)の試合をずっと撮っています。昨年は高校総体の全国大会が我が県で行われるとあって、日程的にバッティングしてしまったので、この天皇杯の一回戦は撮りに行けませんでした。今年は、5月とは思えないような暑さの中で、我が県代表と兵庫県代表が対戦しました。そして、延長戦までもつれ込んだ試合で、関西の大学の雄に辛勝を収めることができました。次の二回戦ではJ1のチームと対戦できます。その試合後の監督インタビューで、次のような言葉を聞きました。
「ウチの選手の殆どが昼間仕事をしてる社会人で、仕事で疲れた体を引きずって、僅かな時間の練習に精を出しています。大学生なら毎日たっぷり時間をかけて練習できるでしょう。今回そのような強豪チームと対戦するに当たって、『意地を見せろ!』と、試合前にも延長戦の前にも言いました」
それは、同好会のようなチームではなく、社会人となっても上を目指す選手の立場の難しさを言い表しているように私には聞こえました。

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我が県代表は、現在JFLを戦っているチームです。そして、県リーグ・東海リーグ・大学生チームを破って県代表の座をつかんだのでした。そんなチームの選手でも、サッカーだけに専念できる環境では無いのでしょう。それでも、サッカーが好きで、一つでも上のクラスに行きたくて、勝ちたくて、この天皇杯に挑んでいることに監督は「意地を見せろ」という端的な言葉で選手を鼓舞したのでしょう。そしてそれはたぶん、次に対戦するJクラブのプロ契約選手との対戦でも同じ言葉を選手に投げ掛けるのではないか、と思いました。
小学生・中学生・高校生・大学生、そんな学生サッカー選手には、養うべき家族もいないでしょうし、生活を維持するために働く必要もないでしょう。けれど、社会人となってサッカーを続けることは、極一部のプロ選手を除いては、多くの足枷があると思います。それでもピッチに立てば、全力で戦い、一つでも上を目指すします。それは、学生時代にサッカーに没頭した時の純粋な気持ちを持ち続けているからできること、とは言えないでしょうか。

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日本代表の試合がまもなく有ります。Jリーグの試合が毎週行われています。そして、この第99回を迎える歴史ある天皇杯もまた、平行して行われています。いろんな立場の選手が一つの頂点を目指して戦えるのは、サッカーではこの天皇杯しかありません。ぜひお近くで試合が行われるようなら、観戦していただきたいなあ~、と思った次第です。

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(今回は、1DX+EF400mm F2.8 L IS Ⅲ+1.4xで撮りました)

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最後の重み [サッカーあれこれ]

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以前、「最後の試合」というテーマで書かせていただいたことがあります。この「最後」とは、「このチームで最後」という意味と、「現役選手として最後」という意味が有ります。そこで、JFA(日本サッカー協会)が公表している、年代別選手登録者数のデータを以下に引用させていただきました。
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まず最も多い第4種とは、12歳未満の小学生選手で(12歳でも小学生なら含まれる)、未就学児も含まれます。年齢の幅が広く、子供にスポーツをやらせる親御さんが増えている現状を踏まえれば、この第4種に属する選手が一番多いのは理解できると思います(少子化の影響で絶対数は減少傾向ですが)。次の第3種とは中学生選手で、僅か3年間しか第3種選手として登録できないにもかかわらず、第4種の9割近い選手登録数が記録されています。小学生でサッカーをやっていたのに中学生になって辞めたり、他競技に映ったりした子もいるでしょうし、中学生からサッカーをやり始めた子もいるでしょう。それらを含めても、サッカーというスポーツを中学生まで続ける子達の多さが窺い知れます。その要因として、中学校の部活動があると思います。全国的に多くの中学校にサッカー部が有り、教育の一部として部活動を奨励し、しかも義務教育期間中であることが、この登録者数の要因だと思います。その根拠の一つが、第2種の登録者数です。第3種から3割近くの減です。第2種に登録できるのも、高校年代の3年間に限られますが、高校は義務教育ではなく、よって部活動を強制しない校が少なからず存在する事、大学受験の為に早々に部活動から退く選手もいる事、などが遠因と考えられます。では、第2種から第1種へ移る際はどうでしょう。登録選手数としては約15%減です。減少数が意外に少なく思えるかもしれませんが、第1種は19歳から39歳ですから、20年という非常に大きな年齢幅があります。3年間と20年間ではかなり違いますから、高校卒業後に大学生・専門学校生・社会人になってもサッカーを続ける子が85%近く居る、とは単純に考えない方が良いと思います。

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「最後の試合」というのはどういった場合でも、特別な想いが付加されることは間違いないと思います。それは選手自身にも、支えてきた保護者にも、です。その「最後の試合」の重みを敢えて考える際、上記のことを加味すれば、やはり小学生最終学年の最後の試合・大会よりも、中学生・高校生最終学年の最後の試合・大会の方が、私は「より重い」気がしているのですが、さてどうでしょう。

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