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「Maybe Tomorrow」 [本・映画・アニメ・詩歌]

令和の時代になって三年目、2021年が間も無く終わろうとしています。昨年に引き続き、今年も新型コロナウィルスに振り回された年だったと思います。辛い思いをされた方、きっといらっしゃるでしょう。年が変わったとて何も変わらない、そう思われている方も、きっといらっしゃるでしょう。それでも時の流れは止まらず、新年は確実に、誰にでもやって来ます。どうか来る年をうつむかず、まっすぐ前を向いて迎えていただきたいと思います。

Maybe-Tomorrow.jpg

今年最後にご紹介する詩は、1980年代の短い時期に活躍したロックバンド「レベッカ」が1985年に発表した、「Maybe Tomorrow」(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)です。

疲れ果てた体横たえ
目を閉じて今日を思い返す
汗にまみれて ただがむしゃらで
夢はまた遠い一日だった

だけど明日は きっといいこと
あると信じてたいの
Maybe Tomorrow


明日になればきっといいことがある、そんな「棚から牡丹餅(たなからぼたもち)」的な幸運を期待しているのではありません。汗を飛ばし、がむしゃらに頑張っているのです。それでも自らの望む夢には届かない。届かない、けれどそれは、「まだ」なのだと信じたい。途中でくじけそうになる心を「明日はきっと」と思うことで、顔を上げてまた頑張る、そんな姿が浮かびます。

夜に吸い込まれ 心が寒くなる
子供の頃を思い出すよ
ひとりぼっちで歩きはじめたから
もう振り返ることはできないね

灰色の日に 行き詰まっても
あきらめはできないの
Maybe Tomorrow

だけど明日は きっといいこと
あると信じてたいの
Maybe Tomorrow


「ひとりぼっちで歩きはじめたから 振り返ることはできない」とは、自分自身が決めて進んだ道だから諦めてやめることができない、ということでしょう。一人の人間はそんなに強くはない。この世の中は何もかも上手くいく甘い世界ではない。それでも、がむしゃらに頑張って、たとえ行き詰まっても、この先には「きっといいこと」がやってくると信じたい。その心が明日からの糧となる、と信じているから。私にはそう聞こえました。
話題曲やヒット曲には疎い私ですが、最近の曲はどうも長くて、歌詞の文字数が多いような気がします。小説ではなく詩なのだから、その歌詞は思いがギューッと詰まったものであってほしい、それでこそ行間の意を読み取れますし、乗せられるメロディとの相乗効果も期待できると思うのです。この詩も今の基準で言えば、随分と文字数の少ない詩です。それでも聞く者に、NOKKOの歌声と共にグッと入り込む名曲なのではないか、と思い、この場で紹介させていただきました。

人の力には限りがあります。夢や希望が必ずかなう訳ではないことを私達は知っています。けれど、「明けない夜は無い」と言います。たとえ今日がダメでも、誰にでも明日はやって来ます。その明日が闇であったとしても、いつか必ず光射す時が来ます。そう信じて、明日を、新年を迎えたいと思います。
今年一年、お世話になりました。皆様方の新年が、幸せに満ちた一年になることをお祈りして、今年の締めとさせていただきます。ありがとうございました。



REBECCA「Maybe Tomorrow」


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「空母いぶき」 [本・映画・アニメ・詩歌]

以前に、かわぐちかいじ氏の「沈黙の艦隊」という漫画をご紹介しましたが、今回は同氏の「空母いぶき」です。ビッグコミック誌にて2014年24号から2019年24号まで連載されて完結し、現在はその続編として新シリーズ「空母いぶき GREAT GAME」が、同誌にて2020年1号から連載中です。

空母いぶき.jpg

海洋進出著しい中国(ここではハッキリと相手国は中国と記されています)に危機感をおぼえた日本政府が、新型護衛艦の就役と、その艦船を旗艦にした新護衛隊群の創設を決定します。その新型護衛艦が、日本初のスキージャンプ式飛行甲板を採用した空母「いぶき」。その矢先、中国軍が尖閣諸島・先島諸島を武力制圧する事件が勃発します。島民を人質に取られ、自衛隊員に戦死者を出したことに加え、外交努力だけでは奪還できないと判断した日本政府は、海上警備行動に続き史上初の自衛隊への「防衛出動」を発動。空母「いぶき」を中心とした護衛艦隊群が、中国人民解放軍北海艦隊の新型空母「広東」らと対峙することになり、日本領土奪還作戦が開始される。
まあ、あらすじとしてはこんな感じですが、「沈黙の艦隊」より政治家物語の部分が少なく、より現実的かつ具体性に富んだものとなっていますね。どちらかと言えば好戦的な艦長と慎重派の副長を対比させながら、あくまで現行法の下、専守防衛と人命第一(中国軍兵士にも)を掲げた自衛隊員達の奮闘物語、といった感じでしょうか。かわぐちかいじ氏の詳細な軍事兵器描写も、この物語では「現実」を感じさせ、近未来のフィクションとなってますが、今まさに「今日起こってもおかしくない物語」となっています。単行本は全13巻発売済。私は全て初版本を買う程に気に入りました。一年に三巻ぐらいしか発行されなかったので、一巻一巻をじっくり何度も読ませていただきましたが、「沈黙の艦隊」ほど長くはないので、今なら全13巻を一気に読めると思います。ミリタリーマニアの方以外にも、今を生きる日本人として、お勧めします。



空母いぶき 戦闘シーン


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「白昼の死角」 [本・映画・アニメ・詩歌]

正直に自白しますが、私は音楽的センスというのが欠落している人です(キッパリ)。もちろん、カラオケなど行ったことが有りません(キッパリ)。
小学生の時にはそんな事に考えも及ばなかったのですが、中学生になって音楽の時間になると急にトーンダウンしてしまう人でした。合唱なんかトンチンカンな音程の声を出すのでクラスメートから遠ざけられ、楽器演奏などもどれだけ練習してもダメで、「あれは魔術に違いない」と諦めてました。どんな楽器でも、それを扱える人は「天才に違いない」と今でも思っています(キッパリ)。そんな私ですから、中学生の時には5段階評価で常に2でした。高校受験の時に進路指導の先生から、「Y高校を受けるのに、2が有ったんではなあ」と言われてしまい、音楽担当の先生に掛け合ってくれて、私一人のために追試をしてくれました。筆記試験です。音楽担当の先生は、「これで100点近く取ったら、3にしてあげる」との約束を取り付け、筆記試験なら、と猛烈に頑張って(当時)、何とか「3」を獲得したのでした。
まあ、そんな話はこのともかく、音楽的センスは無くても、一時期オーディオにハマっていたことも有って、音楽は聴きます(今は主に車内ですけど)。好きなジャンルは?、とか、好きなアーチストは?、という質問には省略します。そんな私ですが、先日フッとある曲(の歌詞の一部)を不意に思い出してしまいました。

愛しい人よ もう一度振り向き
もう一度この胸で泣きなよ
せめて夜が来る前は
お前の涙を信じよう
都会は明日が見えない
ああ ああ 欲望の街


どうしてこの曲が急に脳裏に蘇ったのかは分かりません。でも皆さんも、そんな経験ありませんか? ずいぶん昔に聞いた曲が急に蘇る、ということ(加齢のせいだ、と言わないで下さい)。で、確か映画の主題歌だったような気が。こうなると、どうしても確かな回答が欲しくなるのは人のサガというやつでしょう。ずっと考えていましたが、現代ではインターネットという何でも調べられるものが有るではありませんか。歌詞の一部でも入力すれば、直ぐに回答が出てくる便利な時代になったものです。そしてこの曲が、1979年のダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「欲望の街」であること、角川映画の「白昼の死角」の主題歌であることが分かりました(ずいぶん長い前振りでスミマセン)。
こうなると、当時映画館で見たはずの「白昼の死角」をどうしても再度見たい! 1979年の映画ですから40年以上前です。DVD化されているのか?レンタルDVD店に有るのか?が気になります。案の定、近所のレンタル店に行っても在庫無し。他店を廻っても、見つけることができません。こうなると、見たい・聞きたい意欲が膨れるばかり。隣町のレンタル店に在庫があるとの情報を得て、行ってきましたよ、たった一枚(110円)のために。で、見終えてどうだったかと言えば、ああスッキリ!という爽快感がまず第一。せっかく7泊8日で借りたので、その後もじっくり何度も見てしまいました。

白昼の死角.jpg

さて、以下は私的レビューです(やっと本題)。「白昼の死角」は、高木彬光氏の1960年の小説で、1979年に映画化。実在の事件である「光クラブ事件」がベースらしいですが、戦後間もない日本が経済的に未熟なのを見切って、主人公の鶴岡七郎が次々と繰り出す、法の狭間を狙った詐欺事件の数々を描いています。その主人公を演じるのが(今は亡き)夏木勲(夏八木勲)さんで、角川映画によく出ている俳優さんですね。でもここではバリバリの主演で、真の悪役を見事に演じています。そしてこの映画の秀逸な点は、だいたい悪役というのは最後に捕まるか死ぬかのどちらかで終わるのですが、この映画では最後まで悪のままで終わった、という点でしょう。(今は亡き)天地茂さん演じる検事もカッコイイですが、諭されて改心したように見えて、実は最後まで悪の信念を曲げない。そのある意味での潔い後姿に、宇崎竜童さんの渋い歌声が重なれば、学生だった当時の私には何ともカッコ良く見えた映画でした。勧善懲悪の物語も好きですが、悪と知りつつ悪を貫く、というテーマは新鮮に思えました。「狼は生きろ、豚は死ね」というキャッチコピーも刺激的でしたね。
もちろん40年以上も前の映画です。現代では使われない(使えない)言葉が出てきたり、幼稚で不可思議な表現・場面等も有ります。それに登場人物の多くがタバコを吸うシーンの多いこと(男がタバコを吸うのがカッコイイ時代でしたね)。けれど、この俳優さん達を使って撮り直すことなど二度とできないであろう、と思えるほど、後の大俳優さんが脇役として多数登場しています。今となっては完成度の高い映画作品、という訳にはいかず、もちろん文芸大作や派手な戦闘シーンの活劇ではないので、依って名作とは呼べないかもしれません。万人にお勧めできる訳ではありませんが、私の脳裏にフッと再来したのですから、若かりし頃に強く印象付けるだけのインパクトが有ったのでしょうネ。今回は、懐かしい映画を見た、ということでお許しを。でも、主題歌は今聞いてもイイと思いましたけど(当時の角川映画には主題歌がイイものが多かったですネ)。



「欲望の街」


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