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「GANTZ」 [本・映画・アニメ・詩歌]

前回、私のコミック用の書棚を新調したことと、その整理中に透明ブックカバーを付けたことをご報告しました。その際に大量に出てきたコミック本が「GANTZ」です。「GANTZ」 全37巻と「GANTZ :G」全3巻、そして「GANTZ MANUAL」です。

GANTZ01.jpg

「GANTZ」(ガンツ)は、2000年7月から2013年6月まで連載された奥浩哉氏の作品で、アニメ化(フルDCG作品も含む)も実写映画化もされ、2021年4月時点でシリーズ累計発行部数は2400万部を突破している、らしいですから、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。グラフィックソフトを駆使して描かれた画は緻密で、他のマンガとはその点で一線を画します。特にグロテスクな描写や残忍な画もありますが、緻密であるが故に読者に与えるインパクトが強烈に感じることもあります。
この物語の概要は(以下ネタバレを含みます)、現実世界で死亡した人間を集めて、再生し、武器を与え、地球上に秘かに潜む宇宙人を駆逐していく、というSFフィクションなのですが、その宇宙人との戦いで敗死すると死亡確定。でもその宇宙人との戦いに勝てば、ガンツ(黒い球)によって採点されて、累計獲得点数が100点になれば、死んだ人間を再生できたり、記憶を消されて日常生活に戻れたり、等のルールがあります。このようなルールがあるのは同じくSFフィクションコミックの「デスノート」みたいですが、まずこのルールというかシチュエーションを理解することが、このアニメを楽しむ必須となっています(その為にMANUAL本が存在します)。なので物語の序盤は、登場人物同様にルールの存在に右往左往させられ、ミッションをこなすうちに理解していく、という過程が必要で、それがこの作品を好むか否かの分岐点かもしれません。
人間の命や肉体を、そう簡単に再生できるのか、という点がSFチックな点ですが、現在でも私達はデジタルデータを扱い保存したり、コピペ(copy and paste)を利用するのは日常的ですし、3Dプリンターで3次元データを元に立体造形することができる機器が存在しますから、架空の物語といっても現在の延長線上の未来として理解できる点はありますし、テーマの着目点として興味深い。ただ、人間をデータ化する、データとして扱うには(登場人物も読者も)葛藤や違和感があるでしょうから、その点もこの作品の評価を分けるポイントかもしれません。
物語終盤の「カタストロフィ編」では、映画「インディペンデンス」のような宇宙人による大量虐殺とそれと戦うガンツチームの話になるのですが、ガンツと呼ばれる黒い球がなぜ出現したのか、それらの技術が地球外生命体からもたらされたものであることが明かされますが、この辺りになると当初の登場人物の、ガンツに人の命を左右させられる不合理や矛盾、葛藤、それによる悲喜なども吹っ飛ばされて、人類存亡の危機になっていく様は、ちょっと物語が大きくなり過ぎた感が有ります。従って、アニメ化や実写映画化は、この長い作品の前半部分を描いていることは正解だと思います。ちなみに、この本編終了後には「GANTZ:O」や「GANTZ:G」「GANTZ:E」などのスピンオフ作品も登場していますが、それらもガンツルールに強制的に準じさせられた人物の葛藤と活躍の話となっています。
とまあ、賛否両論ある作品なのですが、37巻にも及ぶ作品ですので、読者数も魅力もそれなりに高い作品には違いないと思います。先にも書いたように、画の緻密な描写力は魅力の一つですが、会話や説明書きが少なく、比較的早く読み進めることができます。子供向け作品ではありませんから万人に勧めるには気が引けますが、まあ私の書棚に鎮座して、それなりの存在感のある作品ですから、ご紹介させていただきました。



実写映画版「GANTZ」


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「Maybe Tomorrow」 [本・映画・アニメ・詩歌]

令和の時代になって三年目、2021年が間も無く終わろうとしています。昨年に引き続き、今年も新型コロナウィルスに振り回された年だったと思います。辛い思いをされた方、きっといらっしゃるでしょう。年が変わったとて何も変わらない、そう思われている方も、きっといらっしゃるでしょう。それでも時の流れは止まらず、新年は確実に、誰にでもやって来ます。どうか来る年をうつむかず、まっすぐ前を向いて迎えていただきたいと思います。

Maybe-Tomorrow.jpg

今年最後にご紹介する詩は、1980年代の短い時期に活躍したロックバンド「レベッカ」が1985年に発表した、「Maybe Tomorrow」(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)です。

疲れ果てた体横たえ
目を閉じて今日を思い返す
汗にまみれて ただがむしゃらで
夢はまた遠い一日だった

だけど明日は きっといいこと
あると信じてたいの
Maybe Tomorrow


明日になればきっといいことがある、そんな「棚から牡丹餅(たなからぼたもち)」的な幸運を期待しているのではありません。汗を飛ばし、がむしゃらに頑張っているのです。それでも自らの望む夢には届かない。届かない、けれどそれは、「まだ」なのだと信じたい。途中でくじけそうになる心を「明日はきっと」と思うことで、顔を上げてまた頑張る、そんな姿が浮かびます。

夜に吸い込まれ 心が寒くなる
子供の頃を思い出すよ
ひとりぼっちで歩きはじめたから
もう振り返ることはできないね

灰色の日に 行き詰まっても
あきらめはできないの
Maybe Tomorrow

だけど明日は きっといいこと
あると信じてたいの
Maybe Tomorrow


「ひとりぼっちで歩きはじめたから 振り返ることはできない」とは、自分自身が決めて進んだ道だから諦めてやめることができない、ということでしょう。一人の人間はそんなに強くはない。この世の中は何もかも上手くいく甘い世界ではない。それでも、がむしゃらに頑張って、たとえ行き詰まっても、この先には「きっといいこと」がやってくると信じたい。その心が明日からの糧となる、と信じているから。私にはそう聞こえました。
話題曲やヒット曲には疎い私ですが、最近の曲はどうも長くて、歌詞の文字数が多いような気がします。小説ではなく詩なのだから、その歌詞は思いがギューッと詰まったものであってほしい、それでこそ行間の意を読み取れますし、乗せられるメロディとの相乗効果も期待できると思うのです。この詩も今の基準で言えば、随分と文字数の少ない詩です。それでも聞く者に、NOKKOの歌声と共にグッと入り込む名曲なのではないか、と思い、この場で紹介させていただきました。

人の力には限りがあります。夢や希望が必ずかなう訳ではないことを私達は知っています。けれど、「明けない夜は無い」と言います。たとえ今日がダメでも、誰にでも明日はやって来ます。その明日が闇であったとしても、いつか必ず光射す時が来ます。そう信じて、明日を、新年を迎えたいと思います。
今年一年、お世話になりました。皆様方の新年が、幸せに満ちた一年になることをお祈りして、今年の締めとさせていただきます。ありがとうございました。



REBECCA「Maybe Tomorrow」


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「空母いぶき」 [本・映画・アニメ・詩歌]

以前に、かわぐちかいじ氏の「沈黙の艦隊」という漫画をご紹介しましたが、今回は同氏の「空母いぶき」です。ビッグコミック誌にて2014年24号から2019年24号まで連載されて完結し、現在はその続編として新シリーズ「空母いぶき GREAT GAME」が、同誌にて2020年1号から連載中です。

空母いぶき.jpg

海洋進出著しい中国(ここではハッキリと相手国は中国と記されています)に危機感をおぼえた日本政府が、新型護衛艦の就役と、その艦船を旗艦にした新護衛隊群の創設を決定します。その新型護衛艦が、日本初のスキージャンプ式飛行甲板を採用した空母「いぶき」。その矢先、中国軍が尖閣諸島・先島諸島を武力制圧する事件が勃発します。島民を人質に取られ、自衛隊員に戦死者を出したことに加え、外交努力だけでは奪還できないと判断した日本政府は、海上警備行動に続き史上初の自衛隊への「防衛出動」を発動。空母「いぶき」を中心とした護衛艦隊群が、中国人民解放軍北海艦隊の新型空母「広東」らと対峙することになり、日本領土奪還作戦が開始される。
まあ、あらすじとしてはこんな感じですが、「沈黙の艦隊」より政治家物語の部分が少なく、より現実的かつ具体性に富んだものとなっていますね。どちらかと言えば好戦的な艦長と慎重派の副長を対比させながら、あくまで現行法の下、専守防衛と人命第一(中国軍兵士にも)を掲げた自衛隊員達の奮闘物語、といった感じでしょうか。かわぐちかいじ氏の詳細な軍事兵器描写も、この物語では「現実」を感じさせ、近未来のフィクションとなってますが、今まさに「今日起こってもおかしくない物語」となっています。単行本は全13巻発売済。私は全て初版本を買う程に気に入りました。一年に三巻ぐらいしか発行されなかったので、一巻一巻をじっくり何度も読ませていただきましたが、「沈黙の艦隊」ほど長くはないので、今なら全13巻を一気に読めると思います。ミリタリーマニアの方以外にも、今を生きる日本人として、お勧めします。



空母いぶき 戦闘シーン


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