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すそ野にて 11(チームスポーツと個人競技) [サッカーあれこれ]

サッカーを撮り始めて丸20年が経ちました。そして、我が県のサッカー協会カメラマンとなって丸14年が過ぎました。サッカーに関わるものとして、今回のワールドカップを見て、地方在住の立場から私見を書かせていただきます。

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サッカーワールドカップは世界規模のビックイベントであると同時に、国と国がその誇りをかけて争い、頂点を決める4年に一度の大会です。そのサッカー界最大の大会が今年、中東のカタールで行われていることはご存知のことと思います。そして、そこでのサッカー日本代表が成し遂げたこの成果を、一体どのくらいの方が予想しえたでしょうか。ジャイアントキリングが起こりやすいと言われるロースコアーゲームのサッカーでも、特大のスリリングでインパクトのある結果を残した日本代表。その選手たち、監督・コーチ、そして支えるサポートスタッフたちの努力の結実だと思うと同時に、最大限の拍手を送りたいです。この日本代表は、年齢性別問わず日本中のサッカー選手達の頂点であると同時に、憧れの対象でも目標でもあります。それがサッカー先進国として日本よりもっと長い歴史を持つ国々に、最高峰の大会で残したこの結果には、感謝と拍手を惜しむことなどできません。
では、これを機に、日本はサッカー先進国の仲間入りだ、日本サッカーの前途は明るいゾ、と喜んでばかりいられるでしょうか。先月末に、我が県内の小学生年代の大会を撮りに行ったことは、このブログで書きました。その際、指導者の方々と雑談したのですが、皆さんが「日本代表が活躍してくれて、メディアが大きく取り上げてくれて、これで子供たちの眼がサッカーに向いてくれれば嬉しい」との言葉が出ていましたし、私もそう思いました。しかしそれは、小学生年代の子供達の眼が少なからずサッカーから離れつつある、という現実を意味しているのではないか、とも思ってしまいました。その点を聞き回ってみるとやはり、各チームとも選手集めに苦労している、との話が出ていました。確かに少子化の影響はこんな地方でも感じられますが、どうもそれだけではないようです。小学生の子達がどの方向へ眼を向けつつあるのか、と聞いたところ、「個人スポーツ」との返答を得ました。
サッカーはチームスポーツです。11人(小学生では8人)で一つのチームとなり試合を戦います。先月行われた高校選手権県大会で、100人近い部員を抱える高校でも、試合に出れるのは11人、交代選手を入れても12~15名です。残りの部員たちの多くはベンチにも入れず、応援席から見守り、拍手を送る(声を出しての応援がまだ禁止されているので)しかないのです。それに比べ個人スポーツは、県の頂点に立つ選手もいれば、力量が足りずに一回戦や予選で敗退してしまう選手もいます。それはチームスポーツと同じです。ただし、どんなに力量が無くても、弱くても、試合には、大会予選には出れます。そうでない種目もあるかもしれませんが、(チームスポーツに比べれば)多くの場合そうです。とりわけ、小学生年代では。
一例を挙げます。私の知人で小学生の子供の親がいます。育ち盛りの小学生年代に、先々の体の鍛錬の為に何かスポーツをやらせたいと思っていました。そして、選んだのが水泳でした。スイミングスクールへの送り迎えを親がやらなければならないのは、他のスポーツと変わりません。そして競技会という大会が年に何度か行われ、全ての種目でなくても、自分の得意な泳法の種目にエントリー出来ます。良い成績を出せば、更に上の大会に出ることもできますし、力及ばず予選一回目で敗退することもあります。それでも自分のそれまでに培った力を試合(大会)で試せるチャンスが与えられるのです。一生懸命練習したけど試合(大会)で試せない、ということは、基本的には無いのです(望めば出ないこともできますが)。
小学生年代では、親の送迎やサポートが必要な場合が多いと書きました。それは個人競技であろうと団体競技であろうと同じです。ただチームスポーツの場合は子供たち同様に、どうしてもチームメイトの親同士のコミュニケーションが必要になる場合が多いです。そのチームの選手として試合や大会に出て勝利を目指すには、チームスポーツではチームとしての団結力や役割分担等が必要であるのと同じく、それをサポートする親達にも(多少の相違はあるにせよ)それが必要になることが多いです(特に小学生年代では)。それに対して抵抗感が有る親御さん達が一定数存在するのは理解していただけるでしょうか(その事の是非に関しては別として)。その点については、個人競技の場合は薄い。いや、薄くても問題ない場合が多い。それらを見越して、自分の子供にスポーツをやらせるに当り、個人競技を選ぶ親の存在が多くなりつつある、と、かの場での指導者の口々から出るのを聞きました。
人は一人では生きられない。社会という大海に出れば、多くの様々な人達との中で、関わりながら、協調しながら、支え合いながら、人生を歩んでいかねばならない。そう主張する方もいるでしょう。しかし一方で、自らの人生を切り開くのは自らの力なのだ、多種多様な人の中で、誰のサポートも無くとも自らの道を切り開く力を磨くことが大事、と説く方もいるでしょう。今の私には、そのどちらも否定することができません。いやきっと、どちらも真実なのでしょう。
サッカー以外の他のスポーツについて詳細な知識や経験等を持っていない私が、他の個人競技に関しての記述は差し控えます。ただ、日本のサッカーファミリーの頂点に位置する日本代表チームは、このワールドカップで素晴らしい結果を残してくれた、日本の子供達に見せてくれた、と思います。私は以前、頂を高くするにはすそ野を広げることが肝要、と書きました。今回、日本のサッカーピラミッドの頂点が輝きました。その今こそ、その頂点を盤石にする為のすそ野を広げるチャンスなのではないか、と地方のすそ野から見上げて思うに至った次第です。

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