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速報性 [写真・撮影]

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今年もまた、この時期がやって来ました、全国高校サッカー選手権。先週末は我が県の代表校が決定する決勝戦を撮りに行ってきました。この大会は注目度が高いですね。毎年いろんなアマチュアの大会を撮っていますが、観客数では一番です。もちろん、某サッカー雑誌のカメラマン兼務です。

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実はその決勝戦の二日前に編集部から申し出がありました。それは、「毎回ウェブサイトでその日の速報をしているが、ハーフタイムに、どちらが勝ってもいいように1枚か2枚、両チームの絡み写真を送って欲しい」というものでした。もう何年もこの社から依頼を受けていますが、このような申し出は初めてです。現在は試合終了後に、即座に結果が全国に発信されます。ネット環境やスマートフォンの普及を考えれば、それを期待している方々、いや当然と思われている方々が多く存在することでしょう。文字だけの記事よりも、写真添付の方がより効果的なのは分かりますし、実際そうして写真添付で結果が流れています。情報の速さは日増しにアップしていますし、それに対応していかないと情報主の存在自体が危うくなることも理解できます。ただ私としては、今回の申し出はお断りしました。
その理由の第一は、会場のネット環境にあります。都会のスタジアムや最新の競技場には、報道用の部屋が用意され、無線LANが常設されていると聞きます。残念なことですが、我が県はその点で大きく遅れていて、そのような環境が整備されていません。第二に、RAW100%で撮っている私としては、撮った画を選別し、JPEGに現像して送る、という手間がかかります。その為にはパソコンが必須なのですが、その用途に適した機材を持っていません。第三に、私は県サッカー協会のカメラマンです。その為、どちらかのチームだけを撮ればよい、という立場にありません。決勝戦を戦う両チームがどちらも我が県のチームである以上、両方のチームを、両チームの出場選手を、できる限りまんべん無く撮る責務があります。必然的に撮影枚数は多くなりますから、そこから選ぶ作業には、どうしても時間がかかります。第四に、両チームを撮ろうとすると、撮影場所も工夫しなければなりません。ハーフタイムは10分程です。その撮影場所から控室まで、歩いても3~4分はかかります。その短い時間に、撮った写真を見て、選んで、送る、という作業をするには、時間があまりに無さ過ぎます。送る以上は責任がありますから、いい加減な写真は送れません。最後に、試合終了後すぐに始まる表彰式も撮らなければなりませんから、試合が終わったとて、自分の作業に移れる時間的余裕は有りません。
以上の理由で今回の編集部からの申し出はお断りした次第ですが、実際にその社のサイトを見れば、写真付きで結果が流れていますから、きっとハーフタイムや試合終了後即時に送っているプロカメラマンの方がいらっしゃることと思います。報道関係のプロカメラマンなら、日常茶飯事の当たり前の作業なのかもしれません。勿論、1000枚撮ろうが2000枚撮ろうが、編集部へ翌日発送が以前からの約束ですから、私にもそれくらいの時間が有れば対応可能です。けれどそれ以上を求められると、力不足を感じた次第です。

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一口にプロカメラマンといっても、その目的や要求される作業内容等によって様々だと思います。私自身がその範疇に入るかどうかはさて置いて、速報性を求められることは苦手です。私のスタイルは、一瞬一瞬のプレイをしっかり撮って、プレイ以外の記録すべき写真も撮って、それらの撮った写真を一枚一枚丹念に見て、要望される写真を選んで、納品の為に仕上げる、というものです。その為、どうしても手間と時間がかかります。サッカーを撮り始めて丸17年、県サッカー協会のカメラマンになって丸11年、撮り続けて確立した自分なりのスタイルは、実は今の時代にはマッチしていないのかもしれませんが、変えたくはありません。意地になっている訳ではありませんが、私の現在の立場や求められているもの、期待されているものを考えると、行き着いたのがこのやり方なのです。
写真を撮ることを生業としている方々がいらっしゃるでしょう。たぶん其々が其々のスタイルをお持ちで、でもクライアントの要求に弾力的に対応していらっしゃると思います。そういった方々から見れば、「甘い」と言われてしまうかもしれませんが、私に速報性を求められても、現在のところは難しいのが実情です。やはり、真のプロには成れないかな~

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