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軽自動車専用 [巷の雑感・時の想い]

東京など大都会の都心部にお住まいの方はそうではないかもしれませんが、地方在住者にとって自家用車は必須アイテムと言ってよいと思います。通勤・通学・日常の買い物など、車で行くの方が遥かに便利なところが多いからです。そこで昨今のショッピングセンターやホームセンターなど比較的広い駐車場を備えた施設で、下の画のような軽自動車専用と書かれたパーキングスペースを見かけること、ありませんか?

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この軽自動車専用ですが、駐車場の全てのパーキングスペースがそうなっている訳ではなく、多くが一般車用で、ごく一部が軽自動車専用になっていると思います。そしてこの「軽専用」には軽自動車しか駐車することができません(一般用より狭いので)。一方、その他多くの「一般車用」は普通自動車しか駐車できない訳ではなく、軽自動車も駐車できます。こうなると、軽自動車であろうと普通自動車であろうと、来店したら停めやすい所から埋まっていき、「軽専用」はなかなか埋まらない。「一般車用」が満車になってから、軽自動車で来店した方が停めるのが「軽専用」という状態なのにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。もちろん全てのケースがそうではないでしょう。店舗入り口付近の使いやすい所に「軽専用」が設定してあれば、軽自動車で来店した方は積極的にそこを使うでしょう。ただそういった好まれる場所が「軽専用」になっているのは、私はあまり見たことがありません。店舗側としては、最も好まれる駐車スペースは、普通自動車でも軽自動車でも、どちらでも駐車できる「一般車用」にしたいところでしょうから。
これは私の推論ですが、店舗側が必要十分とする駐車スペースを「一般車用」で用意できるのであれば、それがベスト。しかし往々にしてそこまで多く用意できないので、「軽専用」を設定することで駐車台数の確保をしている、または、駐車場の用地に無駄なスペースを作らないように、または下の画のように消火設備などのために一般車用スペースが確保できないために、「軽専用」を設定する、という実は消極的な意図での採用ではないか、と思うのですが、どうでしょう。

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今や国内新車販売台数の4割近くを占める軽自動車。先にも書いたように、地方在住者にとってマストアイテムと言って良い自動車ですから、(富裕層でなくても)一家で複数台所有している方は珍しくありません。そうなれば、1台は近距離用で安価な軽自動車を選ぶ、というのは決して悪い選択ではないと思います。実際、我が家がそうです。長距離や多人数で出かける時はハリアーを使いますが、日常の買い物などには軽自動車のキャンバスを使っていて、実際の年間走行距離は同じくらいなのです。この軽自動車は日本専用車ですが、現在の軽自動車は昔と違って随分と進化してて(安全装備も充実していて)、1~2名乗車でのシティコミューターとしては最適、と言ってよい出来栄えになっています。ちょっとググってみると、日本の道路の84.7%は道幅平均が3.9mの狭い市町村道で、軽自動車の車幅1480mmといった点が、対向車とのすれ違いや駐車時の容易さに繋がり、その経済性と共に軽自動車を選ぶメリットになっている、とか。
では、新車販売比率の約4割が軽自動車ならば、スーパーマーケットやショッピングセンター、ホームセンターなどの車での来客が多い店舗の駐車場、そして体育館やスタジアムなどの公共施設の駐車場は、その4割を「軽専用」にするべきでしょうか。もしそうなったら、私は不評になると思います。私が実際に軽自動車を使っていてメリットと感じたのは、経済性の面も有りますが、乗員にあまり狭さを感じさせないでボディが小さいこと、だと思っています。それは、狭路での通行性の良さや小回りできること、車の四隅が把握しやすいことに加えて、駐車スペースへの停めやすさが挙げられます。多くの日本人は(海外と違って)バック駐車を選びます。その際、停めるべきスペースに対し小さい自動車であるほど、駐車は容易です。私でもそう思えるのですから、私より高齢者の方や不慣れな女性の方にとっては、これは大きなメリットだと思います。
そして更に、駐車した際の隣の車との間隔の広さ、というメリットも享受できます。特に思うのは、隣に駐車している車との間隔が狭いと、ドアを開けた時にそのドアが隣車のサイドボディにぶつかったり(逆に隣車のドアが自分の車にぶつかったり)といった可能性がかなり少なくなります。多少の車の傷なんて気にしない、という大陸的おおらかな心の持ち主なら、これはメリットではないのかもしれませんが、多くの几帳面できれい好きな日本人にとって、駐車した際の隣車との距離は、駐車のし易さと共に、傷をつける(傷つけられる)心配をかなり左右します。またショッピングカートに買い物荷物を積んで車に戻ってきたときに、バックドアや後部トランクに荷物を入れるのであれば良いのですが、乗車ドアから入れようとすると、隣車と自車との間にショッピングカートを入れたい。その時にカートを通すに十分な間隔が有れば、明らかに楽です(スライドドアだと更に楽)。
ただしその恩恵を受けるには、狭い「軽専用」ではなく「一般車用」に駐車することが前提となります。逆に「軽専用」に停めてしまうと、上記のメリットを放棄することになります。経済的で比較的安価である軽自動車(それほど安価とは言い切れない車も有りますが)を選ぶユーザーにとって、小ささのメリットが得られない「軽専用」駐車スペースが増えることは、あまり喜ばれないでしょう。「一般車用」が埋まった場合の臨時策として停めるだけならば、駐車場の1割程度で十分なのではないか、と思われます。これが私の「軽専用」駐車スペースが増えないであろう理由です。

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日本の平均給与は(政府が何と言おうが)2000年以前の頃に戻っていません。そして特に地方では、公共交通機関が現状より発達する見込みの無い以上、生活の足としての自家用車は必須のままでしょう。技術の進歩により、また環境対策や安全装備の義務化により、軽自動車を含む全ての自動車の安全性は今後も高くなっていくことでしょう。そして少子高齢化により、運転者の平均年齢も高くなることが見込まれます。そんな状況下では、現在の軽自動車が激減するとは考えられません。軽自動車の比率が上がっているのに、「軽専用」駐車スペースが増えないのは、一見すると不合理のようにも思えますが、合理性を求めて軽自動車に乗っている人達が、そのメリットを最大限に享受するためには、実は当然なのかもしれません。

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