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サッカー撮影124(縦か横か その8) [サッカー撮影]

縦写真・縦撮影・横写真・横写真それぞれで、メリット・デメリット・撮り易さ・難しさが有ることは、これまで書いてきたとおり。では、縦でも横でもない写真はどうでしょうか。斜めに撮る、ということです。

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これまで私は、縦であろうが横であろうが、地面を水平にした写真を載せてきました。それは、「それが基本」だと思うからです。選手は斜めの地面上でサッカーをやっているわけではありません。水平なピッチ上でプレイをしているのですから、それを写し撮るに当たっては、写真も地面を水平にすべき、との考えが基本に有る故です。しかしそれが基本だとしても、時に変化を付ける意味で、違った構図を模索する意味で、敢えてカメラを斜めにして撮ることも意味あることだと思います。

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ここで重要なのは、撮影者自身が「意図して斜めに撮る」ということです。手持ちや一脚使用で、「僅かに傾いた写真になってしまったけど、まあそれも良いかな」ではなく、「傾けて撮ってやろう」という撮影者の意思が有ってこそ意味ある写真だと思います。そのような意思が有れば、僅かに斜め、という写真にはならない筈です。分かりやすい例として、上の①の画を挙げました。フットサルの写真ですが、背景の横線模様や床と壁との境目を見れば、僅かに左が下がっていることが分かると思います。これは手持ち撮影した結果ですが、敢えて斜めにする意味はないと思われる画ですね。
かといって、45度まで傾けるのは難しいでしょう(ピント合わせも難しくなります)。これは構図の分野にもなりますので、(その力量が無いので)あまり突っ込んだ既述は控えさせていただきますが、私の場合は以下の図のような傾き具合を採用しています。もちろん実際には、瞬時に一脚ごと傾けてシャッターを切る、といった撮り方ですから、毎回正確な角度を維持できる訳ではありませんが。
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上図では、傾け方が僅かのように感じられるかもしれませんが、実際にファインダーで被写体を追いながらとなると、結構思い切って傾けないといけないことが実感できると思います。

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この傾けた写真の場合でも、トリミングが有効な場合が有ります。ただしトリミングはあくまで後処理です。傾けて撮ったつもりが、その度合いが少なかった、多すぎた、といった時に、それを補完する意味で使う方が良いと思います。水平に撮った写真をトリミングで斜めにするには、被写体に対して上下左右にかなりの余白が必要で、それは被写体を敢えて小さく撮ることに繋がり、これまで書いた主旨に反してしまいます。

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モータースポーツを撮られている方の写真を見ると、被写体であるレーシングマシンを画面の四隅に配した写真をよく見かけます。それは、マシンが走る軌跡を事前に予知できるため、構図を工夫して写真表現に利用することができるからです。それに対してサッカーは、1秒先のボールや選手の位置を予測することが難しいスポーツです。モータースポーツ写真のような構図の画を狙えば、カメラの設定もそれに合わせて変えなければならず、それは一瞬一瞬プレイが途切れることなく変わるサッカー撮影ではリスク(通常撮影でのシャッターチャンスを逃すリスク)が大きいですから、ここではお勧めしません。(もっとも、そんな画が撮れるようなスキルのある方なら、こんな私の記事を読む必要はないでしょうが)。

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いつも地面を水平に保って撮っていた方が、こうした傾けた写真に魅力を感じると、ついそればかり撮ってしまいがちです。最初に私は「地面を水平にした写真が基本」と書きました。それが基本だから、傾けた写真が新鮮に映り、魅力を感じるのです。傾けた写真ばかりを撮っていては、ハッキリ言って、飽きます。基本は基本としてしっかり撮り、時に変化を付ける意味で、余裕が有る時にチャレンジしてみる、という程度で良いと思います。

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さて、「縦か横か」のテーマで長々と書いてきましたが、今回で一区切りとさせていただきます。結論としては、どちらもアリ、です。しかしアプローチとしては、まず大きく撮ることを心掛けて横で撮り始め、慣れてきたら縦撮影に挑戦し、縦でも横でもどちらでも満足できる画が得られるようになったら、構図を考えたり、傾けるというバリエーションを加えられるスキルを身に付けられるのではないか、と思います。ただし、サッカー撮影は途切れない動きを切り撮る一瞬が勝負です。集中力が必須です。それは縦でも横でも斜めでも、同じでしょう。

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サッカー撮影123(縦か横か その7) [サッカー撮影]

トリミングの話が長くなってしまいましたが、元に戻ります。サッカー撮影において、縦撮影・横撮影、どちらもアリだと書きました。では、試合中に縦横の変更は可能でしょうか。結論を先に申し上げれば、可能だと思いますし、積極的に使って良いと思います。

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縦撮影・横撮影に於けるメリット・デメリットについて、これまで述べてきました。それを踏まえた上で、自身の撮影目的、撮った写真の使用方法、使用する機材、撮影ポジションを含む撮影環境、それら全てを考慮して、縦で撮るか、横で撮るか、決めればよいと思います(この時に、トリミングは考慮要素には入れないこと)。しかしそうは言っても、試合展開はどうなるか分かりません。両チームの力量差が有って、ワンサイドゲームになる場合もあるでしょうし、拮抗した試合で延長戦までもつれ込み、時間経過に伴い斜光に悩まされるようになるかもしれません。そもそも、一方のチームだけ撮ればよいのか、両チームを満遍なく撮らなければならないのか、でも違います。横よりも縦の方が難しい、と書きましたし、大きく撮ることを念頭に置けば、縦と横では一試合撮っても撮影枚数に違いが出るでしょう。それらを考慮して横で撮り始めたとしても、途中で縦で撮りたくなるシーンが現れるかもしれませんし、またその逆もあるでしょう。そんなときには、縦横を柔軟に使って構わないと思います。たとえば下の①と②は、同じ試合で同じ機材で撮ったものです。

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サッカーは一旦試合が始まってしまうと、プレイが途切れることの少ない競技です。しかしそれでも、途切れることはあります。タッチラインやゴールラインをボールが越えた時やコーナーキックになった時など。僅かな時間ですが、カメラの縦横を変えるぐらいはできます。私の場合ですが、三脚座の有るレンズを使って、一脚をレンズの三脚座に直接付けて撮っています。この三脚座、ちょっとネジを緩めればカメラボディを、縦から横へ(またはその逆へ)簡単に回せます。かかる時間は僅か1~2秒でしょうから、試合中の縦横の変更は十分可能です(できる機種であれば、縦と横で別々にAFフレーム指定しておくと便利)。三脚座の無い望遠レンズを使われている場合、手持ち撮影なら縦横の変更は任意にできるでしょうし、一脚を使っているなら、ボディと一脚の間に自由雲台を付ければ、僅かな時間で縦横の変更は可能だと思われます。下の③と④の画も、同じ試合で同じ機材で撮ったものです。

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サッカーの試合にはハーフタイムが有ります。その時間を使って、設定や機材を変えることは可能です。例えば私は、撮り易いズームレンズ+横撮影で前半のうちに使える写真の枚数を稼ぎ、後半には良作狙いで単焦点レンズ+縦撮影、といったこともやります。勿論、スポーツは筋書きの無いドラマ、ですから、機材を前後半で変えたとしても、必要に応じて縦横は変えますし、縦でも横でも同じように集中力を保つ必要は有ります。下の⑤と⑥の画も、同じ試合で撮ったものですが、⑤はズームレンズ、⑥は単焦点レンズを使っています。

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写真は長方形。縦と横ではいろいろ違います。その違いを一試合の中でも、時と場合に応じて駆使してみるのも良いかと思います。

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サッカー撮影122(縦か横か その6) [サッカー撮影]

前回は、縦で撮った写真を横長写真に、横で撮った写真を縦長写真にトリミングすることを書きました。今回は、縦で撮った写真を縦長写真に、横で撮った写真を横長写真にトリミングすることを考えてみたいと思います。結論から申し上げれば、トリミングの本来の使い方は、それではないか、と思います。

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トリミングは後処理です。撮影時にトリミングを前提に撮らないことは書きました。しかしサッカー撮影は、前後左右に不規則に動き回る選手が被写体です。いくら集中力を保って挑んだとしても、結果的に邪魔なものが写り込んだり、僅かに傾いた写真になってしまったり、もう少し切り詰めれば印象度がアップする、といった場合も多いと思います。そうした場合の後処理としての軽度のトリミングはレタッチと同じ考え方で良いのではないか、と思ったりします。例えば上の①の写真ですが、一見すれば、これはこれで悪い画には見えませんが、実はこれは縦で撮った写真を縦でトリミングしています(原画は下の②の画)。

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トリミングした①の画は、1834×2751pixelで505万画素。②の画で分るように、かなり大胆にトリミングしていますから、これは軽度のトリミングとは言えません。画面で見るには支障なくても、大きくプリントするには躊躇します。ピントはしっかり来ていますし背景もシンプルなので、使える画だとは思いますが、ここまでのトリミングはできれば避けたいですね。
ではもう一枚。上の画と同じ日の同じ試合で撮ったものですが、下の③の画は、今度はノートリミングです。

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シャッターを切るタイミング的には良いと思いますが、被写体が向かって右に寄ってしまいました。何も被写体である選手を中央に捉えなければならないことは無いのですが、向かって左に空いたスペースが意味を持っていないので、ここはカットしたくなります。そのトリミングした画が下の④⑤の画です。

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このトリミングした⑤の画は、3219×4829pixelですから、約1550万画素。A4以上の大きさのプリントにも耐えれます。実際のトリミングはこの程度にしたいところです。
では今度は、横長写真です。まず原画を以下に載せます(⑥の画)。

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小学生のサッカーはピッチが狭く、また応援者・観戦者がピッチサイドまで寄れるので、この画では狙う選手の背景がちょっとウルサク感じられます。そこで同様の3対2で横長にトリミングしてみたのが、下の⑦⑧の画です。

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プレイに関係の無い部分をカットしたので、少しスッキリしました。このトリミングした⑤の画は、3824×2549pixelですから、約970万画素。A4プリント、までなら対応可能でしょう。
横長写真を横長写真に、縦長写真を縦長写真にトリミングする場合、上記例の程度であれば、画素数の減少がかなり抑えられる場合が多いです。トリミングしないように撮るのが前提だとしても、前回書いたトリミング(縦を横に、横を縦に)はできれば避けるべきで、今回のように(縦を縦に、横を横に)がトリミング本来の使い方ではないでしょうか。
(上記の画はいづれも、カメラボディは約2000万画素の1DX2を使っています)

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これは余談ですが、私はサッカー雑誌社のカメラマンも兼務しています。その際に編集部からの指示で、「任意の大きさにトリミングできるように撮ってください」との指示があります。これは雑誌紙面で挿入する画としては、3:2や4:3といった決まった縦横比ではなく、紙面構成の都合上、それに合わせた大きさに切り取って貼りたいからです。よって、主たる選手にしっかりピンの来た写真であることは必須ですが、どんな縦横比でもトリミングできるよう、上下左右に多少の余白が必要だということです。その分、これまで述べたように目一杯大きく狙う選手を撮ることはできなくなりますが、クライアントの要請を無視できないので、撮影に当たってはそれを考慮しています。

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サッカー撮影121(縦か横か その5) [サッカー撮影]

さて、「縦か横か」の後半です。今回はちょっと視点を変えて、トリミングについて書いてみたいと思います。

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現在の写真はデジタル画像ですから、撮影者自身が自宅のパソコンで簡単にトリミングが出来ます。トリミングについては今までいろいろ書いてきましたが、トリミングしなくて良いのが最良ですが、一概に全て悪と決めつけるのはどうかと思います(私もトリミングは必要に応じて使います)。ただし私は、いくら高画素になったからといって、小さく写っているものをトリミングして大きく見せる、といった極端なトリミングはしませんし、それでは大きく撮ることを勧めてきた事に反します。また、撮影時にトリミングを前提に撮っていませんし、それをお勧めもしません。ただ、このトリミングを使えば、縦で撮った写真を横長写真にすることも可能ですし、逆に横撮影で撮った写真を縦写真にすることも可能なのは事実です。まず前者の例を挙げると、上の①の画です。縦で撮った画をトリミングで横長写真にしたものです。

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一見すれば、それほど悪い写真には見えないかもしれませんが、トリミングして横長写真にしても画素数的に厳しいですから、大きくプリントするには耐えれません。また、この写真はほどほどの大きさで被写体(選手)を捉えられていますが、ファインダー内で被写体がこれより小さいと動体撮影なので、ピント合わせに苦労することは明白で、これまで述べてきた「大きく撮る」に反します。

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では次に、横で撮った写真を縦長写真にする場合の例が上の③の画です。
これもこうして画面上で見る限りは、それほど悪い写真には見えないかもしれませんが、やはり画素数的には厳しくなるので、大きくプリントするには適しません。元の画は下の④の画です。

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「大きくプリントするには」と書きましたが、トリミングした上記の①と③の画はどちらも、3648×2432pixelで約887万画素です(使用したのは約2000万画素の7D2)。確かに大きくプリントするには適さないですが、A4サイズ位までなら十分対応可能でしょう。これはデジタルカメラの高画素化の恩恵ですが、かといって私は、これをお勧めする訳にはいきません。トリミングはあくまで後処理であり、撮影する際にそれを前提に撮らない、ということを、これまでも、これからも勧めたい故です。
大きく撮りたい、その希望を持って撮影に臨んだとしても、サッカー撮影ではその通りにならない事の方が多いですよね。私の場合、「縦で撮って横幅一杯に4:3にトリミングして、選手が目一杯の大きさになる画、私はこれが被写体を捉える最小の大きさにしています」と過去に書きました(サッカー撮影108)。先に載せた例は3:2にトリミングしたものですが、3:2と4:3では少々印象が異なります。今度は縦長写真を4:3でトリミングして横長写真にした例を以下に載せます(⑤と⑥の画)。

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個々人の価値観や使用目的等によって左右するでしょうが、縦であろうが横であろうが、この大きさ以上に被写体を捉えられなければ、私はシャッターを切りません。それは、もし撮っても「使える写真」にならない確率が高いためです。年間数万枚を十数年続けてきた私は、カメラボディや使用レンズが変わっても、感覚的にこの「使える大きさ」を身に染み込んでいます。これを皆さんに強要するつもりはありませんが、大きく撮ることを望みながらも、そう思いどおりにならなかった場合の自分なりの「最低限の被写体の大きさ」を把握しておくことは大事かと思います。

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狙う被写体(選手)を敢えて小さく撮っておいて、使う際に縦長または横長にトリミングする、というのは、以前書いた「トリミングを前提に撮らない」に反します。トリミングはあくまで後処理です。撮影時に敢えて小さく撮るのは、作画的に、構図的に意図した場合のみであって、ここではお勧めはしません。

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