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リターンライダーへの道(その1) [車・バイク]

時計の針を三か月ほど前に戻すことをお許しください。きっかけは、以前このブログでご報告したように、愚息2号がバイクを持って帰郷したことです。そのバイク(CB400 SUPER BOLD'OR)が我が家のガレージに鎮座しているのを見続けているうちに、私の心がいつの間にか引き寄せられていき・・・

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私がまだ東京住まいだった昔、ヤマハのFZ400Rに乗って関東近辺の峠に出没していたことは、このブログでも以前書きました。もちろん現在も普通二輪免許保持者ですから、愚息2号のバイク(400cc)に乗れる資格は有るのですが、愚息が大事にしている、バイトで稼いだお金で買ったバイクですから、暫くは見ているだけにしていましたが、とうとう「ちょっと乗っていいかなあ」と言ってしまったのです。愚息は即答でOKと言ってくれたので、若干心配そうに見ている愚息の目の前で、30数年ぶりにバイクに跨ってみました。その時は僅かな距離しか走りませんでしたが、「お父さん、普通に乗れるねえ」と愚息2号に言われたように、普通に乗れました。「当たり前だろう」と言い返してみたものの、実は私の中では大きなギャップを感じてしまったのは確かなこと。CB400は教習所でも使われるくらい扱いやすいバイクなのですが、確かに現在も過不足なく乗れますし、楽しさも分かります。けれど、30数年前にFZ400Rに乗っていた感覚からは程遠い。ただ動かせているだけ、ただ乗っているだけ、です。「人馬一体」という言葉が有りますが、「人車一体」となって峠を駆け巡っていたあの頃の感覚、楽しさからは大きなギャップを感じてしまいました。あの頃のように自在に手足のように扱えるには、もっと距離を走って感覚を磨かないと、このギャップは無くならないのではないか、と感じた次第です。
地方在住者となってしまうと、車が無い生活は考えられません。結婚して子供ができてしまうと、大小2台の車が必要になり、二輪への想いは霧散したと思っていました。しかし今になって身近にバイクが有り、ちょっと乗ってみれば、その想いは消えたのではなく、押さえつけられていただけなのかも、と思うようになりました。そんなある夜の事です。私がベッドに寝ていると、耳元で聞いたことの無い男性の声でささやかれました。「子供と触れ合える時間はそんなに長くはないゾ」。ビックリして飛び起きて見ると、誰も居ない深夜4時でした。そしてその時、再びライダーになることを決心した瞬間でした(コレ、嘘のようなホントの話です)。
それから現在の二輪の状況を調べ始めました。2ストロークエンジン車は絶滅し、現在ラインナップされているのは、インジェクション仕様の4ストロークエンジン車、しかも排ガス規制の為の触媒付きです。1980年代のバイク全盛期とは大きく様変わりしていました。私の目指すところは、昔のアノ感覚を取り戻す事でしたから、ネイキッドやアメリカン、ましてやATのスクーターには興味は無く、ひたすらスポーツ系狙いです。でも数が少なくなりましたね。そこで、古くてもアノ頃のバイクで程度の良いものが残っていないかな、とネットで調べてみれば(簡単に検索できるとことが現代の良いところ)、そんな良程度のものはプレミアがついているのでしょう、新車価格よりも高いプライスタッグが付いているではありませんか。ただ、そうこうして調べて見るうちに更にバイクへの想いは増していき、中古バイクを扱っている全国チェーン店が我が街に有ることを知り、行ってみました。幸い平日の昼間だったので客は少なく、並んでいるバイク(400ccクラス)を端から端まで見て、跨ってみましたが、どれもカッコイイけど実用的というか、どうもシックリ来るものは有りませんでした。そんな私に店長が話しかけてきました。私が昔、FZ400Rで峠通いをしていたこと、古くてもいいからそんな感覚のバイクを探していることを告げると、店長は言いました。
「確かにウチは全国チェーンですから、探せば1980年代、1990年代のそんなバイクも見つけられますし、全国から取り寄せできます。でも、お勧めはしませんね。先日も若い子が来て、ホンダのVFR400Rにどうしても乗りたい、と言うので、探して納車したのですが、走行中にライトが消える、というので再点検に戻ってきました。電気関係、バッテリーからライト、配線、スイッチ類等全て点検・分解・清掃しても原因が分からず、最後には同型車をもう一台取り寄せて、電気関係全てを入れ替えて再納車しました。当然費用はこちらで負担しましたが、お客さんには一か月近く待ってもらうことになってしまいました。30年以上前のバイクって、そんな感じなんです。その割には決して安価ではない。思い入れが有る、時間が有る、手間や費用が掛かる覚悟が有る、そんな方にしか勧めないですね」
そう言われてしまうと納得です、四輪もそうですから。しかも二輪は扱う人によって、もっと程度が上下しますから尚更です。そこで私のライダーへの返り咲き気分は潰えてしまいかけた時、「試しにこのバイクに跨ってみてください」と店長が指さしたのが、ホンダのCBR600RRでした。乗った直後、「コレ、これだよ、この感じ」と思わず声が出てしまいました。「ならば、大型二輪免許を取ってください」との店長の言。
バイクに求める要素は人さまざまでしょうが、スポーツ性最重視のバイクは、そのスペックはレースに左右されます。私がFZ400Rに乗っていた頃は、4スト400・2スト250のレースが盛況で、各メーカーからそれに模したレーサーレプリカが発売されて人気を呼んでいました。現在はそういったカテゴリーのレースが無く、最高峰のMotoGPは4ストローク1000ccのバイクで戦われます。その下のクラスにMoto2が有るのですが、これは600cc。現在、スポーツ系バイクを突き詰めていけば、1000ccか600ccになります(250ccも有りますが、今回は除外)。店長が勧め、私が志向するのは、もはや中型普通自動二輪の範疇にはないのかもしれない、と思い始めました(実際はそうではなかったですが、それはいつか後述します)。そこから私の、大型二輪免許取得&リターンライダーへのチャレンジが始まったのでした。

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