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リターンライダーへの道(その4) [車・バイク]

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第二段階に入ると、基本的に卒業検定コースを走りながらも、今までやっていなかったことも追加されます。昔に峠を走っていた身としては、前後タイヤのロック寸前のコントロールはまだ体が覚えていたようで、急制動は得意でした。波状路通過も坂道発進も急回避も問題なし。400ccの中型車に乗せられて制動距離の違いを体感させられたり、AT車(大型スクーター)の体験乗車をしたり、と。実車に乗らずにドライブシュミレーターの体験というのもありましたが、受講が私一人だったので、50分も画面を見ながらバイク操作していると、最後の方では気分が悪くなってきて吐き気がしそうになったのには参りましたけどネ。それと、雨天の時も教習は有るのですが、全身にプロテクターを付けて、その上からレインスーツを着ますが、やっぱり暑い。それに加えて、私は自前のフルフェイスヘルメットだったのですが、教官からの指示が聞こえるようにバイザーは上げたままにしなければならず、メガネをかけている私は、そのメガネに雨粒がもろに当たって見にくくなるのが暑さよりも困りました。
その後もやっぱり、早く走るのは得意、低速走行は苦手で、8の字旋回をできるだけ小回りで、というのも不得意でしたが、検定項目ではないのでパス。この頃には、バイクを立ててハンドルだけで曲がるところ・バンクさせて曲がるところ・アクセルを入れるタイミング・クラッチを切ったり半クラッチを使うところ、と各課題項目に応じてメリハリをつけて運転しないといけないことが徐々に身についてきました。
でもやはり、問題は一本橋です。幅30cm長さ15mの橋を、中型車なら7秒以上が目標タイムですが、大型車は10秒以上になります。15mを10秒とは、時速5.4kmでして、大人が歩く速度ぐらいですね。30数年前に中型自動二輪免許を取った時には、確か一度も落ちた経験はなかったと記憶していますが、これが加齢に伴うバランス感覚の欠如でしょうか、10秒を目指せば落ちてしまうし、通過第一だと早すぎると言われます。この一本橋で指摘されたのが、ニーグリップが甘い、という点。右足は良いのですが、ギアチェンジをする左足のつま先が外側に向く癖が有る、それでニーグリップが不足している、と教官から何度か言われました。これは言い訳になるのですが、30年以上前にFZ400Rで関東近郊の峠通いをしていた時、コーナーワークのシフトチェンジに備えて、シフトアップもシフトダウンも瞬時に対応できるように左足のつま先を開く癖がついていたようです。この昔付いた癖が、この歳になってなかなか直らない。
この第二段階最終の7時限の教官は特に厳しい人で(私と最も相性が悪かった人で)、「もっと遅く、もっと遅く」と言われっぱなしでした。汗びっしょりになって控室に戻って、たぶん追加補習かな、と待っていたら、それでも何と第二段階の終了印を押してくれました。口に出して言われたわけではありませんが、その教官の表情から「落ちるかもしれないけど、まあとにかく頑張ってみて」といった感じを受け取れましたから、この段階で卒業確率は50%位だったのではないでしょうか。
この頃には既に新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が出され、この自動車学校も一時閉鎖になるかも、との話が出てきました。そうなると、私のリターンライダーへの道も更に遠くなりそうで、何としても一回で卒業検定をパスしたいところです。しかしそれが、知らず知らず自分へのプレッシャーになっていたのでしょうね。
卒業検定前夜には検定コースを頭の中でシュミレートして、教習所に着いてからもコース図を丹念に憶え直して、いざ本番となりました。もちろん、自信満々での受験、とは程遠かった私ですが、検定の説明を聞いている間、「試験を受けるって何年ぶりの事だろう」と考えていると、やはりこの歳でも緊張します。当日の検定受験者は二人で、二人とも大型二輪でした。一人目は20歳代の男性で二人目が私でした。一人目の彼は自信が有りそうでしたから、たぶん受かるだろうと思って見ていたら、何と一本橋で落下。落下すると即検定終了です。トボトボと戻って来る姿を見るのは辛かったです。で、私の番です。特別緊張している自覚は無かったのですが、やっぱりこの歳になっても、頭も体も固くなっていたんでしょうね。序盤は問題なく通過しましたが、課題コースに入ってから痛恨のコース間違い! それでもキチンと元コースに戻れば良かったのですが、心の奥底で慌ててしまっていたんでしょう、正規コースに戻って一本橋まではノーミスだったのに、私もその一本橋で落下・即検定終了です。トボトボと戻って来て、教官から不合格を告げられ、1時限の補習の予約をして帰宅しました。
決して自信が有って臨んだ卒業検定ではありませんでしたが、現実に不合格の印を押されると、やっぱりこの歳でも落ち込みます。いや、この歳だからこそ落ち込むのかもしれません。その日は何も考えられず、ただただ寝ました。
リターンライダーへの道は、想像していたより険しい。まだ道半ばですけどね。

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