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7D MarkⅡ ファーストインプレッション(その7) [カメラ機材]

長々と7D MarkⅡ(7D2)のファーストインプレッションを書いてきましたが、今回で最後とさせていただきます。

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前回、AI SERVO AFについて触れましたが、気になる点もあります。デフォルトのCase 4でサッカーを撮った際、狙った選手を追っていて、手前に他の選手や線審が横切った時に、それにピンを持って行かれることは無くても、ピンが不安定になることがしばしば有りました。もう少し粘って欲しいところです。作例を下に載せます。

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逆光で難しい画ですが、今回はAFフレーム1点指定で上下左右の領域拡大を使っています。その他は、Case-4のデフォルトのまま、連写は秒10コマです。狙っている選手の手前を他の選手が横切るのですが、中央のコマは微妙にピンを外しています。でも、直ぐに次のコマではジャスピンにしています。等倍ではありませんが、拡大した画を下の載せます。

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秒10コマの連写で、領域拡大を使っているとはいえ、指定したAFフレームを遮ったのは僅かなのですから、ここは粘って欲しかったです。でも、一旦外してしまう、戻りの鈍かった7Dに比べれば、直ぐに次のコマでジャスピンにできる7D2のAFは、なかなかレスポンスが良いとも思えます。このあたりは、今後セッティングで煮詰めるべき事でしょうね。

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もう一つ。ココゾという時にシャッターを切ろうとしても切れない事も有りました。これは私が、AF設定「AIサーボAF 1コマ目レリーズ」で「ピント優先」、「サーボAF連続撮影中のレリーズ」で「ピント優先」にしたからだと思われます。ここのところは考え方と撮り方次第です。私のように「ピント優先」にしてしまうと、1コマ目にピンが来ていないとシャッターが切れない事になり、そこからシャッターボタンを押し続けても連写できないことに繋がりやすいです。「レリーズ優先」にすればそんな事にはならないでしょうが、1コマ目のジャスピン率は下がります。1コマ目・2コマ目あたりを捨てて、その後のシーンを本命とするような撮り方ならば、「レリーズ優先」は生きてくるでしょう。その場合、削除対象になるコマ数が増えると思われます。私は(これまでサッカー撮影で言い続けてきましたが)、ボールと選手の動きをある程度予測して、狙いたいシーン・選手を先回りして、ピンが来たら連写、という方法で撮り続けてきました。この方法で「ピント優先」に設定していてシャッターが切れないとは、1コマ目にピンが来ていないことを意味し、すなわちそれはカメラ側に「ちゃんと予測ができていないゾ」とダメ出しされたのと同じです。前回作例で上げたように、ちゃんと1コマ目に集中すれば、優秀なAF性能にも助けられて、ピンズレの写真(削除対象になる画)は減ります。どちらが良いのか悪いのか、ではなく、撮影者が自身で選択すべきところで、この点も今後数多く撮って煮詰めていこうと思っています。

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画的には、デフォルト設定でも結構シャープな感じを受けます。動体撮影ではプラスだと思いますが、風景やマクロ、ポートレートなどでは、もう少しシャープネスを穏やかにしたいこともあるかもしれません。しかし最近出てきたレンズが、開放からシャープな画を提供できるように設計されているということは、市場ニーズがその方向にあるからでしょう。まして7D2は動体撮影を主にした機種なのですから、これはこれで正解だと思います。そしてRAWで撮れば、後からその辺りの事を調整できるパラメータが幾つか有るのですから。

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7Dの1800万画素から2020万画素へと増え、画は5184×3456から5472×3648になりました。(その4)でISOの比較をしましたが、ノイズを減らしながら画素数アップを果たしたことは評価すべきことだと思います。「高画素は不要」との声があることも知っていますが、画角をじっくり決められない動体撮影では、やむを得ずのトリミングの機会も多く、その点を考えても、連写速度などの他の要因を犠牲にしない高画素化には賛成します。APS-Cサイズでは1800万画素程度が一番良いのかな、とも思った時期もありましたが、技術の進歩は確実ですね。ただその分7D2は、レンズに厳しい要求を出します。7D2の持てる実力の足を引っ張らないようなレンズをチョイスしたいところです。上の画は、EF300mm F2.8 L IS USM(Ⅰ型)を使ってますが、等倍に切り出したのが下の画です。撮影者から30mは離れていても、髪の毛1本まで見えますね。

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最後にシャッター音ですが、これは期待できません。1D4の秒10コマと肩を並べたとはいえ、音的にはあくまで秒8コマの7Dの延長線上のものです。1D系のやる気にさせる音とは違いますので、期待しない方が良いと思います。
結論として動体撮影される方に、7D MarkⅡはお勧めです。また現在7Dユーザーの方にも、その進歩具合は確実に感じられる機種だと思います。私はまだ撮り始めたばかりですが、買って良かったと思っています(7D2を手にして、7Dが急に頼りなく感じてきたので、既に手放してしまいました)。後は、1D4との使い分けですが、ウ~ン、この点は難しいですね。楽しみながら悩むことにします。

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以上が、購入後3000枚ほど撮った私のファーストインプレッションでした。長々とお付き合い頂きました皆さん、ありがとうございました。あくまでシロウトの私のインプレですので、その点はご容赦の上でお願いします。

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7D MarkⅡ ファーストインプレッション(その6) [カメラ機材]

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前回、7D MarkⅡ(7D2)に新設された6つのCaseについて書きました。これは、「被写体追従特性」「速度変化に対する追従性」「測距点乗り移り特性」の3つのパラメーターの設定値で区別されているようですが、たとえばこれらを6Case全て「0」にした場合、同じ効果を生むのでしょうか?
答えは、「NO」です。CANONが7D2用に用意した6つのCase。これらはそれぞれ、表面的には3つのパラメーターの差異で表されていますが、その裏側には(つまり我々ユーザーが触れない所に)それぞれのシーンに応じたアルゴリズムが有り、それはこれまでの多くのプロからフィードバックされた蓄積の結果なのですが、それぞれのCaseのアルゴリズムは異なるので、表面的な3つのパラメーターを同一にしても、同一の結果を生まないそうです。ちなみに、1DXのものとも微妙に異なるそうです(以上はCANONに問い合わせた結果、得た返答です)。
そうなると、6つのアルゴリズムに3つのパラメーターの組み合わせ、ということになります。指定するAFモードやAFフレームも関係してくるでしょうし、その組み合わせの数は膨大になるでしょうから、一つ一つをユーザーが検証していくことは難しいでしょう。今回の7D2にCANONが用意したAI SERVO AFの制御系は、なかなか奥深いです。アルゴリズムと一言で言いますが、はっきりしたON/OFFのようなものでもなく、撮影者自身の使い方・感じ方でも微妙に変わるものなので、そう単純ではないです。CANONに問い合わせた時の担当者は、「もし自分なりの設定を探そうとするなら、最もベーシックなCase1から始めてください」と言ってました。ここは、CANONのアナウンス通りに始めてみるのが適切だと思います。その上で不満点が出てくるようならば、その時に試行錯誤すべきで、撮る前から考え込んだり心配したりするのも損、と思いました。
で、私の被写体はサッカー。これに該当するのは、Case4です。四の五の言わず、まずこれで高校サッカーを撮ってみました(使用したレンズは、EF300mm F2.8 L IS USM)。結果、得られた感想は、「Excellent !」です。
まず、曖昧な画が非常に少なくなりました。下の画は、先月7Dで撮ったものです。撮影データを記しておきます。
CANON 7D+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm 絞り優先AE シャッター速度 1/2000 絞り F3.2 評価測光 露出補正 +-0 ISO 200 RAW
AI SERVO AF AFフレーム1点指定(領域拡大無し) 高速連写(秒8コマ) ノートリミング

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常日頃から「選手を大きく撮る事」と言っている私が、こんな作例を出すのは恥ずかしい事なのですが、分かりやすい例が他に見つからなかったのでご勘弁ください。選手自体は動いていますから、AI SERVO AFを使うのですが、だいたいファインダー内で被写体が小さいと、連写してもピントが曖昧な画が散見されます。上の画も連写した1枚目はピンが来てますが2枚目(左)はダメ、前ピンです。選手のズボンのアディダスマークと地面の人工芝を見れば分かります。実はこんな経験、7Dユーザーなら有るのではないでしょうか。
ところが、同じようなシチュエーション(使ったレンズは同じ)で7D2は、そんな曖昧なピントの画がグッと少ない。下に載せた作例も、撮影データを記しておきます。
CANON 7DMarkⅡ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F3.2 評価測光 露出補正 +-0 ISO 125 RAW
AI SERVO AF AFフレーム1点指定(領域拡大無し) 高速連写(秒10コマ) ノートリミング

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上の7Dの時よりもファインダー内で選手は小さいのに、4枚ともしっかりピンが来ています。背景が緑のネットで、こんな場合はピンが持って行かれることも多いのですが、この7D2のクロス測距点は優秀です。これは、ファインダー内で狙う被写体が小さかった例ですが、いつも通りの大きさで被写体を捉えた時に、もちろんAF性能が落ちることなどありません。
たったこれだけの作例で、AF性能を云々するつもりはありませんが、7Dから5年の歳月をかけて登場した7D2、その進化は撮れば感じられます。動体撮影におけるAFの性能とは、様々な条件下でのジャスピン率(歩留りとも言います)と、撮影者の欲するタイミングを撮れる速さだと思います。Kissで撮ったジャスピンの一枚と7D2のジャスピンの一枚を並べて、AF性能を計ることはできません。どんなカメラ・レンズを使おうとも、ジャスピン以上のジャスピンは無いのです。問題は、多く撮った中で、そんなジャスピンの画がどの位の割合か(動体を予測する・追従する能力)。そして動く被写体に対して、撮影者の意図した瞬間に確実にジャスピンにしてくれる速さ(ピント合わせ中でもシャッターが切れるので、AFが遅いとピントが来ない画が増える)。これらは何も、ボディ側だけの性能に由来する訳ではなく、レンズにも要求される性能ですが、秒8コマの7Dに比べ、秒10コマに増えたにも関わらず、7D2の方が明らかに歩留まりが良い。動きが不規則で、その速度も一定ではなく、動きながら形を変えるのがサッカー選手ですから、100点満点とはいかない。実際、7D2でもピンを外すことはあります。けれど、連写中に僅かに外したコマが出ても、直ぐに次のコマでジャスピンにできる(7Dでは時として2~3コマ必要だったこともある)。このレスポンスの速さも1D4並みと言えるでしょう。2000枚ほどサッカーを撮った現時点での私の感想は、7Dに比べて大きな進化が有る(性能差が有る)、と実感していますし、「う~ん、これでは1D4の出番がかなり少なくなるかも」とも思えてきました。

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上の作例
CANON 7DMarkⅡ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1250 絞り F3.2 評価測光 露出補正 -1/3 ISO 100 RAW
AI SERVO AF AFフレーム1点指定(領域拡大無し) 高速連写(秒10コマ)

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7D MarkⅡ ファーストインプレッション(その5) [カメラ機材]

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さて、私の7D MarkⅡ(7D2)のファーストインプレッションですが、いよいよAFについてです。
7Dの19点に比べ、65点へと大幅に測距点を増やし、しかも全点クロス測距とした7D2。7Dが従来の二桁Dの菱型配置をベースにしていたのと違い、AFフレーム配置を見ると、CANON最上位機である1DXと同じように見えます。では、1DXのAFユニットをそのまま移植したのでしょうか。それは、AFセンサーのライン配置図(下図)を見れば分かります。AFフレームは点ではなく、ラインセンサーの組み合わせですが、微妙にコストダウンが図られていて、1DXと同じ性能とは言えないと思います。しかしながら、従来の7Dから大幅に進歩したことは間違いないでしょう。

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測距点(AFフレーム)が増えたこと自体は、様々な被写体、様々なシーンに対応できるのは自明のことで、歓迎すべきこと。勿論、中央が一番精度が高いのは分かっているのですが、私のサッカー撮影の場合、縦で撮ることが殆どなので(7Dでも1D4でも)、通常は縦にした場合の中央から一つか二つ上のAFフレーム1点を指定して撮影していました(領域拡大は、以前書いたように7Dでは使用せず)。7D2に替えても同様なのですが、今回は多点になったことで(AFフレームが密になったことで)、領域拡大はかなり有効になったと思われるので、使ってみたい気もしているのです。7D2では領域拡大は、「上下左右」と「周囲」の2種が用意されました。もちろん領域拡大は、あくまで指定した1点で狙ったポイントを捉えることが前提で、それを外しそうになった時に、隣接するフレームがアシストする機能なのですが、選手と選手が重なり合うケースが多いサッカーの場合、「周囲」ではなく「上下左右」でも十分な効果が有ることは、1D4で経験済み。で、どのフレームを指定するか。

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上の図で示した①ではちょっと低すぎで、②か③を選びたいところですが、ご覧のように①と②・③ではアシストするフレーム数が違います。これはどうしてでしょうか。また、AFフレーム配置図を見ても、中央と左右のゾーンとの間に、少し隙間が有るように見えます。このことが影響しているのでしょうか。
回答は、下のAFセンサーユニット図を見れば分かると思います。レンズからの入射光をサブミラーを介してAFセンサーに導いているのですが、センサーの前にあるコンデンサーレンズで光束を分離する際に、3つに分けている為です。これは、入射光の中央と周辺では微妙に「質」的な面で差異があり、それぞれに最適化するための処置と思われますが、故にゾーンをまたいでの領域拡大はできないようになっているのでしょう。これを考えると、まあ私の場合、②でしばらく撮ってみようかな、と思っています(実際、それで十分な成果を収められましたし)。

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ちなみに、このAFセンサーに導かれる光の純度というか、質的な部分で、1D系と他のボディとの差が有ると聞いたことがあります。1D系がなぜあんなに大柄なボディなのか、それは大型バッテリーを理想的な形で搭載することもありますが、このAFセンサー周辺の設計スペース確保の意味もあります。AFの性能はセンサーの性能だけでは決められない。そこに至る光の質にも左右され、その為に理想的な形で導くための大柄なボディだ、ということらしいです。

AI SERVO AFも、ⅡからⅢへと進化しました。また、従来の被写体追従敏感度などの設定は、新たに6つのCASEが設けられ、そのプリセットされた6つから選べば、被写体動作の特性に合わせた制御が行われるようになったようです(下図参照)。

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今回の6つのCaseの新設は、従来の特性個々の設定では、その効果が若干分かりにくかった、という反省からでしょうか。「INFO」ボタンを押せば、簡単な説明も出てきますし、CANONのHPでも解説が載っています。この「Case」の設定は、3つのパラメーターの組み合わせで決められているようです。一覧にすれば以下のとおり。

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メーカーであるCANONは、多くのプロからのフィードバックを得て、これらの設定をしたものと思われますが、「それでも自分には合わない」という場合も有ることでしょう。その場合どのCASEを選んでも、自分で任意にパラメーターを変更することは可能で、自分なりにAI SERVO AFの設定をカスタマイズすることができます。
では、そこで疑問。これら6つのCaseに設定された3つのパラメーターを全て同じにしたら、6つのCaseは同じ特性のAI SERVO AFになるのでしょうか?

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7D MarkⅡ ファーストインプレッション(その4) [カメラ機材]

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7D MarkⅡ(7D2)は、同じAPS-Cサイズながらも画素数をアップして、約2020万画素となりました。画素ピッチは7Dの4.3㎛(マイクロメートル)から、7D2は4.1㎛へ。1DXの6.9㎛や5D3の6.25㎛は言うに及ばず、1D4の5.7㎛よりずっと狭いです。一般的には、画素ピッチが狭い程、高感度に弱い傾向が有りますが、その点を今回は見てみたいと思います。

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ボディ内現像のJPEG画像の比較は、私の場合RAWで撮っているのであまり興味無く、ここではRAWで撮って、DPPのノイズリダクション(NR)を輝度ノイズ・色ノイズ共に0にして、どの程度ノイズ差が有るのかを見てみることとしました。これでDPPでRAW現像する際のNRの掛け方が違ってくると思われます。被写体は上のようなロウソク。比較したの3機種、7D・1D MarkⅣ(1D4)・7D2で、ISOは1600・3200・6400と変えて撮ってみました。ISO 6400以上は、7Dでは拡張機能なのでフェアじゃないと思い、6400までにしました。DPPでの他のパラメーターは全て同じにし、レンズはEF24-70 F2.8Lを使用し、F4固定で撮りました。それを等倍で切り出したのが下の画です。

7D ISO 1600
7D2-4-3-7D-1600.JPG

1D4 ISO 1600
7D2-4-3-1D4-1600.JPG

7D2 ISO 1600
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7D ISO 3200
7D2-4-3-7D-3200.JPG

1D4 ISO 3200
7D2-4-3-1D4-3200.JPG

7D2 ISO 3200
7D2-4-3-7D2-3200.JPG

7D ISO 6400
7D2-4-3-7D-6400.JPG

1D4 ISO 6400
7D2-4-3-1D4-6400.JPG

7D2 ISO 6400
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さて、これをご覧になっていかかでしょうか。これが素の画で、ここからNRを掛けていくのです。7Dは2009年のAPS-C機1800万画素、1D4は2010年のAPS-H機1600万画素、7D2は2014年のAPS-C機2020万画素です。フルサイズセンサー搭載機に比べればまだまだでしょうが、この間のデジタルの進化を考えれば、至極まっとうな結果に私は思えるのですが。

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