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サッカー撮影11(Tv or Av その1) [サッカー撮影]

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昨今サッカー場に行くと、デジタル一眼レフカメラで熱心に撮っていらっしゃる方を見かけるようになりました。以前は私など、その場では異端児のように見られたものですが、最近はそうでもなくなってきたようです。そんな方々と話をする機会があると、必ず出てくるのが、「どういった設定で撮ってますか?」という質問。「やっぱりシャッター速度優先ですよね、それとも絞り優先ですか?」と。私はどちらでも撮りますよ、と答えると、「はぐらかされた」「秘密にしているのか」「教えないつもりだな」という表情をされることが、たまにあります。私はそんなつもりではないのですが、今回はこの点をちょっと考えてみたいと思います。
(あくまで私の使っているキヤノン機での記述ですので、他メーカーや他機種では該当しない場合もあります。その点はご了承ください)

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デジタルカメラに於いて、適正露出を決めるパラメーターとして、絞り・シャッター速度・ISO感度、という3つがあることは、ご存じの方がほとんどだと思う。適正露出とは?、各パラメーターの変化による写真効果は?、という点は、この際割愛させていただくとして、従来の銀塩時代では使用するフィルムで決められていた感度が、デジタルになって一枚一枚自由に設定できるようになったこと、そしてそれをカメラ側に任せてオートとすることができるようになったことが、デジタルになって大きく変わった点だ。
可変するパラメーターが3つだと、
A.3つとも撮影者自身が決めて撮る
B.2つを撮影者自身が決め、残りの1つをカメラ任せ
C.1つを撮影者自身が決め、残りの2つをカメラ任せ
D.3つともカメラ任せ

という、4種類の設定方法があると思われる。Aは完全マニュアル撮影。これは知識も力量も経験もお持ちの、どちらかといえば熟練者向け設定、逆にDはカメラ側に全てを任せる全自動撮影で、難しいことは考えずに失敗しにくいと思われる初心者向け設定(失敗しにくいといっても、サッカー撮影では大抵これでは失敗するのだが)、と言えるだろう。いづれにしても、Aで撮る方・Dで満足の方には、これ以降の私の記述は無用のものだと思われる。

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さて、Bについてだが、パラメーターが3つだと、以下の3種に更に分けられる。

a.ISO感度と絞りを撮影者自身が指定して、シャッター速度は適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、任意のISO感度に設定して、絞り優先モード(Av)で撮る、ということ。
b.ISO感度とシャッター速度を撮影者自身が指定して、絞りは適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、任意のISO感度に設定して、シャッター速度優先モード(Tv)で撮る、ということ。
c.絞りとシャッター速度を撮影者自身が指定して、ISO感度は適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、(キヤノンで言うなら)マニュアルモード+ISOオートで撮る、ということ。

3つのうち2つを任意の値に固定し、その値に応じて(適正露出を得られるように)、もう一つのパラメーターをカメラ側に任せる、というのは銀塩時代から慣れたことだし、比較的分かりやすいと思う。

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次にCについてだが、同様に以下のように3種に分けられる。

a.ISO感度を撮影者自身が指定して、絞りとシャッター速度は適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、全自動モードではISOが自動になってしまうので、プログラムAEでISOを指定して撮るということになるでしょう(プログラムシフトがあるが)。
b.シャッター速度を撮影者自身が指定して、絞りとISO感度は適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、シャッター速度優先モード(Tv)+ISOオートで撮る、ということ。
c.絞りを撮影者自身が指定して、シャッター速度とISO感度は適正露出になるように、カメラが随時可変する。これは、絞り優先モード(Av)+ISOオートで撮る、ということ。

3つの可変パラメーターのうち、2つを固定すれば自ずともう一つの値が決まるというBについては比較的分かりやすいのだが、Cについてはちょっと難しい。可変するパラメーターの2つをカメラに任せて適正露出を得るということは、複数の組み合わせがあって、どれが選ばれるかはカメラが判断するということで、撮影者の意向と必ずしも一致しない場合もあるからだ。例えば、ある屋外撮影において、ISO 400・絞り F5.6・シャッター速度(SS)1/500で適正露出が得られるとする(Ev12)。 これと同じ露出を得る組み合わせは、
ISO 100 ・F2.8・SS1/500
ISO 100 ・F5.6・SS1/125
ISO 100 ・F8.0・SS1/60
ISO 200 ・F2.8・SS1/1000
ISO 200 ・F5.6・SS1/250
ISO 200 ・F8.0・SS1/125
ISO 800 ・F2.8・SS1/4000
ISO 800 ・F5.6・SS1/1000
ISO 800 ・F8.0・SS1/500
などが考えられる。
現在の電子マウントになったカメラは、レンズ側からのデータも加味し、あまりにかけ離れた組み合わせを選ぶようにはしていないと思われるが、それとてその時の撮影者の心理や意向を読みとる能力が有るわけではないので、常に撮影者の望む組み合わせが得られる保証はない。よって、3つのパラメーターの2つをカメラに任せるというCに関しては、不確実性が加味されるようで、私的にはあまりお勧めしたくない。
こう考えていくと、露出関係だけでも、実に様々な設定&組み合わせがあることが分かる。

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