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私的CANON考察 前編 [写真・撮影]

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私はこれまで、生活必需品から趣味の物まで、実にいろんな物を購入してきたが、特にメーカーに拘って購入したことはない。なので、「○△党」とか「○△ファン」といった○△にメーカー名が入るような人ではなかったし、今もそうである。信頼性は物選びに大切な要素ではあるが、メーカー名に左右されず、価格・機能・デザインなどを総合的に見て、その時の自分の需要を満たすものを選んできたつもりだ(勿論、衝動買いはあったが)。
さて、今のメインの趣味である写真撮影、カメラはCANONを使っている。上記の理由で、CANONというメーカーが特に好きだから使っている訳ではない。私の最初(銀塩)はMINOLTAだった。なぜMINOLTAを選んだのかは(高校時代のことなので)記憶が定かではないが、今のようなサッカー撮影をするわけではなかったので、特に不満無く使っていた。それが今から10年程前、愚息のサッカーを見て、これを撮りたいと思うにあたって、不満が噴出した。何といっても銀塩では、現像・プリントコストがかかりすぎる。ただでさえ撮影枚数が多いサッカー撮影で、毎試合ごとに万札が飛んでいく状況では、ついシャッターを押すのに躊躇する。一瞬を切り撮る醍醐味を感じる事など皆無。その当時、既にデジタル一眼レフカメラは出現していたが、まだ簡単には手が出せない値段だった。
それが解消したのは、2003年3月に発売された、CANON EOS 10D。当時の私として、198,000円は確かに高価ではあるが、ランニングコストのことを考えれば、そしてこの撮影対象を撮り続ける事を考えれば、充分ペイできる計算が立った。なので、近所のキタムラで直ぐに予約した。ただレンズまで予算が回らず、EF90-300 F4-5.6 USMという普及型ズームにしてしまったのは、結局は回り道であった(後日、SIGMA 100-300mm F4 HSMへ買い替え)。撮影技術も未熟で、数を撮ってはトライ&エラーを繰り返していた身として、懐具合を気にしながらシャッターを押していた抑圧感から解放され、躊躇なくシャッターを押して試せるデジタル一眼は、まさに救世主に思えたものだ。
愚息が小学校を卒業し、地元のクラブチームに入団した2004年4月、手持ち機材を全て売り払い、白紙に戻した。一年生ではそう試合も無いだろうし、小学生サッカーと中学生サッカーで撮影環境が違いすぎる。これ以後も撮影意欲が湧くかどうか、一抹の不安が有ったためだが、そんな不安はものの一か月ほどで霧散した。撮りたい!という思いが沸々と湧き上がり、右手の指をピクつかせる。幸いにも愚息は、一年生でも試合に出る機会が程々有ったことも拍車をかけた。
さて、そうなっては撮影開始だ。手持ち機材は皆無、一から構築しなければならない。ということは、その時点でメーカーも自由に選ぶことができた訳だ。各社のカタログを枕元に置く日々が続いたが、下した結論はCANONで機材を組むことだった。その決定の最大の理由は、EF100-400mm F4.5-5.6 L IS というレンズの存在だった。小学生サッカーでは、APS-Cセンサーで300mmクラスのズームレンズでよかった。それが中学生となり、小学生の倍くらいの広さのグランドでの撮影を余儀なくされるとなると、400mmは必要だろう。前後左右に動き回るとなれば、ズームレンズが最も便利だろうし、最重要なのはAF速度であることも体験済み。そう考えて、400mmクラスのズームレンズを探せば、当時の選択肢は意外に限られる。以前使っていたサードパーティ製のSIGMAで、ピントのズレに悩まされていたことを考えると、せっかく一からシステムを構築するなら純正レンズをまず選びたい。NIKONやKONICA MINOLTA(当時)の400mmズームに比べ、AF速度的に優位であろうEF100-400を選ぶのは、極めて妥当に思えた。そんな訳で、私が再度CANONユーザーに返り咲いたのは、このレンズ選びからだった。
1987年にFDマウントから、完全電子マウントのEFに切り替えたキヤノンは、従来からのユーザーの反発はあっただろうが、この将来を見据えての英断が、ちょうどこの頃には実を結びつつあった。レンズ内にAF駆動用や絞り制御用モーター内蔵を前提にしたことで、レンズ制御に必要な電源と情報は全て電気接点を介し、故にAF速度的に優位なレンズ設計を可能にし、更にカメラレンズ用としては初めて超音波モーター(USM)を採用し、その搭載レンズラインナップを拡充していたCANONは、動体撮影の分野で多くのプロご用達となっていた。サッカーを撮るにあたって、その時点でCANONを選ぶのは、私には自然な事に思えた。
さてその後、清水の舞台から飛び降りる思いで1D MarkⅡを購入したこと、単焦点の画質に魅せられて、ついにはEF400mm F2.8 L(IS無しの中古)まで手を出してしまったこと、サブ機の導入、IS付きのサンニッパ&ヨンニッパ体制になったこと、などは、以前のブログで書いたとおり。CANONへの導き手となったEF100-400が既に手元に無いのは、ちょっと皮肉かもしれないが(使用頻度の低い機材は手元に置かない主義なので)。
この間、カメラを取り巻く状況は急速に進化し、フィルムはほぼ姿を消し、MINOLTAの名称はSONYに代わり、PENTAXがM&Aにさらされたり、高画素化と高感度性能向上が進み、フルサイズセンサーでさえ手の届く価格になり、それも各社から複数機種出揃う状況になりつつある。サードパーティ製レンズも、以前の低価格だけを売り物にしているわけではなく、メーカーの造らないニッチな市場にも、魅力的な製品をラインナップし、ユーザーの選択肢を広げることに加担している。今のこの状況下で、もし私が再度、白紙からカメラシステムを構築することがあったとすれば、さて私はCANONを選ぶだろうか。長々とプロローグを書いてきたが、コレが今回の本題である。

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