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CANON EOS 1DX [カメラ機材]

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1D4をメインに使っている私が、1DXを手に取っても、さほどの違いは感じなかった。確かにグリップ部分が握りやすくなったような気もするが、それは軽微な事。ちょっと重くなったかな、とカタログ重量を確認してみると、160g程の重量増。でもまあそれも、さほどの問題は無いだろう。そしてやっぱりというか当然というか、CANON 1D系の持つ重量感と緻密な内部を感じさせる手触り、そして剛性感はこれまでどおり。プロの酷使に耐えられるというこの安心感は、1D系ユーザーの方なら分かっていただけるはず。
ご存知の通り、フルサイズ(36mm×24mm)約1810万画素となったセンサーだが、1D4と変わらない視野率100%、倍率0.76倍のファインダーを覗けば、確かにAPS-Hの1D4より前後左右に広がった事を如実に実感できる。大体が、フィルム一眼の受像をセンサーに置き換えたのがデジタル一眼だとすれば、36mm×24mmのセンサーこそが正当であり、APS-CやAPS-Hは妥協のサイズでしかなかったはず。これが本来の姿だと言われれば、まあ納得できる。
ただ、APS-Hに慣れた私の眼では、ファインダーの四隅がどうも見難い。その理由は単純で、私がメガネを掛けているからだ。メガネを掛けてファインダーを覗くという事は、接眼部と自分の眼の間にメガネレンズが存在し、それ故接眼部と自分の眼の間には、メガネを掛けていない人と比べ、1cmほどの隙間があることを意味する。メガネを掛けていない方は、試しにちょっと浮かしてファインダーを覗いて見てほしい。APS-C機やAPS-H機では、ファインダー内画像が小さかったために感じなかったが、フルサイズとなりファインダー内画像が大きくなってしまうと、四隅を見るに意識しての視線移動が必要な感じを、分かっていただけるだろうか。まあこれは、あくまでAPS-Hに慣れた私の第一印象なので、慣れれば問題無い、または利点に感じるようになるのだろう。
AFは1D4の45点から61点へと増やされたが、広くなったが故に、中央部に固まり過ぎている印象は確かにある。けれど、AF精度を保ったまま、AFフレームを更に広く分布させるのは難しいのだろう。以前CANONの技術の方と話した時に、「センサー性能に加え、大事なのはセンサーに導かれる光の純度」と聞いたことが有る。周辺部にセンサーを配置できたとしても、精度的に劣るようだと意味ないことだし、動体撮影を主とする機種なら尚更の事だと思う。ちなみにこれは想像だが、ほぼ同じAFユニットを搭載する5D3とは、アルゴリズムも含めてそれらの事を考慮すれば、1DXとの差は存在すると思われる。ただ、先にも述べたように、私の眼が未だに、四隅は無視してどうも中央部を中心としたAPS-H範囲に集中しがちなこともあってか、この配置にそれほど不便には感じなかった。もちろん、AI SERVO AFの進化度も含めて、実戦に投入してどうなのか、が重要なので、試写程度ではこれ以上の事は分からない。ただ、発表から発売延期を経て、これほど長い時間をかけて熟成されたはずなのだから、その点の完成度は高いと期待したいところだ。
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背面に目を向けると、大きくなった液晶と、従来機と7Dや5D3との折衷的なボタン配置が目につく。元々背面液晶で撮った画を鑑賞することは無い私だが、現場でのピント確認はする。再生ボタンを押して画を出し、ボタンを押して拡大して、と思ったが、そうではなかった。1DXでは画の拡大は、メインダイヤルを回すようになったらしい。まあ、カスタマイズできるだろうから、これも問題ではないだろう。そのメニュー画面はかなり変わった。1D2、1D3、1D4と進化しても、基本的なメニュー階層はそれほど違和感なく触れたが、今回は取説を読まないといけないかもしれない。ただその点をメーカーも考慮したのか、メニュー画面にINFOボタンでヘルプが呼び出せる。確かに、便利&親切といえばそうなのだが、はてさて1D系を使うユーザーに必要なのかどうか。
連写速度は、1D4の秒10コマから12コマに。連写させた時には、僅かなようだが確かに差は感じられる。もちろん従来通り、任意にコマ数を設定可能だが、この差を「たかが2コマ」と思うか、「大きな進化」と思うかは撮影者次第。個人的には、被写体の動きの早さと必要カット次第で、使い分けられる幅が広がったと思いたい。しかしやはり、1D系のシャッター音は小気味よく、やる気にさせてくれる。この点では他機種は遠く及ばない。高感度については試す機会が無かった事、動画やライブビューに関しては個人的に興味が無いので、ここでは割愛させていただく。
総合的に見て、1D2から1D系を使い続けた私の眼からは、今回の1DXはかなり変わった(進化した)印象を持つ。1D4発売開始から丸2年を費やして2011年10月発表、その後発売日が延期され、半年以上も待たされてやっと2012年6月20日に市場に送り出されたのだから、完成度が高くなくては困る。1D4を全ての項目で上回って当然だと思う。ただ当初の印象どおり、1DXは1D4の正常進化、後継機であって、1Ds3の後継機ではない、とは思うが。

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というのが、先日キヤノン名古屋サービスセンターに行った際、1Fのキヤノンデジタルハウス名古屋で展示してあった1DXを、小一時間も触ってみた印象です。残念ながら私、買ってませんから(予約もしていませんし)。この話の続きは、次回にて。
(ちなみに掲載画像は、許可を得て撮影しています)

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