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私的CANON考察 追記 [写真・撮影]

最後に追記として、最近のCANONについて思う事を記して、このシリーズを終わりにしたい。

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最近のCANONのボディ&レンズの、発表はすれど発売延期を繰り返すのに比べれば、他社に勢いを感じる事が多い。確かに2012年3月に発売開始された、NIKONのスポーツ・報道向けプロ機であるD4は、1DXとほぼ同じ方向の姿で登場し、この点で両者の考え方は共通しているのかもしれない。しかし、約3630万画素のD800/D800Eをあの価格で出してきたNIKONには、少なからず驚いた。同時期に登場した5D MarkⅢが、極めて常識的なスペックで登場したのに比べれば、実にチャレンジング。まるで数年前の両者の立場が入れ替わったよう。そしてまた、エントリー機であるはずのD3200に、APS-Cサイズ約2400万画素センサーを搭載してきたことにも驚く。記者発表の場で、「キットレンズで済ますエントリーユーザーに、そんな高画素が必要なのか」との質問が出たそうだが(私も当然の問いだと思った)、メーカーは「社内テストでは、キットレンズでもその差が出たので、敢えて搭載を決断した」と断言したとか。
高画素化=高性能ではないという点は重々承知しているし、7Dユーザーとして、APS-Cサイズには1800万画素程度が一つの到達点だと思っているので、フルサイズはともかく、APS-Cでの2400万画素はちょっとやり過ぎでは、とも思ってしまうのだが、「勢い」をNIKONに感じるのは確か。それは一昔前のCANONにもあったではないか。そのCANON、白い巨砲こと、長焦点単焦点レンズを立て続けにリニューアルし、概ね好評を得ているにしても、発売延期を繰り返すようでは、そしてもっと使用ユーザーの多いであろうEF24-70 F2.8 LⅡまでも発売延期とは、企業姿勢に疑問を投げかけられても仕方あるまい。発売されてからの不具合発見&リコールというのも勘弁してもらいたいが、発表すれど発売延期を繰り返すようでは、ユーザーは怒って当然、怒るべきだと思う。1DXにしても発表から実際に手にするまで8カ月以上だし、どうしてそんなに焦って発表を早める必要があるのだろう。2~3年前のCANONはそんなのではなかった。今のCANONには、市場を開拓していく原動力よりも、何だか焦っているように感じる。
先頃発売された、EF24mm F2.8 IS USM&EF28mm F2.8 IS USMにしても、確かにIS無しの旧型レンズが有ったのだから、ISを付けて新型にしました、と言えば、その通りなのだろう。しかし、ディスコンになっても不思議ではないレンズ(ユーザーの方がいたら申し訳ないけど)を、価格を1.6倍にもしてのリニューアルには、どうも今更感が付きまとう。それならば、多くのユーザーが新型を待ち望むレンズが、他にも複数あるだろうに、その声はしっかり届いているはずなのに、と。
先日、近所のキタムラに顔を出してみた。デジタル一眼レフカメラのコーナーには、エントリーユーザー向けの機種が並んでいる。その中で、Kiss X5&X6iを触ってみたが、何と大きいことか。NIKON D3200、SONY α37、PENTAX K-rよりも確実に一回り大きい。Kissってこんなに大きかったんだ、と改めて思ってしまった。昔、「あんな小さいボディでは、大人の男性ではホールドしづらい」という批判をよく耳にした。違うのだ。日常の外出に気軽に持ち出せて、(カメラバックではなく)普通のバックにちょっと入れておいても重さが気にならず、撮りたいと思った時にサッと取り出せる気軽さこそが、このクラスの使用目的で、その為の小ささなのだ。本格的に構えて撮る人に、スポーツや風景などを凝って撮る人に、このクラスのカメラは似合わない。それ故にラインアップがあり、上位機が用意されているのではないか。CANONのKissは、他社並みにもっと小さくなるべきだと思う。それともそれは、先頃発表されたミラーレス機に任されるのだろうか。それならば、Kissの存在価値は中途半端になるだろう。
ただ、私は別に悲観している訳ではない。会社には攻勢に転じる時もあれば、力を貯める時期もある。CANONは、プロ・アマ合わせて多くのユーザーを抱かえている。それはつまり、他社よりもCANONを選んだ人が多かったということであり、また多くのユーザーがいるという事は、多様な目的の機種を市場が欲しているということだろう。CANONには、トップメーカーたる安心感と共に、どんな目的でカメラを手にする人にも、ワクワクさせるような機材の提供を望みたいものだ。そして市場を牽引し、「我々はここまできた、追いついて来れるかな?」と言って欲しいものだと思う。

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私的CANON考察 後編 [写真・撮影]

前回、現時点で白紙からサッカー撮影第一で選ぶとすれば、私がNIKONを選ぶ確率は50%だと思う、と書いた。それはつまり、CANONを選ぶ確率も50%ということ。私が初めてユーザーとなった2004年当時、CANONには勢いが感じられたし、サッカー撮影主眼なら、機材選択の優位性を感じた。故に私はCANONユーザーになったわけだが、しかしその後NIKONは、同様のレンズ内超音波モーター搭載のAF-Sレンズを拡充し、手振れ補正機能VRもVRⅡに進化させながら、その搭載機も増やしていき、現在ではCANONとそれほど遜色のないレンズラインナップになっている。これからサッカーを撮る方に聞かれれば、私はCANONかNIKONを勧め、そのどちらを選んでも後悔は無いだろうと思う。事実、スポーツ撮影におけるプロの主戦場では、以前はCANONの白いレンズが圧倒的だったが、前回の北京オリンピックでは6:4までNIKONの黒が挽回してきた、という記事を目にした。間もなく始まるロンドンオリンピックでは、どうだろうか。
さて、長々と書いてきたが、結論はこうだ。サッカー撮影を主に考えるならば、デジタル一眼レフカメラが最適で、しかしそれはレンズを含めたトータルなシステムとして考えなければならないし、それなりの投資を強いるのであれば、将来の開発力・展開力も求められる。その点で、望遠系レンズラインナップ&動体撮影AFの性能&今後の見込みで、既に他メーカーに差をつけている、CANONかNIKONの2社に絞られる。では、どちらが優れているか、どちらを選ぶべきなのか、について、一言で断言できるような明確な正解、というものを私は見つけられない。もちろん、機種ごと・レンズごとに細かく見ていけば差はあるだろうから、個々人が両メーカーのどちらを選ぶかは、実はそんな子細な部分での差異によるのかもしれない。
例えば、私にCANONを選ばせたEF100-400は未だに現役ラインナップの一員だし、NIKON 80-400もそのまま。この点だけを注視すれば、やっぱりCANONを選ぶだろう。300mm、400mm、500mm、600mmの単焦点レンズは、NIKONのナノクリスタルコートに魅力を感じ、昨年ならNIKON優位と言っていたかもしれないが、今年からⅡ型になった同様のCANON白レンズ群には大いに期待できそうで、結論を出すには現時点では早急だろう。スポーツ撮影の分野での最高機種であるD4と1DXでは、D4に比べ一割ほど高価な1DXの方に、僅かに分があるようにも見える。これは私的な予想だが、ロンドンオリンピックでの両社の比率は拮抗するかもしれないが、CANONが逆転されることは無いと思う。
しかし、そうした高価格機材を使えるのは一部の人であり、多くのアマチュアユーザーにとっては、もう少し下位の機種や中古市場の充実度、リセールバリューなども考慮の対象になるかもしれず、また一台で日常のスナップからサッカー撮影までをまかなうと考えれば、望遠系だけを考える訳にもいかず、そう考え続けると、CANON・NIKONの優劣差の判断は意外に難しい。長々と書いてきた割には、どうも締らない結論になってしまったが、両メーカーの現状がそれならば、後は触感やフィーリングといった、自らの感性や好みという点が判断を左右するのではないか、と思う。
(そして、今回こうして冷静に見まわして考えると、サッカー撮影第一の私が選ぶのは、やっぱりCANONだったろう、と思う)

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さて以下は私事なのだが、CANONユーザーになって9年目になる私、その操作にも慣れ(主にAI SERVO AFの使い方に慣れ)、信頼感も持ち、レンズ資産も少なからず有る身としては、CANONからNIKONへの鞍替え(メーカー変更=マウント変更)は、リスクが大きすぎる。投資した金額に応じて、格段のメリットが見込まれるのであれば、敢えてその道を選ぶのも良かろう。または、有り余る予算が有れば、併用という選択が、知識や経験といった糧にもなろう。ただ現状、それが見込まれる、それが許される環境では無い以上、CANONユーザーであり続けることが、自身の最良の選択だと結論付けている。何より、NIKONが急追してきたとはいえ、未だこの分野でCANONが抜かれた訳ではない、と思っているから(もう少しラインナップを見回せば、また違った見方もできるが、それは回を改めて)。
では、現状のメイン機である、1D MarkⅣを最新型の1DXに買い替えるという選択はどうだろう。確かに魅力的にも思える。ただ私、それ以上ではない(借金してでも欲しい、という訳ではないという意味)。最も大きな理由が、1DX最大のウリであるはずのフルサイズセンサーに、さほどの魅力を感じていない故。私のメイン機の主たる目的はサッカー撮影であり、そのレンズはEF400 F2.8 L IS USMである。このレンズを使う限り、1D4を1DXに替えたらトリミング頻度は確実に増す。頻度が増すだけなら、手間を掛ければよいだけかもしれないが、画素数も減るのである。以前も書いたことがあるが、1DXのフルサイズ1800万画素をAPS-Hサイズにトリミングすれば、それは1100万画素程度になってしまい、1D3の頃に逆戻り。多額の投資をした結果がコレでは、私の触手は伸びない。レンズを500mmに替えたり、1.4xテレコンを常用する、という対処法も考えられるが、ボディを替えたうえで更にレンズも、というほどの予算が有るはずも無く、非常時ならいざしらず、テレコンを常用というのも、被写体の事を考えれば、AF速度的に厳しい。何より私の中では、フルサイズセンサーであることより、ヨンニッパの画質が気に入っている比重の方が遥かに高いのだ。
1DXは高感度特性が大幅に向上した、との評価も多い。サッカーでもナイター撮影となれば、その点で躊躇なく高ISOを使えるメリットを享受できるだろう。しかし考えてみれば、そんなナイター撮影なんて、私には年一回程しかない。それ以外はほとんど日中屋外での撮影で、ISO1600以上はほとんど使わない(F2.8レンズを使った場合)。これが屋内スポーツを主戦場としている方なら、1DXに買い替えは大いにアリだと思うが(レンズ焦点距離ももっと短くて済みそうだし)、私の場合はそうではない。そうツラツラ考えていくと、デジタルカメラにおける最重要項目であるセンサーに、私的には、今回多額の投資をするほどの魅力があまり感じられないのだ。820万画素の1D2から1010万画素の1D3に買い替えた時、「3年経っても200万画素アップかよ」と思ったものだ。それが更に3年経って1610万画素の1D4になった時、「やっと思うような画が撮れる」と喜んだものだ。今回の1DXが、APS-Hサイズにトリミングしても、1D4の1610万画素を超えるような画素数だったら、借金してでも購入していたかもしれない。
しかし、それ以外の連写性、AF性能、カスタマイズ性などの点では、大きな魅力が有るのも確かな事。市場にやっと出回り始めたレビューなどを見ても、AFシステムが大きく変わったのに1D3の時のようなピーキーさは無さそうだし、この点での好評価には後ろ髪を大いに引かれる。そう考えると、私の望む最良の選択肢・理想のカタチは、1DXと1D4の2台体制でその場に応じて使い分ける、というものだが、現在の家計を考えると、理想はなかなか現実にはなってくれない。よって現時点での私の結論は、現状維持。いささか消極的で、ここまでこの記事にお付き合いいただいた方々には申し訳ない気持ちもあるのだが、少なくとも今後一年間は、現在の機材でサッカーを撮り続けることとする。

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私的CANON考察 中編 [写真・撮影]

「サッカーを撮る」というのは、写真撮影においては実は特殊で、それを主目的に機材を選ぶ私の場合、一般的ではないかもしれない。その点を、まずは前提にしておきたい。

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サッカーを撮るという事では、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラが最も適しているという考えは、現在でも変わりはない。連写速度の点でも画素数の点でも、現在のこのレベルまで来るとフィルム一眼レフカメラに価格以外の優位性は無い。その価格とて、撮影枚数の多いサッカー撮影で、ランニングコストを考慮すれば、今あえてフィルム一眼を選ぶ理由は見当たらない。ただ、一眼レフカメラはボディ+レンズで使われ、基本的に他社製レンズは付かないのであるから、機種選択=メーカー選択に当たって、レンズラインナップは無視できない。サードパーティ製レンズを主レンズとして、今後ずっと使い続けると前提するなら、話の色合いは変わってくる可能性もあるが、この点はとりあえず脇に置いておくことにしよう。
はっきり言って、サッカー撮影第一で、白紙から機材を構築するとすれば、私がNIKONを選ぶ確率は50%だと思う。9年前に自信を持ってCANONを選んだ確信は、今は揺らいでいる。かといって、CANONを選ぶ価値が無くなったのかと言えばそうではなく、NIKONが勢いを持って追いついた、と思えるからだ。
まず、CANON/NIKON以外のメーカーに目を向けてみるとしよう。MINOLTAを吸収し、今や第3のメーカーになりつつあるSONYではどうだろうか。ボディに関しては、APS-C 2430万画素のセンサーを載せ、透過ミラーを採用して秒12コマの連写性能(何だか条件があるようだが)を実現したα77をはじめ、魅力的なスペックのボディが並ぶ。今後の展開力も、フルサイズセンサー搭載機の拡充が噂され、なかなかに希望が持てるようだ。私は実戦で使用したことは無いのだが、カタログスペック的には、いかにもスポーツなどの動体撮影向きのようにも思える。しかしレンズとなると、ちょっと寂しい。2009年に発売開始された、70-400mm F4-5.6 G SSMは、確かに今のデジタル時代に合わせた新しい設計だろうし、EF100-400より優れているかもしれない。これ1本で満足できればそれは、それでイイのだが、更にとなると、SAL 300mm F2.8 Gぐらいになってしまう(このレンズは既に生産完了品、後継機待ち)。標準域では魅力的なレンズも見受けられるが、こと「サッカー撮影」と考えると、望遠域のレンズは乏しく、また特に価格面での優位性も無さそう。ボディに大きな魅力を感じる、今後のレンズ展開と価格低下に期待が持てる、という方以外には、現時点で積極的に選ぶ理由が見当たらない。
老舗のPENTAXはどうだろうか。寂しいことに、会社自体のM&Aやミラーレス機への注力によって、現在のPENTAXのデジタル一眼レフカメラは、K-5とK-30しか無い。ここも望遠域のレンズラインナップが極めて少なく、普及型の300mmズームで済ませるか、超音波モーターを使った、DA★300mmF4ED SDMぐらいしかなく、300mmを超える焦点距離のレンズは無い。PENTAXには老舗ならではのコアなファンがいることも確かだし、魅力的な★レンズが現存していることも承知しているのだが、サッカー撮影を突き詰めて考えれば、ここでも積極的にこのメーカーを選ぶ理由を発見できない。
OLYMPUSはどうだろう。デジタル一眼普及期には、デジタル専用レンズラインナップを揃え、APS-Cよりも小さいフォーサーズセンサーを使えば、300mmもあれば充分に大人のサッカーを撮れる。ボディは現在、E-5・E-30・E-620がラインナップされているが、いづれも最近の機種ではない。更に昨年、巨額損失隠しで話題になり、会社としても先行きが不透明な部分もあって、ミラーレスやコンパクトデジカメならいざ知らず、システムで揃えなければならないデジタル一眼レフカメラで、今後の発展&開発には、どうも疑問が残る。すでに市場に残るOLYMPUS機材で満足して撮っていかれる方にしか、お勧めは出来ないだろう。
PENTAXにしろOLYMPUSにしろ、サッカー撮影で多用する動体追従オートフォーカス(コンティニュアスオートフォーカス)はもちろん装備している。ただこれの性能は、カタログスペックだけ読み切れない。膨大な過去のデータとプロからのフィードバックによって煮詰められたアルゴリズムの優劣に左右される点を考えれば、サッカー撮影という特殊な分野でのCANON/NIKONの上位機との差は有ると思われる。
上記に記したことは、あくまでサッカー撮影第一に考えた結果であって、日常のスナップ撮影などの使用用途では、まずどのメーカーを選んでも問題は無いし、サッカー撮影もその熱意と頻度がソコソコならば、実売価格と好みで選んでも、何ら差しさわり無いことを追記したい。ここでのテーマは、あくまで白紙からサッカー撮影第一で選べば、という前提なのだから。逆に、サッカーが満足して撮れるようなメーカーなら、その他の用途・分野の被写体は、まったく問題なく撮れる、と断言できる。
さて、このように考えていくと、小学生から大人までのサッカー撮影において、必要とされる300~500mmの望遠レンズを複数有し、動体撮影に最重要なAF精度&速度&追従度を持ち、連写速度と撮影者の反射神経に忠実に反応してくれるレスポンスが必要である事を考慮すれば、そして今後の開発力も加味すれば、それに適したラインナップを持つメーカーは、現時点ではCANONとNIKONに絞られてくる。SIGMAなどのサードパーティ製レンズを使えばイイじゃないか、という考えも有ろう。でもサードパーティ製レンズは、別にCANON・NIKONでも勿論使える訳で、その存在故に積極的に他社を選ぶ理由にはならない。
ではサッカー撮影において、CANON・NIKONどちらを選ぶのが、より正解に近いのだろうか。

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私的CANON考察 前編 [写真・撮影]

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私はこれまで、生活必需品から趣味の物まで、実にいろんな物を購入してきたが、特にメーカーに拘って購入したことはない。なので、「○△党」とか「○△ファン」といった○△にメーカー名が入るような人ではなかったし、今もそうである。信頼性は物選びに大切な要素ではあるが、メーカー名に左右されず、価格・機能・デザインなどを総合的に見て、その時の自分の需要を満たすものを選んできたつもりだ(勿論、衝動買いはあったが)。
さて、今のメインの趣味である写真撮影、カメラはCANONを使っている。上記の理由で、CANONというメーカーが特に好きだから使っている訳ではない。私の最初(銀塩)はMINOLTAだった。なぜMINOLTAを選んだのかは(高校時代のことなので)記憶が定かではないが、今のようなサッカー撮影をするわけではなかったので、特に不満無く使っていた。それが今から10年程前、愚息のサッカーを見て、これを撮りたいと思うにあたって、不満が噴出した。何といっても銀塩では、現像・プリントコストがかかりすぎる。ただでさえ撮影枚数が多いサッカー撮影で、毎試合ごとに万札が飛んでいく状況では、ついシャッターを押すのに躊躇する。一瞬を切り撮る醍醐味を感じる事など皆無。その当時、既にデジタル一眼レフカメラは出現していたが、まだ簡単には手が出せない値段だった。
それが解消したのは、2003年3月に発売された、CANON EOS 10D。当時の私として、198,000円は確かに高価ではあるが、ランニングコストのことを考えれば、そしてこの撮影対象を撮り続ける事を考えれば、充分ペイできる計算が立った。なので、近所のキタムラで直ぐに予約した。ただレンズまで予算が回らず、EF90-300 F4-5.6 USMという普及型ズームにしてしまったのは、結局は回り道であった(後日、SIGMA 100-300mm F4 HSMへ買い替え)。撮影技術も未熟で、数を撮ってはトライ&エラーを繰り返していた身として、懐具合を気にしながらシャッターを押していた抑圧感から解放され、躊躇なくシャッターを押して試せるデジタル一眼は、まさに救世主に思えたものだ。
愚息が小学校を卒業し、地元のクラブチームに入団した2004年4月、手持ち機材を全て売り払い、白紙に戻した。一年生ではそう試合も無いだろうし、小学生サッカーと中学生サッカーで撮影環境が違いすぎる。これ以後も撮影意欲が湧くかどうか、一抹の不安が有ったためだが、そんな不安はものの一か月ほどで霧散した。撮りたい!という思いが沸々と湧き上がり、右手の指をピクつかせる。幸いにも愚息は、一年生でも試合に出る機会が程々有ったことも拍車をかけた。
さて、そうなっては撮影開始だ。手持ち機材は皆無、一から構築しなければならない。ということは、その時点でメーカーも自由に選ぶことができた訳だ。各社のカタログを枕元に置く日々が続いたが、下した結論はCANONで機材を組むことだった。その決定の最大の理由は、EF100-400mm F4.5-5.6 L IS というレンズの存在だった。小学生サッカーでは、APS-Cセンサーで300mmクラスのズームレンズでよかった。それが中学生となり、小学生の倍くらいの広さのグランドでの撮影を余儀なくされるとなると、400mmは必要だろう。前後左右に動き回るとなれば、ズームレンズが最も便利だろうし、最重要なのはAF速度であることも体験済み。そう考えて、400mmクラスのズームレンズを探せば、当時の選択肢は意外に限られる。以前使っていたサードパーティ製のSIGMAで、ピントのズレに悩まされていたことを考えると、せっかく一からシステムを構築するなら純正レンズをまず選びたい。NIKONやKONICA MINOLTA(当時)の400mmズームに比べ、AF速度的に優位であろうEF100-400を選ぶのは、極めて妥当に思えた。そんな訳で、私が再度CANONユーザーに返り咲いたのは、このレンズ選びからだった。
1987年にFDマウントから、完全電子マウントのEFに切り替えたキヤノンは、従来からのユーザーの反発はあっただろうが、この将来を見据えての英断が、ちょうどこの頃には実を結びつつあった。レンズ内にAF駆動用や絞り制御用モーター内蔵を前提にしたことで、レンズ制御に必要な電源と情報は全て電気接点を介し、故にAF速度的に優位なレンズ設計を可能にし、更にカメラレンズ用としては初めて超音波モーター(USM)を採用し、その搭載レンズラインナップを拡充していたCANONは、動体撮影の分野で多くのプロご用達となっていた。サッカーを撮るにあたって、その時点でCANONを選ぶのは、私には自然な事に思えた。
さてその後、清水の舞台から飛び降りる思いで1D MarkⅡを購入したこと、単焦点の画質に魅せられて、ついにはEF400mm F2.8 L(IS無しの中古)まで手を出してしまったこと、サブ機の導入、IS付きのサンニッパ&ヨンニッパ体制になったこと、などは、以前のブログで書いたとおり。CANONへの導き手となったEF100-400が既に手元に無いのは、ちょっと皮肉かもしれないが(使用頻度の低い機材は手元に置かない主義なので)。
この間、カメラを取り巻く状況は急速に進化し、フィルムはほぼ姿を消し、MINOLTAの名称はSONYに代わり、PENTAXがM&Aにさらされたり、高画素化と高感度性能向上が進み、フルサイズセンサーでさえ手の届く価格になり、それも各社から複数機種出揃う状況になりつつある。サードパーティ製レンズも、以前の低価格だけを売り物にしているわけではなく、メーカーの造らないニッチな市場にも、魅力的な製品をラインナップし、ユーザーの選択肢を広げることに加担している。今のこの状況下で、もし私が再度、白紙からカメラシステムを構築することがあったとすれば、さて私はCANONを選ぶだろうか。長々とプロローグを書いてきたが、コレが今回の本題である。

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