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CANON EOS R7 ファーストインプレッション(中編) [カメラ機材]

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前回の続きです。
1点AFでの指定AFフレームの大きさに愕然とした私でしたが、それを解決すべき機能が用意されていました。それは、「EOS iTR AF X」です。この機能は、実は7D2の時から装備されていましたが、私は使っていませんでした。それは、ゾーンAFや全面自動選択AFでしか機能しなかったのと、カメラ側に撮影者の意図が正確に伝わるかどうか不安だったためですが、その後キヤノンが出す機種に装備され続けてきたので、かなり熟成が進んだものと思われます。R7のメニューでこの「被写体追尾(トラッキング)」をONにし、検出する被写体を「人物」に指定して撮ってみました。「瞳検出」は「しない」にして、その他の設定は前回のままです。つまり、サーボAF・AFフレーム1点指定+上下左右の領域拡大・高速連写・R7+EF300mm F2.8 L IS USMで、DPPのキャプチャー画像(ノートリミング)です。前回同様、ブログに載せるには画像サイズの制限が有って、AFフレームが分かりにくいので、右側にはAFフレームを目立たせた画を並べてあります(4連写です)。

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上のようなEOS iTR AF XをONの状態では、ファインダー内(EVF)で人物を認識すると、たとえ指定が中央1点だとしても関係無く、ドンドンそれを追従していきます。その際AFフレームも、EVF内で追従する被写体の大きさに合わせてフレームの大きさが変化します。下にもう一例(同じく4連写)を載せますが、これら全て最初の指定は中央1点のAFフレーム指定です。上の4連写と下の4連写では、被写体追尾するAFフレームの大きさが違うことが分かっていただけるでしょうか。

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最初に認識した人物を被写体として捉えるのは、本来は指定した中央1点AFフレームですが、そんな指定フレームに関係無く、特別な操作をしなくてもファインダー内で自動で(悪く言えば、勝手に)被写体を認識して、その被写体に応じてAFフレームの移動&大きさを変化をさせながら追従してピント合わせをし続けます。それはちょっと「しつこい」ぐらいに追尾し続けます。撮影者は欲しいところでシャッターを切れば良いだけです。サッカー撮影の場合は被写体は動いていますから、当然レンズを振りながらの撮影となりますが、それでも狙った被写体を外さず追従する様をファインダー内で確認でき、(私的には)このEOS iTR AFを見くびっていた、というか、完成度はかなり高いと思いました。EVF内である程度端まで追いかけてくれますから、これなら選手の動きを予測しながらレンズを振る範囲を極少にできるかな、と思いました。

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ただ(当然というか)撮影者が狙った選手以外の選手を認識・追従する場合も有ります。メニュー項目には「追尾する被写体の乗り移り」という項目が有って、「しない・穏やか・する」の3項目を選べますから、ファインダーで追いながら自動で乗り移ってくれるのを待つのも一手、再測距しなおす(シャッターの再半押し+狙う被写体を中央に捉えることが必要)のも一手です。私は乗り移りを「する」にしましたから、追尾のしつっこさは多少マシになりました。下の画は、撮影者である私は黄色ユニフォームの選手を狙ったのですが、フレームは白ユニフォームの選手を選んでいます。故に等倍で見ると、黄色ユニフォームの選手にピンは来ていません。

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ただ、ファインダー内で敵味方の選手が複数入り込むことが多いのがサッカー撮影です(例えば下の画のように)。「顔認証」といっても、ファインダー内に「顔」が複数あるのですから、カメラに撮影者が狙う選手を追従させることが、この機能を使いこなすポイントだと思います。

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AFの速さ・正確性・追従能力については、100点満点とは言えませんが、このナイターでのサッカー撮影で、まずまず使える性能であると感じました。
カメラが追尾する選手の顔が測距可能範囲を超えそうになると、下の4連写のように一瞬AFフレームが縦長になることがあります。これはカメラが「顔」を追えないので、セカンドチョイスとして胴体にピンを持っていった証です。その後、再度「顔」を捉えられれば、それを追従します。

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今回、何例か撮影画像を載せましたが、いづれも最初は中央1点AFで撮っています。その上で、ピント合わせのAFフレームの移動や大きさの変化が分かっていただけるでしょうか。つまりR7のAFは、このEOS iTR AF XをONの状態で撮るのがデフォルトだと思います。100点満点とは言いませんが、このナイターという厳しい条件下でも、まだ慣れていない私の腕でも、撮影結果の歩留まりがそれほど悪くなかったことを考えれば、そう思わざるをえません。これが技術の進歩ということでしょうか。推測ですが、ミラーレスになって受像センサーでAFをしなければならなくなったことで磨かれた技術、いやコレの向上が無ければミラーレス機で満足な動体撮影ができなかったのではないか、と思ってしまいました。もうミラーレスカメラは完全にデジタル機器であり、自分のこれまでの認識が時代遅れであることを痛感した瞬間でした。
ただし、このEOS iTR AF Xが追尾してくれるのは画面全面では無く、極端な隅までは追ってくれません。今回の撮影で使ったのがEF300 F2.8 L IS USMという旧型の単焦点レンズだったことも一因で、この追尾範囲についてはセンサーサイズ(フルサイズかAPS-Cか)の他に、使用するレンズによっても制限が有ります。その点はキヤノンホームページでアナウンスされています。
https://faq.canon.jp/app/answers/detail/a_id/101745#2-2

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なお、キヤノンホームページのR7紹介では、「最大5915ポジションの高密度な測距エリア」と書かれていますが、これは選べるAFフレームが5915個有るという意味ではありません。スポット1点にせよ1点AFにせよ、その位置決めが最大5915通り有る、ということです。

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一眼レフ機からミラーレス機への移行とは、(キヤノン機で言えば)この「EOS iTR AF X」を如何に使いこなすか、その点にかかってくると実感しました。なお(ご存知の方もいらっしゃると思いますが)、一眼レフ機を使っていて常に気になるメカ的な「ピントのズレ」「AFでのピント調整」ですが、ミラーレス機では受光センサーがAFと撮影記録機能を兼ねているため、構造上はレフ機のような機械的なピントのズレは発生しません。

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