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天皇杯 後編 [サッカーあれこれ]

前回は、ワールドカップイヤーの弊害だ、と書きましたが、何も悪い事ばかりではありません。
 
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さて、私はと言えば、毎年この天皇杯出場チームを決める県大会から、県協会のボランティアカメラマンとしての活動が始まります。今年も例にもれず、8月22日の試合から活動開始したのですが、前回書いたように、今年は例外的日程のおかげで、何と我が県で天皇杯の二回戦も開催することになりました。これって、凄い事だと思います。二回戦と言えば、Jチームが出場します。今回我が県で行われる二回戦には、これを書いている9月11日時点でJリーグ首位の名古屋グランパスが、サテライトではなく練習試合でもなく、トップチームが公式戦を戦う、ということです。そしてそれを、誰よりも近い位置で「撮れる」。スポーツカメラマンとして、冥利に尽きるではありませんか。
期待に胸膨らむ一方で、不安もあります。まず試合が午後5時からということ。この時期の日没は午後6時頃。ということは、日没の西日(この競技場は西日がキツイ)と照明(この競技場は照明が暗い)がミックスした光線状況から、しだいに照明100%に変わってゆく中での撮影となります。保険の意味もあって、RAW100%で撮影しますが、それでも試合中に設定を変えながらの撮影を余儀なくされるかもしれません。いつものように、ポジションチェンジしながらの撮影ができるかどうか、それも不明です。何といっても、そういった面でウルサ型のチームです。試合中は動くな、と言われるかもしれないし、思った場所で撮れないかもしれない。そして、プロ選手の動きについていけるか。Jリーグの試合は、過去に観客席から撮ったことはありましたが、遠くから小さく撮るのは簡単、いつものように近くで、縦位置で大きく撮れるのか、と。
この天皇杯二回戦を我が県で行うには、協会関係者の方々の多大なる努力があったと思います。何と言っても片田舎のサッカー場です。一面のスタンドは固定のベンチ席ですが、他の三面は芝生席で、数千人で一杯。交通アクセスが悪く、照明も暗く、選手のロッカールームにエアコンが無い。はっきり言って、二回戦を開催している全国の他会場に比べて、施設面で劣っているのは明白だと思います。救いは、陸上トラックのない専用競技場で狭いので、選手に近い場所から見れる、ということぐらいでしょうか。それでも、事前に何度も打合せを繰り返した県協会役員の方々、芝の手入れを始め、現状で最善を尽くしてくれた施設関係者の方々、滞りなくこの試合を行おうとして集まっていただいたボランティアの方々(過去これほど多くの運営補助員の方が集まったのは、私は見たことが無いほど)、そして不便な立地にもかかわらず、多くの方が集まって来てくれたサポーター&観客の方々、それら一体となったおかげで、何とか成功裏に開催を終えることができました。大会後の資料によると、観客数は4807名。これは全国で行われた天皇杯二回戦のベスト4だそうで、グランパスの知名度に支えられたとはいえ、この施設&環境を考えれば、誇っても良いのではないかと思います。たぶん来年以降は通年通り、一回戦のみの開催に戻ると思いますが、貴重な体験だったと記憶に残ることと思いました。
 
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私は?といえば、現在撮影結果を確認中ですが、う~ん、甘くはなかった、というのが印象ですね。当日の酷暑は覚悟していましたが、少し曇って西日が弱く安定していることを希望していました。が、現実は、雲が出て日が陰るかといえば、時折強烈な西日(逆光)に照らされるという、最悪の状況。日が完全に落ちてしまえば、それでも何とかなったですが、やっぱりJリーガーの動きはアマチュアとは段違い。眼が付いて行かない、動きの予測が大切なサッカー撮影で、ことごとく裏切られる。今までなら、まったく知らないチームでも、最初の10分ほどを撮り続けると、狙いどころや撮影ポイントが分かってくるのですが、今回は前半はまったくダメで、歩留まりの悪い結果となってしまいました。機材のせいではありませんから、私の力量と経験の無さ、ですね。更に、帰宅後にPCに画像を取り込もうとしてエラーが発生。せっかく撮った画の200枚ほどが読み込み不可。今までそんなエラーは経験したことが無かったのですが、「泣きっ面に蜂」とはこのことですね。
今回もRAW100%撮影だったので、現在は選別・現像作業中です。しかし、先にも書いたように、試合経過時間と共に変わる光線状況で、ホワイトバランス(WB)がマチマチ。キヤノン機のAUTO WBは優秀なはずですが、それでもこの状況では、一枚一枚調整しなければなりません。それに加え、照明が暗いので、グランド内でも中央と周辺では光量がかなり変わり四苦八苦。試合途中からISO AUTOを使ったものですから、たとえ秒10コマで連写しても、ISO値が一枚一枚違います。ISO値を確認しながら、ノイズリダクションのかけ方を調整していく作業に、多くの時間と手間が必要でした。この辺りのことは、また機会を改めて書こうと思っています。納品はJPEGなので、先程一括現像しましたが、約400枚のRAW現像処理で、私のPCでは45分ほどかかってしまいました。画素数が多くなった分、処理にも時間がかかるようになりましたね。
それでも(遠慮しながら)いつもの撮影ポジションで、適宜移動しながら(ピクシーに睨まれましたが)、撮影できたことは良かったです。途中から、1D4の高感度に頼って、ISOが上がること覚悟でシャッター速度を上げたのは正解だったかな。反省すべきところは多々ありますが、自分なりのスタイルで挑戦できたことが、何よりの経験とステップになったと思いたいです。
良い撮影環境を提供してもらう、難しい被写体に挑戦する、それ自体は趣味としては「甲斐」の有る、楽しい事なのですが、依頼されて撮るとなると、やっぱり結果が求められるわけで、そういった意味で、こうした環境・立場で撮っているプロは、やっぱり凄いなあ、と実感した次第です。
 

追記


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